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C’est la vie!!  作者: 日々桜香
第1章 君と出会い新たな世界が広がる
8/15

8

「お、お前なんで……!」

「付けるって言ったじゃーん」

 ワイドは窓を勝手に開け、部屋の中に入ってくる。彼のピッキング技術はもはや、神の域だろう。死神ではあるが。


「ちょっと確認、君、痣は?」

 ワイドに聞かれ、セラは困惑したまま袖を捲り腕にある彼の痣を見せた。

「うーん、なんで死んでないのかなー?」

 考えながら、ワイドはセラの手を握ろうとした。しかし、ヴィーリオがそれを止める。


「……俺が殺す」

 そして、優しく手を握った。セラは死なない。


「ヴィーリオの問題?君の問題?どっちかなー?」

 ヴィーリオを一瞥し、彼が頷いた後、ワイドはセラの手を握った。今度はヴィーリオも止めなかった。けれど心臓は高鳴って、セラは助けを求めるような顔をヴィーリオに向ける。


 セラは死んでいない。


 それにどれだけホッとしたか。ヴィーリオはそのまま座り込んでしまった。


「時々いるんだよね、こういう子」

「……『こういう子』はいつ死ぬ?」

 ワイドは意地悪く、ニヤリと笑った。


「知りたい?」

 その顔が不快でたまらなくて、ヴィーリオは首を横に振ってしまう。

「まぁ、いいよ。2人で住んでみれば?」


「……いいのか?」

「そしたら多分、殺せる」

 (さっきは「だめ」って言ってたくせに)と思うが、決して口に出さない。彼の気が変わってしまったら大変だ。


「じゃあ、いくぞ」

 ヴィーリオはセラを抱き抱えた。そして、窓の淵に立つ。


「……いいの?こんなことして?」

「ダメなことなんてないだろ?お前は今、死んだんだ」

 ヴィーリオはニヤリと笑った。セラの心臓はいつもより激しく鼓動する。それが何によるものなのかはわからない。


 2人は、その身一つで飛び出した。高い空の下、2人は自由になったのだ。


「覚えておけ、セラ。今度お前が苦しくなったらまた、空を飛んでやる」

 珍しくヴィーリオはカッコつけてみた。だって、人生の中でこんなに胸踊ることなんてなかったのだから。


「一生忘れない。絶対ヴィーリオの綺麗な宝石になる!!」

 建物はゴミのようで、今までいたあの、立派な屋敷だってどれだったかわからない。


「ねえ、お二人さん。盛り上がってるとこ悪いけど、現実的なことは考えてる?」

「なんだ、それ?」

「死神と人間は生活の仕方が全然違うでしょ?」


 ヴィーリオは少しだけ考えた。

「……知ってる」


 何があったていい。これから、セラを中心に生きていけばいいのだから。


「困ったらさ、いつでも俺に教えてね?」

「……検討はする」


 ワイドは何か言いかけて迷ったように笑った後、手を振ってきた。


「大丈夫かな、僕、ちゃんと死んだことになってるかな?」

「大丈夫だ。何もないってことが死んだ証だろ」


 セラははにかんで笑った。彼の不安を全部取り除くには、何をすればいいのだろう。考えてやめた、これからは彼を中心に生きていこう。そう決まると幾分か未来が輝いて見えた。何もなかった未来に、想像もつかないくらい綺麗な宝石ができたのだから。

これにて第1章完です!

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