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「ねぇ、あんたが集めた宝石見せてよ」
昨日言われた、セラのそんな一言が嬉しくてヴィーリオはコレクションをいくつか運んできた。今まで、この宝石は気味悪がられるか売ってくれと頼まれるかの二択だったので、この誘いは甘いものに感じられる。誰だって、自分の自慢のものに興味を持たれて嬉しくないはずがないだろう。
「わ、本当に持ってきたんだ」
「お前が持ってこいって言うから」
「そんなに大量じゃなくても良かったんだけど」
セラの言葉を無視して、ヴィーリオはベッドの上にせかせかと宝石を並べる。
「この宝石の色ってさ、どうやって決まるの?」
「瞳の色だ」
セラはヴィーリオを見つめた。そして、なんでもないことのように聞く。
「……僕は何色?」
「透明」
ヴィーリオは嬉しそうに答えた。セラが宝石になった後のことを考えると、どうにも笑いが止まらないのだ。
「……あんたはさ、自分の瞳の色、知ってるの?」
「見たことない」
彼は自分を嫌い、その姿すらも見たことはなかった。世の中で少しだけ嫌われる死神。その姿を再認識したところで、何になるのだろうか。
セラは若干気まずそうな顔をして、無理やり話題を変える。
「この人って、どんな人だった?」
セラが指さしたのは、赤い宝石。瑞々しさはなく、どす黒く光を反射する。まるで人の血を吸ったみたいな色だ。
「知らん」
ヴィーリオは短く答えた。
「えー?覚えてないの?」
「興味がない」
彼にとって、宝石は宝石でしかない。わざわざ、その人の人生まで追う必要はないのだ。
「じゃあ、なんで僕のことは構うの?」
「付加価値をつけるためだ!」
ヴィーリオはまた急に笑顔になった。それとは反対に、セラの表情は暗い。
「僕の人生を、そんな風にしか見てないんだ……」
「当たり前だろう!」
間髪入れない回答に、セラはヘラっと笑う。
「もうちょっとさー、罪悪感とか持って欲しいんだけど?」
「持つわけない」
セラは笑った。その後、激しく咳き込む。
「お、おい、大丈……」
「いいから」
慌てるヴィーリオをセラは手で制した。彼の咳が落ち着いた後、ヴィーリオは質問してみる。
「お前って、なんの病気なんだ?」
「さぁ?余命一ヶ月ってことだけ」
セラはチラリとあの痣を見せた。ヴィーリオはそこに大事そうに触れる。
「なんでかな……」
今度はどっちも触れることを嫌がらなかった。それは、綺麗な宝石を見たせいだろう。
セラは、ヴィーリオの胸元にネックレスがぶら下がっていることに気づいた。そして、それを無理やり自分の目の前まで持っていく。そのネックレスには、ピンク色の小さな宝石がついていた。
「やめろ」
ヴィーリオは低い声で警告した。セラはパッと手を離した後、面白いものを見つけたようにニヤリと笑う。
「ねぇ、それは誰の宝石?」
「お前には関係ない」
言いながら、彼はずっとその宝石を手でいじっていた。
「僕、暇なんだよ。どうせ死ぬんだし、教えてくれてもいいでしょ?」
セラは瞳を潤ませて、それが自分の一番可愛い顔だという顔をする。
「……なんてことない話だ」
ヴィーリオも、暇だった。彼になら、話してもいいかと思えた。
「もう数百年前のことだ——」




