97
夜会が終わった後コウキは豊穣のために神様の像を彫っていた。リュディアの洞窟から宝石によって魔力の籠った岩を選んで運び出しその岩を使って掘る事でなにか分からないがご利益がある気がしたのだ。コウキが像を彫っている横でステラもコウキの作業を興味深そうに見守っていた。
「コウキくんのいう神様ってなんか普通のおじいさんみたいなのね」
「そういえばここの宗教とか信仰とかあんまり分かんないんだけどステラは何を信仰してるんだ?所属によってやっぱり信じる神って違うのかな」
「そうねぇ私達は大地の神ガイア様かしらね森に生きる物としてはやっぱり自然って大切だものね」
「ガイア様かなるほどな今度皆が進行する神様も聞いて像を作っていこうかな」
「確かに教会とかもあったし皆それで心が休まるならいいかもね」
「よし出来たぞどうだ中々再現度高いだろ」
コウキは掘った神様をステラに見せていった。髭の感じから顔の輪郭までかなり細部にこだわって作り込まれている。魔力も籠って中々の完成度でかなりのご利益がありそうだ。
「完成度って言われても神様なんて見たことないでしょコウキくんは面白いこと言うわねそれよりコウキくんの作った神様ってなんて名前なの?見た事ないんだけど」
「え?そういえば神様としか知らなかったしなんて名前なんだ?」
「何言ってるのよコウキくんたらまぁいいじゃない確かによくできてる造形だしなんか神々しい感じもするはそろそろ寝ましょもう遅いし」
「そうだなまだ明日も忙しいしな」
畑仕事が終わったとは言えまだまだやらなければいけないことが沢山ある。そろそろゴルドが戻ってくるため紙を港に運ばなければいけな、ほかにも船の作成もあるし夜更かししてもステラの体にも悪いしコウキは出来たご神体をひとまず寝室に飾っておいて寝ることにした。コウキが眠りに落ちるといつもの空間にやってきた。
「やぁコウキよ調子はどうかのぅ」
「あれ神様ご無沙汰しております。どうしたんですか今回は」
「コウキがわしの銅像を作ってくれたことによってのこの世界に干渉しやすくなったのじゃだから遊びに来ることが簡単になったのじゃ」
「干渉しやすくなって自分で作った世界でしょすぐ来れるんじゃないんですか」
「それはそうもいかんこの世界はワシが作ったといっても一人で作ったわけではないからな勝手にいじると怒られるんじゃ」
「やっぱり他にも神様っているんですねそういえば神様ってなんて名前なんですか」
「ん?わしかわしはオーディン戦争と死を司っておるぞ」
「あれオーディン様ってたしか北欧の方で語り継がれている神様ですよね」
「そうじゃなおぬしらの世界ではそう呼ばれておるな」
「神様の世界にも色々あるんですねリーダーとかもやっぱりあるんですかオーディンってたしか最高神ですよね」
「まぁなくはないがのぅ昔と違ってあまり神が信仰されておらん今更誰が上とかはないのぅ昔は色々あったがな」
「なるほどそうなんですねそれでそうされたんですか今回は」
「そうじゃなそろそろ面白イベントを起こそうと思ってなコウキには頑張って乗り切ってもらうぞいわゆる神からの試練って奴じゃな」
「試練って何やるんですかいったい」
「コウキに分かりやすく説明するとなタワーディフェンスじゃ今から数日中にモンスターが島を襲うじゃろうそれをコウキは防衛するんじゃ攻めと守りに分かれたゲームじゃ」
「そんな危ないじゃないですか」
「しかし最初に言ったであろう。お主をゲームの世界に召還するとお主の好きなゲームでも襲撃イベントってあるじゃろ」
「いやそれはゲームの話でしょ僕は実際生きているんですよ」
