ヤシャの冒険
時間は遡りアレク達が来るコウキ様とステラ様の里帰りに備えて足が欲しいという会議があった次の日である。ヤシャ達がスカイドラゴンまたはそれに準ずる獣魔の捕獲のために村を出発していた。目指すは水源にしている湖がある山の奥くもまるの生張りの範囲外の未開の土地である。
ヤシャ達はいつも訓練している通りの陣形を取り未開の土地を目指して進んでいる。今回かなり強いモンスターの目撃情報がある事からヤシャ達は仲良くしているくもまるのアラクネ種に頼んでお供してもらっている。お供してもらっているくもまるは初期変化組なのでさらに上位個体に成長しておりコマンダーアラクネとなっていた。
これによりリュディアの子供であるくもまる以外で独自に子を作り育てることで自分配下の蜘蛛がいるほどの強さになっていた。
ヤシャ達は慣れた足取りで湖の近くまでやって来ていた。
「よしいったんここで休憩を取るぞここからは未知の領域だ。」
ヤシャの指示によって隊員達は魔法で簡易的に休憩スペースを設けて行く。もうすっかり春になったとはいえ肌寒い日もある。季節的には4月ほどだろうか。外套はいらないだろうが防具の上から少しは織物をしている隊員も見受けられた。
まだ湖はくもまるの縄張りであるためゆっくり休んでも良いだろう。火を起こして湖の周りにいたウサギを狩って食事の時間にしていた。
食事をとりながらもヤシャとキオウは作戦を練っていた。
「まずは地形の把握を進めたい所だな」
「村周辺の地図は以前コウキ様が簡単に作ってくださったのでおおむねは把握しているのですが行ったこともない場所で危険地帯となると怖い所ですね」
「ここからもう少し進んだ山の麓に拠点を築いてそこを足場に出来れば偵察も順調に進むと思うのだがな」
「では偵察班と拠点作成班に分けて動きますか」
「となれば偵察班はカゲキが良いな、コウキ様やチカどのから教わった隠密能力を一番磨いているからな、カゲキを中心メンバーにして10人構成で2組ずつに分けて5班作り各地に偵察させるかキオウお前にも行ってもらうぞ」
「分かりました。では食事を済ませてから終結させましょう」
二人は話を終えると食事済ませた。そしてすぐに集合した。
「よし今から今後の説明をする。まずはカゲキお前には周辺偵察のために動いてもらう。メンバーはヤシャと残りは自由に選んで2組5グループの編成をして簡単に回りを見て来てもらう。なぜおまえに任せるか分かっているな」
「はいこの時のために鍛えておりました。確実に成功させます」
「よし残りは残りのメンバーはここからもう少し進んだあたりで偵察と今後の活動用に拠点を作る。拠点作りに関してだがエンキに任せる。適当に拠点を構築しろ」
「はい分かりました。」
「よし行くぞ」
ヤシャは指示を出すとすぐに動き出した。
まずは山越えだ。
これをしなければ先を偵察することは出来ない。かなり大きな山ではあるが山頂を目指す訳ではないのでそこまで辛くはない。まぁ長期遠征用の装備を背負っているため苦労はあるのだがきつい斜面は避けながら山の中腹辺りまで登っていく。
ちょうど連なっている山の切れ目のようになっている場所がありそこから反対側に回れる形になっていた。数時間かけて目標の場所までたどり着いた。その場所にたどり着いた隊員が向こうの景色を見ると一気に雰囲気が変わっていた。
元々この島に火山があるのは分かっていたことだがコウキ達が拠点にしている場所は比較的穏やかな場所になっていた。しかし今隊員達が見ている景色は一気に景色が変わり怖ろしい光景が広がっていた。まず目に入るのは常にマグマが噴き出している火山だ。かなり奥の方にあるため熱は感じないが近づけば相当な熱さだろう。他にも見るからし毒々しいオーラを放っている沼地や深い霧のかかった森などが見えた。
「山を挟んでどうしてここまで変わるのだ」
「隊長アレを見てください」
ヤシャが回りも見ているとキオウが隣に来て奥の方を指さした。そこを見ると深い霧が森を飲み込んでいるように見えた。
「以前リュディア様に聞いた話なのですがリュディア様がこの島の地神になられた時にリュディア様の魔力と宝石の魔力そしてこの島の魔力が混ぜ合わさったそうです。その時宝石の力によって島に大きく力がかかったそうでその影響が今後出るだろうとのことでした。」
「つまり今見ている光景は現在進行形で進化しているということかということはこれからもこの島は変化していく可能性があるということか?そうなると村は大丈夫なのか」
「それは今後なって見ないことには分かりませんね。それにこの前の襲撃の時にモンスターの生まれる力が強くなってしまいましたからね。ではここからは偵察に行ってきます」
さて予想以上に凄い環境になっていたがやる事は変わらない。隊員は分かれて行動に移った。
偵察隊カゲキ視点
俺は隊長に偵察の指揮を任された。早速隊員を選んでいく。キオウが部隊に加わるらしいがキオウならば色々とこなす万能タイプなので問題ないだろう。
しかし拠点予定地についた時は驚いたものだ。今まで見ていた景色は緑が美しくコウキ様のおかげで既に発展させた島の景色を見ていたのだがこれから行くところは違う。火山に霧のかかった森に毒沼パット見えるだけでもかなり危険な景色が広がっていく。
しかしコウキ様の里帰りのためにも頑張らなければいけない。早速人選を選んでいった。鬼人族で編成される遊撃隊は戦闘などコウキ様にしっかりと鍛えられ魔法も最初に取得したためかなり洗練されてきた。そのおかげで環境に適応される能力を持っているのだ。
しかし隊員の中にはタイプが分かれて来る。俺なんかは正面戦闘があまり得意ではなかったため勝負に勝つために気配を消して陰から敵を倒すための技を磨いてきた。俺と同じようなタイプが何人かいたため意見が合いそいつらとはとても仲を深めていた。そいつらを誘って偵察をすることにする。しかしあのような場所に行くのに流石に2組では危険なのではないだろうか。
「キオウちょっといいかな」
「どうしたんだあまり時間は取れないぞ」
「先ほどの隊長の命令なのだが俺には2組はきついと感じる。キオウも見ただろうがあの環境だ偵察範囲は狭まるだろうが安全に行った方が良いのではないだろうか」
「確かになそれに今回の部隊の隊長はお前だぞ。状況分析と指示実行はお前の権限でやるべきだと思う。偵察に関してお前が一番なのだからな」
「そういうことならば分かったまずは隊員を整列させよう」
カゲキは拠点から少し離れた所に8人を集めた。見晴らしがよく辺りが見渡せるところだ。ここからどこに行くべきか決めて行くのである。
「皆今回は私がこの部隊の隊長を任されました。カゲキですよろしくお願いします。さて時間も無いので本題に入るのですがヤシャ隊長の命令では2組に分かれて偵察とのことでしたが見た限りかなり厳しい環境となっていることが分かる。そのため5組二班に分けて偵察をしようと思います。よろしいでしょうか」
「カゲキ隊長になったからってそんなかしこまらなくてもいいんだぜ」
「こらライデン初めて任された責任ある仕事なんだから茶化すんじゃない。お前にはもう一つの班の頭になってもらうぞ」
ライデンとはカゲキと同じように戦闘が苦手な仲間だ。そしてカゲキは気配を消す事にたけライデンは相手の意識を反らす能力にたけている。どちらも偵察には向いている能力だ。そしてカゲキが一番信用しているのがこの男だ。
ヤシャの冒険




