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コウキは蜻蛉切に魔力を練り込んでいく。最近魔法を教えるための研究で出来た技で二種類の魔法の同時運用蜻蛉切の後方に風魔法で回転を加え槍全体に雷の魔法を付与して威力と速度を加える。標的を捉えると一気に蜻蛉切を投擲した。コウキの手から離れた瞬間蜻蛉切はバチンとはじけるとドラゴンめがけて一気に飛んで行った。
「これでどうだ。なずけてストームサンダーショットだ!」
「なんじゃそのまんまの名前はもうちょっと捻れんのか」
「いいだろ別に」
コウキとリュディアがのんきに言い合いしている間にも蜻蛉切は高速でドラゴンに飛んで行った。風の回転によって銃の弾のように抵抗を無くし真っすぐ飛ぶようにした後雷の力を使って槍は音速にまで到達して飛んで行く。槍のミサイルだ。
飛んで来たドラゴンは槍に気が付いた時には既に遅く確実に当たるだろう。
スカイドラゴンヤシャ視点
『ちょっと待ってくれあれはリュディア様だぞ止まるんだ』
『すまないもう敵として認識されてしまったようだ。しかもあのクモの背中から魔力の濃縮を感じる。アレが当たれば間違いなく死ぬだろうな。運が良く生き残ってももう飛ぶことは出来ないかもしれないな』
スカイドラゴンは全力の回避行動を取ろうとしながらとんでもない事を伝えてきた。ヤシャは目を凝らしてリュディア様の背中を見るとそこには我が主の美しい姿がはっきりと目に留まった。
人間でありながら強大な魔力を持ちヘイゼルとバロメそしてリュディア様の糸を用いて作られた特別製の服が魔力と合わさって光輝いている。
その手に持っている槍は光輝き今にも飛び出しそうになっていた。一瞬見とれてしまったヤシャだったがその暴力が自分に向けられているのだと理解すると同時に恐怖が体を支配した。鬼人族が総出で攻撃しても中々降伏することのなかったスカイドラゴンがあの一発の攻撃で一瞬で命を落とすと断言している。
しかも全力で回避行動を取っているがヤシャにはコウキ様の放った攻撃が真っすぐこちらに飛んできて当たるだろうと分かっていた。ならば。飛んで来ることが分かっているのであれば何とか出来るかもしれない。ヤシャは今までにないほど集中して魔力を爆発させる。
この全力で受け止めることが出来なければ俺たちは確実に死ぬ。ヤシャは魔力を金棒に込めるとコウキの事を見た。その瞬間。
バチン!という音共にコウキの手から離れた槍は光速で飛翔してきた。ヤシャは無意識のうちに金棒を振るっていた。それは生存本能が働いていたのか槍が放たれた音に咄嗟に体が反応してしてしまったのか分からない。
しかしここからコウキとの距離はかなり距離があるにも関わらずヤシャはなぜか放たれた瞬間に金棒を振っていたのだ。自分の手が全力で振るっているのも関わらずコマ送りのようにスローモーションに見える。しまった音に反応して体が動いてしまった。これでは早すぎる。
ヤシャはこの一発が外れたのだと思い諦めてしまった。勝負においてこの数秒のずれが命取りなのだ。しかし。目の前を見ると既に目の前に槍が迫って来ていた。
「⁉」
いくら魔力を込めて投げたとはいえさすがに放ってから着弾までが速すぎる。スカイドラゴンが高速で移動しているのと向こうから飛んで来る速度を考えたって音が聞こえてから僅かの時間しか経っていない。
しかしこの距離ならばなんとか出来る。既に腕は動いているため途中で軌道を変えることなど出来ない。しかしコウキの攻撃が正確過ぎたため確実にスカイドラゴンの急所である頭部に飛んできている。これならば。
のちにヤシャは奇跡を体験したと語っている。あのコウキの攻撃は音よりも早く自分を殺さんと襲って来たと。
