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「ヴィーリオってさ、なかなか趣味悪いよねー」
彼が集めた宝石を鑑賞しながら、そんなことを言うのは彼の同僚のワイドだ。ワイドはヴィーリオの家に無断で侵入し、彼の宝石コレクションをこれまた無断で見つめている。
「お前、興味ないなら見るなよ」
ヴィーリオのめんどくさそうな雰囲気を感じ取って、ワイドは笑いながらため息を吐いた。
「こんなの集めて何になるの?」
「綺麗だから……」
ヴォーリオは照れながら言う。その返答にワイドはまた、笑った。
「ほどほどにしときなよ。情でも湧いたらどうする」
「……わかない」
ワイドは困った顔をしながら出ていった。ワイドが自分のためをおもってくれていることはわかる。けれど、この趣味を止めることはできなかった。
鈍い光を反射する、オレンジ色の宝石を見ながらヴィーリオはため息をつく。
「綺麗なものは、綺麗だ……」
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今日もヴィーリオはあの少年の家に来た。部屋まで案内してくれるメイドは、何日も連続で訪れていると言うのに顔色ひとつ変えない。
「あ、やっぱり来たんだ」
少年はベッドの上で笑った。その笑顔はヴィーリオをイラつかせる。
「今日こそお前の宝石をもらうからな」
正々堂々と宣言した後、ヴィーリオは優しく手を握った。これは死神のマナーのようなもので、彼はいちいち守らずにはいられなかった。
「で?僕の宝石は?」
少年はまた、ヴィーリオを煽る。
「うるさい!!」
口では悪態をつきながらも、手つきは優しい。少年は、彼のことをいまいち悪い男だとは思えなかった。
「くっそ、なんでだ?」
「殺せないなら、また来てくれる?」
ヴィーリオは睨みつけたまま何も返さない。しかし、それが答えであった。
「絶対俺がお前のこと、殺してやるからな」
この一言に、少年の胸は跳ねた。これはまるで……
「お前じゃなくて、セラだよ。名前で呼んで」
「これから長い付き合いになるんだし」セラはまた、ヴィーリオを試すような発言をする。
ヴィーリオは口先まででかかった批判の言葉を深く飲み込んでから、納得した。
「そうだ、俺は今まで殺す奴の名前なんて知らなかった」
名前を知ることで、ただの宝石が「特別」なものになるのだろうか。ひとつだって、同じ宝石はないけれど「特別」な宝石があったっていいだろう。
「いいぜ、じっくり殺してやる」
そして、ただの宝石を「セラ」にするのだ。彼が死んだ時、自分はどう思うのだろうか?その宝石は、きっと一等綺麗に違いない。
「そう?毎日来るなんて、死神も案外暇だよね」
「暇でいい。お前を宝石にできるなら」
ヴィーリオはニコリと笑った。セラはなんとなくその顔を見れなくて、ベッドに倒れ込む。
「なんだ、お前?また熱上がったのか?」
セラの額に触れた後、咄嗟に手を離す。
「いいよ。死なないんでしょ?」
「あぁ……」
自分は一体、何を恐れたのだろうか。きっと、彼を特別にする前に殺してしまうことが惜しいと感じたのだ。
——『情でも湧いたらどうする』
あの時の、ワイドの言葉が胸に突き刺さる。
(情が湧いても、殺せなくなるわけじゃない)
ヴィーリオは決意した。必ず、自らの手でセラを殺して、透明な宝石を手に入れると。




