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C’est la vie!!  作者: 日々桜香
第1章 君と出会い新たな世界が広がる
4/17

4

 今から数百年前——


 新米死神のヴィーリオは仕事に向かっていた。トボトボと歩く姿はまさに死神であり、通りすがりの人は皆、振り返る。そして、親指を隠した。

 彼はそんな様子を見ても動じない。もう、慣れたことなのだ。


 「死神」は正式な職業として存在はしているものの、忌み嫌われることに変わりはない。死は誰にでも平等に訪れるのに、それが近づくと嫌がるのはどうしてだろう。ヴィーリオはわからない。けれど、考えることをやめはしなかった。


 今日の仕事場は、深い森の中。その中に、一箇所だけ日差しのよく当たる場所がある。そこで、ガラスケースに入れられたまま瞳を閉じている少女。その少女が今日、手を下す相手だった。

 少女の周りを七人の小人が取り囲んでいる。


 ヴィーリオの姿をみた小人たちは、諦めたようにガラスケースを外す。

 ヴィーリオを睨むもの、祈りを捧げるもの、さまざまではあるがこちらに感情を向けてくるのは筋違いである。


 ヴィーリオは淡々と手を握った。その瞬間、彼女は目を覚ました。可愛らしいピンク色。彼女の頬の色とそっくりだ。

 小人たちは感嘆の声を上げる。しかし、もう遅い。彼女には痣が出ていて、ヴィーリオが手を握ったのだから。


「あなたが、私の王子様?」

「違う」

 ヴィーリオは冷たく答える。


「それでもいいの、好きよ。愛してるわ」

「お前はもう死ぬ」

 彼女の体からはピンク色のモヤが出てきた。ヴィーリオはそれを刈り取る。その瞬間、彼女は微笑んだ。


 彼女の頬のピンク色は消え、残っているのはヴィーリオの手元にある宝石のピンクだけ。

「あぁ、どうしてこんなことに……」

 小人たちはおめおめと泣いた。それがなんだか心に響いて、せめてもの証にと、ヴィーリオは宝石を八つに割った。

 7つは小人に、一つはもちろん自分に。こんな時でもコレクションはやめられない。


「これはあの子の魂だ。貰っとけ」

 ヴィーリオは小人たちに見つめられる。そうされるとどうしていいかわからなくて、足早に去るしかなかった——


「これがこの宝石の話だ」

「なんだ、覚えてるのもあるんじゃん」

 愛おしそうにその宝石をいじるヴィーリオをセラは何か納得したように見つめる。


「もしかしてさ、その後小人に追いかけられたりした?」

「そうだ、何日か付き纏われた」

 セラは大いに笑った。

「王子様だって、勘違いされたんでしょ?」


「……」

 ヴィーリオは黙りこくったまま、セラを睨む。それがもう、答えだった。


「でも知らなかったな、死神にも感情があるなんて」

「死神だって、元は生きてた」

「へー」


 この世界に生きているものたちは、死神について知らなすぎる。誰だって、死んだら死神になる可能性があるというのに。


「お前ももしかしたら死神になるかもな、性格悪いし」

「そうかなー?あんたはいい奴だと思うよ」


 ヴィーリオは照れてしまって何も言えない。そんな様子をセラは面白そうに見つめている。


「あんたの名前は?」

「……ヴィーリオ」


 名前を教えるのなんて初めてだった。これから殺す相手だというのに、なぜかセラには冷たくできない。きっと、彼の性格が悪いせいだろう。そして、自分は彼の手のひらの上で踊らされているのだろう。それでもいいと思った。だって、この関係性の幕を引くのは自分なのだから。


 

 


 

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