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「最近さ、どこ行ってんの?」
勝手に部屋に入ってきて、勝手にお茶を飲んで、ずかずかと人に質問をしてくる男はワイドだ。
「……最高の宝石を見つけたんだ」
「へー」とワイドは面白そうな顔をする。その顔がヴィーリオは面白くない。
「死ぬ前から手垢つけとくなんて、そんなにいい女なの?」
「男だ」
ヴィーリオはなるだけ短く応える。彼が会話に飽きて、なるべく穏便に帰ってほしい。ヴィーリオの願いはそれだけだった。
「男ね……」
ワイドは考えた後、軽い口調で「俺にも見せてよ」と言う。もちろんヴィーリオは嫌そうな顔をした。しかし、ワイドはそれを無視して「いつならいい?」なんてふざけたことを聞いてくる。
「いつでもダメだ。あれは俺のものだ」
「きゃーー!!大胆!!!」
彼のふざけた口調は心底癪に触る。しかし、彼くらいの人気者を無碍に扱うこともできない。
「えー、余計興味が湧いてきちゃったな……」
ワイドはテーブルに落ちた水滴を撫でながら応える。よく見ると、大きなハートを描いていた。
「くだらない……」
ヴィーリオが言った後、ワイドはメチャクチャな笑顔になる。
「ちょっとこれから君のこと付けるね!」
彼はそのまま笑顔で玄関まで向かう。
「そんなこと、本人に言うな!!!」
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「ヴィーリオ、今日もなんか話聞かせてよ」
「もう話すことはない。手札は出し切った」
ヴィーリオはセラの手をにぎにぎ握りながら答える。相変わらず、彼のことは殺せない。
「うーん。なんでかなー?」
「痣が偽物とか?」
「そんなことあるかよ……」
けれど、セラの顔は大真面目で悲しそうだった。
「……なんか、家でうまくいってないのか?」
「まぁ、そういうとこ」
今日の彼には、いつものような覇気がない。
「話したいなら、話してもいいぞ。俺は秘密は守るからな」
「うん」
セラは一拍おいた。この幼い体で、一体何を背負っているのだろうか。
「母に、『なんでまだ生きてるのか』って、兄は『お前みたいなのがいても邪魔だから、早く死ね』って」
話している間に、ポロポロとセラの透明な瞳からはこれまた透明な粒が溢れてくる。
「……俺が殺せないせいだ」
「いいよ。あんたのことは好きだ」
セラは鼻水をグジュグジュに流しながら言う。泣いている時は普通の子供になれるのかもしれない。
「あー、俺も好きだ」
ヴィーリオはローブを羽織ったまま、セラの頭をポンポンと撫でる。しかしやっぱり彼は死ななくて、やるせない気持ちになる。
「そうだ、お前俺の家に来るか?」
口から出まかせだが、彼を逃したくはないし彼にこんな顔もさせたくなかった。
「いいの?」
セラはキラキラと光る瞳でヴィーリオを見つめる。綺麗だと思った。何がかはわからない。けれど、そう感じたのだ。
「今日で死んだことにしよう。そして、これからは2人で暮らそう」
我ながらいいアイディアだと思った。これなら、もう彼だけの宝石を脅かされることはない。
その時だ。
「それはダメだよ」
窓の方から、声が聞こえた。




