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C’est la vie!!  作者: 日々桜香
第3章 私を知り、あなたを知る
17/26

3

 鍵のかかっていない扉を勝手に開け、家にお邪魔する。中ではワイドがソファーの上でコーヒーを飲みながらくつろいでいた。

「勝手に入ってこないでよー」

「お前も勝手に入ってくるだろ」

 ヴィーリオはワイドを軽く睨みつける。ワイドは、「怖いなー」と嘘くさく笑った。


「で?またあの子の話?」

「いや、ちょっと違う」

 顎を撫でながらヴィーリオは考えた。自分が聞きたいことはなんなのだろう。ありすぎて一つの質問にまとめることはできなかった。


 そんな様子を見ながらワイドが「ふふっ」と笑う。

「君はいつもそんな感じだ。なかなか答えを出せない」

 ワイドは、時々何かを懐かしむようにヴィーリオを見つめる。そうだ、彼は何を懐かしがっている?


「お前は、いつから俺を知っている?」

「うーん」とワイドは答えたくなさそうにしている。だけど、これを答えてもらわないと何かが進まない気がした。


「いいから答えろ!」

「えー?」やはり彼はヘラヘラ笑い、何かを隠している。

「お願いします。教えてください」

 ヴィーリオは恐る恐る頭を下げた。すると、ワイドはようやく口を開く。


「……死ぬ前」

「え?」

「死ぬ前から……」

 珍しく、彼はボソボソと喋る。


「死ぬ前?」

 ワイドは頷いた。


 それはつまり——

「お前が俺を殺した?」

 それにはワイドは頷かなかった。代わりに、ヘラリと笑った。


「わかった」

「わかった」「わかった」自分が口にした言葉を何度も反芻する。本当は、わかってなんていなかった。

「お前が前に言ってた殺せない少年は俺か?」

「そうだよ」


 ワイドは今回は教えてくれた。

「わかった」

「わかった」「わかった」「わからない?」そんな言葉が何度もこだまする。

 つまり、ヴィーリオとセラにはなんらかの共通点があって、殺せないのだろう。


「俺たちの共通点は?」

「瞳の色」

 ワイドは短く答えた後、杖を取り出し、ヴィーリオの前に水鏡を出した。


 それに反射したのはもちろん自分の姿で、血色の悪い顔色の中でひときわ輝くその瞳の色は——


 透明だった。


「なんで……?」

 ワイドは気まずそうに微笑んだ。そして息を吐いて、口を開く。

「君が死ぬ前には、多分色があったはずだ。瞳に色があれば殺せると思う」

 淡々と答えて、杖を下ろし水鏡をなくした。


「どうやって瞳に色をつける?」

「さぁ?一緒に暮らすうちについたよ」

「そうか」


 とりあえず、今日わかったことはセラとヴィーリオの瞳の色は同じということ。彼らには共通点があって殺せなかったということ。そして、透明な瞳は、いつか色づくということ。


 色づくということは、まだ見たことのない宝石は作れないということだ。そんなことはどうだっていい。ただ、それをセラに伝えていいのかわからなかった。だって、彼は世界で一番綺麗な宝石になることを望んでいたのだから。 


 

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