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鍵のかかっていない扉を勝手に開け、家にお邪魔する。中ではワイドがソファーの上でコーヒーを飲みながらくつろいでいた。
「勝手に入ってこないでよー」
「お前も勝手に入ってくるだろ」
ヴィーリオはワイドを軽く睨みつける。ワイドは、「怖いなー」と嘘くさく笑った。
「で?またあの子の話?」
「いや、ちょっと違う」
顎を撫でながらヴィーリオは考えた。自分が聞きたいことはなんなのだろう。ありすぎて一つの質問にまとめることはできなかった。
そんな様子を見ながらワイドが「ふふっ」と笑う。
「君はいつもそんな感じだ。なかなか答えを出せない」
ワイドは、時々何かを懐かしむようにヴィーリオを見つめる。そうだ、彼は何を懐かしがっている?
「お前は、いつから俺を知っている?」
「うーん」とワイドは答えたくなさそうにしている。だけど、これを答えてもらわないと何かが進まない気がした。
「いいから答えろ!」
「えー?」やはり彼はヘラヘラ笑い、何かを隠している。
「お願いします。教えてください」
ヴィーリオは恐る恐る頭を下げた。すると、ワイドはようやく口を開く。
「……死ぬ前」
「え?」
「死ぬ前から……」
珍しく、彼はボソボソと喋る。
「死ぬ前?」
ワイドは頷いた。
それはつまり——
「お前が俺を殺した?」
それにはワイドは頷かなかった。代わりに、ヘラリと笑った。
「わかった」
「わかった」「わかった」自分が口にした言葉を何度も反芻する。本当は、わかってなんていなかった。
「お前が前に言ってた殺せない少年は俺か?」
「そうだよ」
ワイドは今回は教えてくれた。
「わかった」
「わかった」「わかった」「わからない?」そんな言葉が何度もこだまする。
つまり、ヴィーリオとセラにはなんらかの共通点があって、殺せないのだろう。
「俺たちの共通点は?」
「瞳の色」
ワイドは短く答えた後、杖を取り出し、ヴィーリオの前に水鏡を出した。
それに反射したのはもちろん自分の姿で、血色の悪い顔色の中でひときわ輝くその瞳の色は——
透明だった。
「なんで……?」
ワイドは気まずそうに微笑んだ。そして息を吐いて、口を開く。
「君が死ぬ前には、多分色があったはずだ。瞳に色があれば殺せると思う」
淡々と答えて、杖を下ろし水鏡をなくした。
「どうやって瞳に色をつける?」
「さぁ?一緒に暮らすうちについたよ」
「そうか」
とりあえず、今日わかったことはセラとヴィーリオの瞳の色は同じということ。彼らには共通点があって殺せなかったということ。そして、透明な瞳は、いつか色づくということ。
色づくということは、まだ見たことのない宝石は作れないということだ。そんなことはどうだっていい。ただ、それをセラに伝えていいのかわからなかった。だって、彼は世界で一番綺麗な宝石になることを望んでいたのだから。




