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「お、お前なんで……!」
「付けるって言ったじゃーん」
ワイドは窓を勝手に開け、部屋の中に入ってくる。彼のピッキング技術はもはや、神の域だろう。死神ではあるが。
「ちょっと確認、君、痣は?」
ワイドに聞かれ、セラは困惑したまま袖を捲り腕にある彼の痣を見せた。
「うーん、なんで死んでないのかなー?」
考えながら、ワイドはセラの手を握ろうとした。しかし、ヴィーリオがそれを止める。
「……俺が殺す」
そして、優しく手を握った。セラは死なない。
「ヴィーリオの問題?君の問題?どっちかなー?」
ヴィーリオを一瞥し、彼が頷いた後、ワイドはセラの手を握った。今度はヴィーリオも止めなかった。けれど心臓は高鳴って、セラは助けを求めるような顔をヴィーリオに向ける。
セラは死んでいない。
それにどれだけホッとしたか。ヴィーリオはそのまま座り込んでしまった。
「時々いるんだよね、こういう子」
「……『こういう子』はいつ死ぬ?」
ワイドは意地悪く、ニヤリと笑った。
「知りたい?」
その顔が不快でたまらなくて、ヴィーリオは首を横に振ってしまう。
「まぁ、いいよ。2人で住んでみれば?」
「……いいのか?」
「そしたら多分、殺せる」
(さっきは「だめ」って言ってたくせに)と思うが、決して口に出さない。彼の気が変わってしまったら大変だ。
「じゃあ、いくぞ」
ヴィーリオはセラを抱き抱えた。そして、窓の淵に立つ。
「……いいの?こんなことして?」
「ダメなことなんてないだろ?お前は今、死んだんだ」
ヴィーリオはニヤリと笑った。セラの心臓はいつもより激しく鼓動する。それが何によるものなのかはわからない。
2人は、その身一つで飛び出した。高い空の下、2人は自由になったのだ。
「覚えておけ、セラ。今度お前が苦しくなったらまた、空を飛んでやる」
珍しくヴィーリオはカッコつけてみた。だって、人生の中でこんなに胸踊ることなんてなかったのだから。
「一生忘れない。絶対ヴィーリオの綺麗な宝石になる!!」
建物はゴミのようで、今までいたあの、立派な屋敷だってどれだったかわからない。
「ねえ、お二人さん。盛り上がってるとこ悪いけど、現実的なことは考えてる?」
「なんだ、それ?」
「死神と人間は生活の仕方が全然違うでしょ?」
ヴィーリオは少しだけ考えた。
「……知ってる」
何があったていい。これから、セラを中心に生きていけばいいのだから。
「困ったらさ、いつでも俺に教えてね?」
「……検討はする」
ワイドは何か言いかけて迷ったように笑った後、手を振ってきた。
「大丈夫かな、僕、ちゃんと死んだことになってるかな?」
「大丈夫だ。何もないってことが死んだ証だろ」
セラははにかんで笑った。彼の不安を全部取り除くには、何をすればいいのだろう。考えてやめた、これからは彼を中心に生きていこう。そう決まると幾分か未来が輝いて見えた。何もなかった未来に、想像もつかないくらい綺麗な宝石ができたのだから。
これにて第1章完です!




