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C’est la vie!!  作者: 日々桜香
第1章 君と出会い新たな世界が広がる
2/15

2

「ヴィーリオってさ、なかなか趣味悪いよねー」

 彼が集めた宝石を鑑賞しながら、そんなことを言うのは彼の同僚のワイドだ。ワイドはヴィーリオの家に無断で侵入し、彼の宝石コレクションをこれまた無断で見つめている。


「お前、興味ないなら見るなよ」

 ヴィーリオのめんどくさそうな雰囲気を感じ取って、ワイドは笑いながらため息を吐いた。

「こんなの集めて何になるの?」

「綺麗だから……」

 ヴォーリオは照れながら言う。その返答にワイドはまた、笑った。


「ほどほどにしときなよ。情でも湧いたらどうする」

「……わかない」

 ワイドは困った顔をしながら出ていった。ワイドが自分のためをおもってくれていることはわかる。けれど、この趣味を止めることはできなかった。


 鈍い光を反射する、オレンジ色の宝石を見ながらヴィーリオはため息をつく。

「綺麗なものは、綺麗だ……」


 ____________


 今日もヴィーリオはあの少年の家に来た。部屋まで案内してくれるメイドは、何日も連続で訪れていると言うのに顔色ひとつ変えない。


「あ、やっぱり来たんだ」

 少年はベッドの上で笑った。その笑顔はヴィーリオをイラつかせる。

「今日こそお前の宝石をもらうからな」

 正々堂々と宣言した後、ヴィーリオは優しく手を握った。これは死神のマナーのようなもので、彼はいちいち守らずにはいられなかった。


「で?僕の宝石は?」

 少年はまた、ヴィーリオを煽る。

「うるさい!!」

 口では悪態をつきながらも、手つきは優しい。少年は、彼のことをいまいち悪い男だとは思えなかった。


「くっそ、なんでだ?」

「殺せないなら、また来てくれる?」

 ヴィーリオは睨みつけたまま何も返さない。しかし、それが答えであった。


「絶対俺がお前のこと、殺してやるからな」

 この一言に、少年の胸は跳ねた。これはまるで……

「お前じゃなくて、セラだよ。名前で呼んで」

「これから長い付き合いになるんだし」セラはまた、ヴィーリオを試すような発言をする。


 ヴィーリオは口先まででかかった批判の言葉を深く飲み込んでから、納得した。

「そうだ、俺は今まで殺す奴の名前なんて知らなかった」

 

 名前を知ることで、ただの宝石が「特別」なものになるのだろうか。ひとつだって、同じ宝石はないけれど「特別」な宝石があったっていいだろう。


「いいぜ、じっくり殺してやる」


 そして、ただの宝石を「セラ」にするのだ。彼が死んだ時、自分はどう思うのだろうか?その宝石は、きっと一等綺麗に違いない。


「そう?毎日来るなんて、死神も案外暇だよね」


「暇でいい。お前を宝石にできるなら」

 ヴィーリオはニコリと笑った。セラはなんとなくその顔を見れなくて、ベッドに倒れ込む。

「なんだ、お前?また熱上がったのか?」

 セラの額に触れた後、咄嗟に手を離す。


「いいよ。死なないんでしょ?」

「あぁ……」


 自分は一体、何を恐れたのだろうか。きっと、彼を特別にする前に殺してしまうことが惜しいと感じたのだ。

 ——『情でも湧いたらどうする』

 あの時の、ワイドの言葉が胸に突き刺さる。


 (情が湧いても、殺せなくなるわけじゃない)

 ヴィーリオは決意した。必ず、自らの手でセラを殺して、透明な宝石を手に入れると。

 

 

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