ガキン!という音がしてコウキ特製の金棒が砕ける音がした。それと同時にヤシャの体に物凄い衝撃が襲ってくる。
そしてヤシャの攻撃のよって軌道がそれた蜻蛉切は付与された雷魔法によって取り過ぎざまにスカイドラゴンとヤシャの体に電撃を浴びせながらも通り過ぎていった。そして空中で弾け飛んだのであった。
『体がゆうことを効かんよくぞ防いでくれたが落ちるぞ』
『あぁ我が主に一瞬でも殺意を向けてしまったのであろう。であればこうなるのは仕方のない事さ。ましてドラゴンが向けるさっきとなれば村を守るためならば何でもするお方だ。助かるはずがあるまい。』
『そうかそれほどまでに凄い人がお前の主だったのか』
『当たり前だお前も見たであろうあの攻撃。たまたまコウキ様の事を知っていたから何とか攻撃する場所を読むことが出来たが初対面でなければ絶対に避けることなど出来ない神業であった』
『確かにそうだなしかしその攻撃を交わすことが出来たお前は一歩高みに近づいたな』
『あぁ』
地面に落下していく数秒の間がヤシャにはとても長く感じた。しかし悔いはない。自分の最大の攻撃を放っても生きることすらできない強大な相手が自分の主だったこと。そして仲間はその強大な力を持ったお方に守られているということ。
あの人のもとでなら今後不自由なく暮らせるだろう。
ヤシャの頭の中に色々な思考が巡っていた。その時体がふわっと軽くなる感じがした。電撃で麻痺して痛みなどは感じないがそれでも体が浮いている感覚が分かる。
『なんだ?』
しかし体のダメージのためかヤシャはゆっくりと目を閉じていったのだった。
コウキリュディア視点
コウキは槍を投げた瞬間あのドラゴンの背中からあふれた魔力を感じ取った。
「オイあの魔力ってヤシャじゃないのか?」
「確かにあの黒い魔力は黒鬼と同じじゃな」
「やばいじゃないか攻撃しちゃったぞどうするんだよ」
「先に殺気を飛ばしたのは向こうじゃぞこれは謀反の可能性だってある」
「だったらあ一体で来るはずないだろう。遊撃隊は30人もいるんだぞ」
コウキが誤射してしまったと焦っている時。ガキンという音がして蜻蛉切の軌道がそれて後方に飛んで行った。そしてそのまま空中で弾け飛んでしまった。
「凄いぞヤシャ俺の攻撃なんて簡単に弾き飛ばしてしまうんだ。さすがだな」
「それは違うぞコウキよ良く見てみよ」
ヤシャの黒い炎がはじけ攻撃がそれたためヤシャが攻撃を防いだのだと喜んでいたがリュディアに言われてヤシャの方を見るとドラゴンが羽ばたけずにそのまま落下している。
「まさか雷は避けれなかったのか」
「痺れて羽が動かしないのであろうなあのままでは死ぬぞ」
「やばいぞリュディア一気に接近してくれそして俺はっと」
コウキは風魔法を展開していく。そしてヤシャ達の下から上空へ風が巻き起こっていく。上昇気流だ。それにより大きなドラゴンに風が当たる事で揚力が発生していく。それにより落下する速度をやわらげ浮かせることが出来た。
「リュディア頼む」
「仕方だ無いのぅ」
コウキの頼みによってリュディアは森の下に巨大なネットを張っていった。
「ほれ出来たぞ」
コウキはゆっくりと風を弱めていきネットの中にドラゴンとヤシャを落としていった。
柔らかなネットと木のしなりによって安全に回収することが出来るとヤシャ達のもとに向かった。どうやら気絶しているようだが命に別状はないようだ。
「良かった生きてるな早く村に運ぶぞ治療しないと」
リュディアがドラゴンを糸でぐるぐる巻きにするとそのままブラ下げて村まで戻って行った。訓練場に着くと急いで下ろして回復薬を飲ませて行く。ヤシャの体が淡い緑に包まれ顔色が回復していった。そして呼吸が安定すると静かに寝息を立て始めた。
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