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C’est la vie!!  作者: 日々桜香
第2章 暮らしと日々を君と
14/15

6

 窓の外では、シトシトと雨が降り注ぐ。こんな日はゆっくりと過ごすのが一番だ、そう思ってヴィーリオは丁寧に紅茶を入れ、優雅な休日を謳歌しようとした。しかし、セラはそうでもないらしい。


「暇だよ。雨に濡れてきていい?」

「ダメに決まってるだろう」

「風邪でも引いたらどうする」その言葉は喉から出かかって、引っ込んだ。そういう言葉をかけるのは何と無く恥ずかしいのだ。


「……勉強でもするか?」

「うん、する!」

 セラは食いついてきた。彼には教育が必要だと、前々から思っていたのだ。彼は、名家の生まれであるはずなのに字が読めない。それでは彼に不利益が生じるだろう。


 ヴィーリオは文字と簡単な計算を教えるつもりだった。


「で、3が4つで12、そして5つなら……」

 ヴィーリオは本当に簡単な計算だけを教えるつもりだったのだ。彼はかなり飲み込みが早く、文字もすぐに覚えて計算だってどんどんできるようになった。ペンの持ち方はおぼつかないが。


「外国語でも習ってみるか?」

 これ以上の数学は彼にとって理解できなかった。おそらく、あってはいるのだろうけど自分だけわからないのは悔しい。

「うん、やってみたい」


「フラシュ語を教えよう」

「うん」

「1は、un。 2はdeux。 3はtrois……」

 セラはぐちゃぐちゃの字で必死にメモをとる。後から、読み返せるのだろうか。


「un,deux,trois,quatre,cinq,six,sept,huit,neuf,dix」

 彼は、美しい発音で10まで数えることができた。

「やっぱすごいな!とっても綺麗だ」

「それはなんて言えばいい?」


「jolie」

「jolie!!」

 テンションんが上がったのか、セラはその言葉を何度も繰り返す。


「もう次にいくぞ。他には何が言いたい?」

「あなたを愛しています」

 セラは真面目な顔をしている。その瞳に見つめられてヴィーリオは気まずくなって目を逸らし、頬をかく。


「……そんな言葉、使う機会あるか?」

「多分、あるかも」

 もしかしたら、セラの頭の中はお花畑なのかもしれない。妄想の中で誰といちゃついてたって、ヴィーリオの知るところではない。


「Je t’aime」

 小っ恥ずかしくなって口元がムズムズしてしまう。

「Je t’aime!Je t’aime!」

 セラは嬉しそうに何度もいう。ヴィーリオに向かって言っている気がするのは気のせいだろう。気のせいじゃなくても、きっといい練習相手だと思われているのだろうが。


「こういう言葉はな、大切な人にとっておくんだ」

「えぇ?」

「普段言わないやつから言われたほうが刺さるだろ?」

「そうなの?」

「うん」

 なだめるために適当に返事をした。ヴィーリオ自身はそんな言葉で心が動いたことなんてなかったが。


「じゃあ、最後の最後に言おう!」

「あぁ、そうしとけ」

 

第2章完です!

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