ヤシャの冒険
「これから作戦を伝えます。まずはこの拠点の近くのモンスターの状況を確認したいです。拠点が危険にさらされるのは嫌ですからね。そしてあそこに見える火山から右側を私の班左の班をライデンの班に調査してもらいたい。毒沼と霧の森はまだいけないでしょう。装備が圧倒的に足りないですからまずはここから30分ほどの距離を偵察して帰って来てください」
さて行動開始だ。キオウには自分の班に入って貰った。早速偵察を開始する。拠点から下りになっており深い森が広がっている。回りを警戒しながら慎重に進んでいった。30分かけて周りを調査したところ分かったのは、周りのモンスターが明らかに強いということ。
例えば村でよく狩りをしているビックボアだ。ビックボアの姿を見ると明らかに体格が大きく立派な牙が4本生えている。あれはジャイアントボアになっているだろう
他にもハイドラビットの姿も確認できた。ウサギの見た目をしているが後ろ脚から繰り出されるケリは簡単に骨が折れるだろう。村のウサギは子供たちの練習に狙われるほど弱い生き物なのだがこっちに来ると鍛えた兵士であっても気を抜けば死ぬだろう。
他にも毒を持った虫なども確認が取れている。ある程度周辺調査が終わった所で一度集合地点に戻って来た。ちょうどライデンも戻ってきている。
「ちょうど良かった報告をはじめるかライデン全体集まってくれ」
「あぁそうだな」
「まずは私から見た感じ明らかに生息しているモンスターのレベルが上がっているように見える。ウサギでさせ一定の強さを持っていた。中々厄介な場所ですね」
「それはこっちも感じた。アースディアと遭遇した時今日の晩飯になると思って1匹だけ意識をこちらに向けてみたんだが驚いたよ。危うく怪我する所だったぜ」
ライデンはへらへらと危険な事を言いながらもアースディアの下処理を終わらせた肉を掲げた。
「こら勝手な事をしやがって偵察だけと言っているだろう。万が一の事があったらどうするんだ。」
「確かに完全に油断していたよ。村で取れる鹿と明らかに強さが違ってましたね。まぁ何とか倒せましたけど次は気おつけますよ」
「だいたいアースディアって群れで生活しているモンスターだろ一体倒したことによる影響はないのか?」
「全く群れで動く生物ってのは怖いよね。群れで動いてるせいで警戒が薄れるんだ。しかもこいつは多少怪我を負っていたのか年を取っていたのか群れからはぐれ気味だった。
そんな奴がいなくなったところで群れの長は気にしないだろうね。俺たちも気を付けないとコウキ様にバッサリ行かれるかもな」
「こらふざけたことも言うんじゃない。コウキ様は弱気を助けて楽を目指す。権力はあるのに大きくならない。俺たちを見捨てるなんてあるわけないだろう。」
「そっちは冗談ですよカゲキ隊長さんよ。でもよここから30分の距離でも確実にレベルが上がっている。これは相当危険な場所だ。」
「今回狙っているスカイドラゴンだがあの火山に行けば確実にいるだろうなこの強さのモンスターが当たり前のようにいる世界だ。くもまるさんの縄張り主張がなければ村も危険と隣り合わせだったでしょうな」
くもまるの縄張りと言ってもそれは強者だけの話なのだがビックボアやウサギ鹿などは縄張りの中にいても圧力をかけられることは無い。むしろ縄張りと分かっていても中にいた方が変に強者と出会うことがなく安全と分かっているのだろう。
進化していない個体はある程度犠牲を覚悟してもくもまるの縄張りに入って来るだろう。これはジン達や猟師が狩りに制限を決めて調整しているからでもある。最近では家畜が入ってきたことにより弱いモンスタにとっては安全地帯なのだ。
しかしこの縄張りの外から一歩外に出てしまえばどこを見渡しても危険が存在する。そのためこっちにいるモンスターは身を守るためにも強くなることを強制されたのだろう。
「とりあえず拠点回りはそこまでの強者はいないと判断して一度隊長に報告のために戻ります。」
