ヤシャの冒険5
「全体集合してくれ」
ヤシャの指示により戦後処理を行っていた隊員達はすぐに集まって来た。
「この場所は中々使える。今後はここを本拠点として活用する。カゲキは周りのモンスターに気おつけながらくもまるを呼んできてくれ」
くもまるは今川に建てた仮拠点を防衛してくれている。くもまるに任せた方が今の戦いも楽に終わっただろうがくもまるはコウキ様の家族であるため万が一にもけがをさせるわけにはいかない。しかもヤシャは自分の手で今回を任務を達成したかったのだ。というわけでくもまるには拠点となった場所を守って貰っていたというわけだ。カゲキはすぐにくもまるを連れて来るために川に戻って行った。
「よしエンキここを本拠点として使うぞさすがあの岩の建設物では雨はしのげるだろうが快適ではないな。旨く処理してくれ」
「任せておけコウキ様に止まって頂くことも考えて立派に作っておく。」
今この場所にあるのは岩を組んだ屋根と簡単な壁がある程度の場所だ。オークならばこれで良いだろうが自分達が住むにはさすがに辛い物がある。それにオークの住処だったため衛生上良くないだろう。オークとは環境に強い体制を持ち多少の汚れならば気にならないのだ。早速エンキは隊員に指示を出して木を伐って丸太を運ぶように指示を出していた。岩で基礎は出来ているためすぐに建物は立つだろう。さて後は何をするか。ヤシャが今後の事を考えながら歩いている時、
「ちょっと来てくれ」
キオウに呼び止められた。特にやる事もないため呼ばれた方に歩いていく。
「どうしたんだキオウ」
「これなんだがこれは湧き水だ。上手く使えばきれいな水が使えるぞ」
キオウが指を指してみているのはオークたちが使っていたと思われるため池である。どれで濁っておりとても生活用水とは思えないのだがキオウがため池の中を魔法で少し操作して泥を書き出すと水面が下から動き出し水が出ていることが分かった。
「水量はかなり少ないが貯めておけば使えなくはないな。昨晩泊まった川は悪くはないんだがここから少し距離があるからな危険が伴ってしまう。だからこの湧き水を使わない手はないぞ」
「確かにそれは悪くないなしかしこんな惨状だぞどうやって使うんだ」
ヤシャは周りを見渡していく。オークが随分と雑に使っていたのだろう。ため池のように見えるというかもはや沼のように見えるここは泥で広範囲にぐしゃぐしゃになってしまっている。ここを綺麗にして使えるようにするにはかなり手間がかかるだろう。
「確かにそうかもしれないな。コウキ様やベーグ殿なら何か使えそうな手があるんだろうが我々の付け焼刃の知識ではきついか」
「コウキ様に何もかも頼ってしまっては成長はないぞこの湧き水はキオウに任せる。しっかりと使えるように手を加えるんだ。」
「確かにそれもそうだな。分かった何とかやってみよう」
「私は少し休ませてもらうよ魔力を貯めなければいけないし次の戦に備えたい」
ヤシャはキオウに水源を任せると家はまだできていないため適当な建設物の中に入っていった。少しでも体を休めておきたかったためすぐに横になったのだった。
湧き水を任されたキオウは悩んでいた。この泥水をどうやって綺麗な水が出るようにしようかについてだ。しばらく考えていたが特にいい案は浮かばず気分転換に歩いているとカゲキがくもまるを連れて戻ってきていた。
「キオウ今戻ったぞくもまるさんも一緒だ」
「すまないなカゲキくもまる殿も何度も拠点を移してしまって申し訳ない」
「いえいえこのような場所でしたら安全ですもんね的確な判断だと思いますよ。既に子供に縄張りを張るように伝えていますから私より強いモンスターが来ない限りは安全ですよ」
「くもまるさんよりも強いモンスターが来たら我々でも対処は出来ないので問題ありませんその時は逃げましょうね」
「そんなこと無いですよ私なんてまだまだですし、それにここだけの話コウキ様と母上が初めて会った時の事なんですが私はコウキ様のトラップで動くことが出来なくて意識ももうろうとしていましたが今ほどの強さを持っていない状態のコウキ様が母上を倒したのですよ。その時のコウキ様よりもキオウさんは強いと思います。ですから同じアラクネとなった私よりもキオウさんの方が強いということになりますね」
コウキ様の昔の話が聞けるとは思っていなかったのでとても面白い話だとは思うのだが今よりも弱いコウキ様なんて考えられないしもし本当に自分よりも弱い頃のコウキ様がその強さで上位モンスターのアラクネと戦うなんてなんという勇気なのだろうか。自分よりも強い相手を見た時は逃げろと小さい頃から教わったきたキオウはびくっりな話を聞いてしまった。傭兵としては当たり前の話だ。常に強い物に従い行動する。雇われたら最低限の仕事はして自分の命が失われる危険があると感じたらすぐに逃げる手のひらを反す傭兵とはそういう者だ。この世界では当たり前の事であり弱者が強者に勝つなどまずありえない話なのだ。それなのにコウキ様はさすがだ。強者にも立ち向かう勇気。そもそも未開の無人島しかもアラクネが住んでる無人島に住もうなど普通では考えられない話だ。それを一人で開拓していくその素晴らしさ。改めてコウキ様の偉大さが分かるという者だ。
「ありがとう良い話を聞きました。私も今ぶつかっている物に挑まなければ」
「どんなことにぶつかっているのですか?」
「実はですね」
キオウはくもまるにヤシャから任された任務について説明していった。口だけでは分からないと思ったので実際に目で見せて説明をする。簡単な話で湧き水があるのだがどうにかして生活用水として使いたいというわ話だ。
「それだったらいい考えがありますよ良かったらお教えしましょうか?」
「えーとそれはもしかしてコウキ様の?」
「はいそうです。コウキ様は良く色々なお話を聞かせてくださいましたからその中で困った時の対処法なども色々と聞いています。その時の応用ですね」
キオウは少し考えこむ。さすがはコウキ様こういった情報もしっかりと持っているわけだ。しかし先ほどヤシャと話したばかりだ。コウキ様の力に頼ってしまえば成長はないと。今回は自分の力で何とかしなければいけないのだ。
「もう少しだけ自分の考えで動きたいのですがダメですかね」
「そんな大丈夫ですよそれでは私は建築のお手伝いをしていますので何かあればお声がけください」
「はいすみません」
キオウはくもまると別れた後再び考えを巡らせる。とりあえずやってみれば何かが変わるかもしれない。
よしまずは周りの泥を除去してみるか。
土魔法を展開すると広範囲に広がっていた泥を全て取り除いてみた。すると湧き水が出ている部分はへこみがありその中から出てきていることが分かった。まぁこれは当然の話ではあるのだが平坦な場所に湧き出れば流れ出すのでそもそもたまらないし泥にもならないのだ。泥を全て取り除いて様子を見て見ると水がたまり出し再び泥になって来た。
まぁ表面の泥を取り除いただけならば同じ結果になるな。しかしどうするか
キオウは湧き水の様子を眺めて行く。徐々に徐々に水が出て来ては周りの砂を巻き込みながら溢れて来る。
土を固めて見たらどうだ?
土を巻き込むならば動かないようにすればいいのだ。キオウは早速周りの土に硬化の魔法をかけていった。そして泥を取り除く。
しまった土を固めてしまっては水が出てこれないではないか。
湧き水は本当に少量が砂の中から染み出してきている感じで穴が空いていてそこから水が出て来るわけではない。そこに硬化魔法で固めてしまっては水があふれ出す隙間が無くなり水が出てこないではないか。キオウはすぐに魔法を解除する。
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