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C’est la vie!!  作者: 日々桜香
第3章 私を知り、あなたを知る
19/27

5

 今日もヴィーリオは仕事に向かう。今日の仕事場は街中の工房だった。

「おじいさん、死なないでよ!」

 鼻の長い、木の人形が床に倒れこんだおじいさんに声をかける。

「もう、わしも寿命じゃ。痣だって出てる」


 2人のこのやりとりを見届けた後、ヴィーリオは工房の中に入った。

「し、死神……!」

 木の人形は異常に反応する。

「お前なんか、僕が倒してやるんだぞ!」

 人形の鼻が伸びた。彼はおじいさんに制され、口を閉じる。


「どうか、一思いにやってください」

 ヴィーリオはおじいさんの手を優しく握った。すると、青い靄が出てきて、それを刈り取った後、宝石にする。

「もらうか?」

 人形に声をかけた。彼はこくりと頷いたので、ヴィーリオは宝石を二つに割る。


「どうして全部くれないんだ!!」

「これは俺の取り分ってやつだ」

 ヴィーリオがニヤリと笑うと、人形は顔をこちらに向けて彼を下から見上げた。


 (睨んでるのか?)

 きっと、人形だから表情を変えれないのだろう。けれど、仕草は一丁前に人間だ。


「なんでおじいさんが死んだんだ……!」

「……誰でも死期は決まってるさ」

 また、人形の鼻が伸びた。

「僕の鼻は、嘘に反応して伸びるんだ!!!」


 ヴィーリオは走って逃げた。このことが知られたらまずい。沈黙は金である。


「まて、このやろー!!」

 必死に追いかけてきたが、なんとかまけた。久々に走ったので、肺が痛い。


「お疲れだねー」と、声をかけてきたのはワイドだ。

「僕がちょっと記憶消してくるよ」


 彼は駆け出し、そのまま見えなくなった。


 どうして、彼はそこまで自分の面倒を見てくれるのだろうか。ヴィーリオには思い当たることがなかったが、きっと、彼の生前のことが関係しているのだろう。


 (仕事中は、喋らないようにするかー)

 それが彼にできる精一杯であった。

 ________________


「ヴィーリオ、僕、料理してみたよ」

 家に帰り、やや焦げ臭い匂いがすると思ったら、セラにそんなことを言われた。


「……出来は、期待しない。が、怪我するかもしれないから次はやるな」

 ヴィーリオの返事にセラはしょんぼりした。

「出来は期待しない、けど食べてはみたい……」

 セラの顔は輝いた。ヴィーリオはその顔に弱くて、もう、なんでもしてあげたくなる。


「はいどうぞ!」

「あーん」と差し出してくるのは、真っ黒な何か。口に含むと、やっぱり苦い。正直言って、不味い。

「どう?」

 セラは期待した顔で問いかけてくる。


「まぁ、初めてならいい。次からは一緒につくろう」

 最後の言葉を強調して言った。セラには意図がいまいち伝わっていないみたいで、飛び上がって喜んだ。


「毎日作るよ!」

「ダメだ、一緒にだ」

 


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