「了解」
カゲキは集合地点から拠点まで戻っていった。着くとある程度基礎が出来上がり建物が形が見えて来ていた。さすがエンキだ。訓練の他にリーノ達の所にも通って、色々と勉強していただけの事はあるな。エンキの建設の仕方は魔法と駆使して建設しておりとてもスピードが速い。山の斜面で平らな土地が少ないため魔法で下を固めて土台を作っている。おかげで上に建てている家が安定しているのだ。丸太で骨組みは出来上がっているのですぐに建物が完成するだろう。
「おーいエンキ隊長はどこに行ったんだ?」
「おうカゲキか偵察ご苦労さん隊長なら上にいると思うぞ」
エンキは作業を一時中断しながら山の上の方を刺した。なるほどあそこか。
「ありがとうなエンキ家頑張ってくれよ」
「任せとけ。そうだ周りに水無かったか?家は会っても水が無ければ拠点として意味が無いからな」
「水ならこっちにあったぞ割と近場だ。」
「さすがライデンだなじゃ俺とキオウで隊長に報告に行くから水場の確保をしてきてくれよ残りの隊員全員で行ってくれ」
「あいよー」
カゲキは部隊をライデンに任せるとヤシャのもとに報告に向かった。家を作るために木を伐ったのだろう。少し開けた場所に簡易的に櫓が組まれていた。そこからヤシャは腕を組んで周りを見ていた。
「隊長報告に来ました」
「あぁすぐに行く」
ヤシャはカゲキを見つけるとすぐに櫓から降りてきた。櫓と言ってもそこまで立派なものでは無く。斜面に足場を組んで長時間監視できるように平らな床を作った程度である。元々斜面が高いためそこまで大きくする意味がないのだ。
「よし報告してくれカゲキ」
「はい報告します。ここから30分ほどの距離を半円状に偵察してまいりました。地形的にはあまり変化は見られませんでした。しかし全てのモンスターの格が一段上がっているように感じます。例としましてはビックボアがジャイアントボアになっているや野ウサギがハイドラビットになっているなどがあげられます。他にも…」
カゲキがヤシャに報告をしている時だった。
ギギャー
火山の方からワイバーンが一体こちらに飛んで来た。しかもヤシャを標的に捕らえたようでこちらに向かって来ている。
「いかんカゲキ、キオウ下がれ」
「黒き陽炎よ我に力を与えたよ火の精霊よその力を使いたまえ」
ヤシャの黒い肌から黒い炎が湧き出して来た。これが最近になり発言した力ヤシャにしか出せなかった黒い炎である。ヤシャはその黒い炎をボウガンの矢に宿らせるとワイバーンに向かって撃ちだした。
バシューン。矢は黒い炎を噴き出しながら真っすぐにワイバーンのもとに飛んで行った。矢には元々風の魔法が付与されているため高速で飛翔していきワイバーンの胴体に突き刺さった。
グギャアアアアアアア
ワイバーンは突然の攻撃に避けることもできずに黒い炎に体を焼かれもがきながら落下していった。地面にその巨体を打ち付けるとのたうち回っている。
そこにキオウが近寄って金棒を抜き様子を伺っている。やがて命が燃え尽きると動かなくなった。ヤシャは動かなくなったワイバーンを見ると自分の体から炎を消していた。
コウキ様がこの島に巨大な宝石を奉納した時期から体に力が沸き上がりこの力が使えるようになった。この炎は自分が認識した物しか燃えることは無い。
そのため森の中で使っても気に燃え移ることなく敵を焼くことが出来る。見えることは無いが火の精霊が自分を取り巻いているのを感じる。全くとんでもない力を手に入れてしまったものだ。
しかもこのような力を手に入れたのは自分だけではない。ジン殿も戦闘中に風を纏っていたしこのまえヒート隊長と戦った時なんていきなり雷の闘気が溢れだし近寄っただけでその雷のダメージが体に来てしまった。弱い戦士ならば近寄る事すら出来ないだろう。
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