「あのなコウキよなぜ世界には争いが無くならないと思う?みな平和を望みながらもなぜ人は戦うのじゃゲームと何が違うんじゃ神としては今までずっと世界を見てきたが必ず争いは起こっておった。それになあの島の近くにモンスターの群れは実際に近づいておるそれをわしが教えただけにすぎんわしはお主の味方なのじゃ」
「そんな神様の力で何とか出来ないんですか最悪の事態が起きたら僕は…」
「言ったであろうあまり干渉することは出来んせいぜい敵の進行を段階的に遅らせることが出来る程度だからタワーディフェンスじゃまぁせいぜい頑張って守るんじゃぞ」
「あっちょっと神様―」
コウキはだんだん視界が真っ暗になっていき意識が失われてしまった。気が付くと朝になっていた。なんて恐ろしい夢だったんだ。夢というか現実なんだけど。コウキが勢いよく起きると隣でステラが寝ていた。安心して穏やかそうな寝顔を見たコウキは決意を固めた。この島とこの島の住人を守らなければ。こうしてはいられない。コウキは起きると顔を洗ってすぐに会議を開く準備をするべく訓練所の会議室に向かった。コウキが訓練所に向かっていると訓練所で一人体を鍛えている頼りになる男ヒートの姿がみえた。
「どうしたんだよコウキ朝はえーな一本やっとくか」
コウキを見かけたヒートは肩を回しながら話しかけてきた。上半身裸で筋骨隆々としてかなり引き締まっていた。
「あぁおはようヒート。そんなことやってる場合じゃないんだよ詳しくは言えないんだけどそうだな夢の中で神様から信託があったんだよこの島にモンスターの集団が近づいているらしい。早急に対策をしないとこの島が大変な事になってしまうんだ」
「なんだコウキは神官まで出来るのか信託が下りるなんてすげーな」
「いやまぁそんなことより早く準備をしないと大変なことに」
「おいおいコウキ何言ってやがるんだおめぇは誰を前に何を話してるんだよモンスターが国を襲うなんて生きてりゃ当たり前にある事だ。そして俺たちはそれに対処するために日々訓練してんだぞ。俺たちを信じて任せとけばいいんだよ。しかも突然の悲劇じゃねーんだ知っていれば対処なんて余裕だぜ」
この男なんて肝が据わっているんだ。今までの経験なのかセンスなのか襲われると分かっていてこの落ち着きは何なんだ。さすが戦闘に関しては頼りになる男か。
「ちょっと下がって耳をふさいでな」
「ん?どうしたんだよ急に」
「いいから」
コウキは言われた通りヒートから距離を取ると耳をふさいだ。ヒートはコウキを確認すると大きく息を吸い込んだ。
戦士達よ‼集合だぁぁぁぁ
ヒートは島全体に響き渡るような大声を上げた。その声は島にいるすべての戦士に響き渡り眠っていた皆は飛び起きて訓練所に集まってくる。ネメアで何度かあったことで国が襲われかけた時には必ずヒートが全員を集めて鼓舞するのだ。その声は全体に響き渡り港の方まで届いていた。
港ではガロスが朝一人で訓練を行っていた。ネメアでヒート並んでガロスも屈指の戦士として恐れられているわけだがそのゆえんはやはり日々のたゆまぬ努力もあるだろう。
ガロスが愛剣のプロメテウスを振っているとどこからか昔からの悪友の声が響いてきた。
「ヒートかこの感覚島に危機が迫っているな」
ガロスはヒートの声声だけで何となく状況を理解するとすぐに訓練を中止して準備に取り掛かった。午前中の列車で情報が来るだろうがあらかじめこちらでも準備しておかなければならない。ガロスは一人動き出した。
村の訓練所ではヒートの声に飛び起きた隊員達が続々と集まってきた。最初に飛んで来たジンとアレクはさすがに慣れていて初めに飛んで来ると何も聞かずに隊員の整備をしていた。しばらくするとヤシャ達も集まって来て全員が訓練所に揃った。
読んでくれてありがとう!




