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C’est la vie!!  作者: 日々桜香
第2章 暮らしと日々を君と
12/19

4

 ヴィーリオは今日も仕事に出かける。今日はよく知ったあの家に行くことになった。


 街の中心、青い屋根の大きな屋敷。セラの住んでいた家だ。


 今日も、なんともない顔でメイドはヴィーリオを迎える。


 (あいつはいないはずだが……?)

 疑問はすぐに解消した。今日死ぬのは屋敷の主人だ。


 大きなベッドに寝かされ、かなり弱っている。ヴィーリオは彼の手を優しく握り、宝石を固めた。緑色の宝石。これもなかなか綺麗である。


「……今回はちゃんと殺せたんだ」

 いつの間にか後ろにいた青年。セラによく似ているが、彼よりもさらに腹黒そうである。

「もちろんだ」


「ありがとう。君のおかげだ」

 青年は満面の笑みで笑った。人の家庭の事情なんて知らない。知りたくもない。


「そうか」

 短く答えて足早に家に帰った。


 どうしても、セラに会いたかった。早くあの顔を見たい。彼に癒されたい。今日は、抱きしめてもいいだろうか。


 ガタンと大きな音を立てて扉を開く。


「あれ?今日は早いじゃん?」

 セラは優雅にお茶を飲みながらソファーに腰掛けている。


 彼の姿を見た途端、急に力が抜けて地面に座り込んでしまう。


 (なんだ、力が入らなくなったぞ)


 セラが駆け寄ってきて、ヴィーリオの顔をペチペチ叩く。

 

「まだローブを脱いでない」

「どうせ死なないしいいよ」

「俺はお前をそんな殺し方したくない」


 きちんと手を握って、作法に則って殺したい。しきたりにはちゃんと意味があるはずだ。 


 ボトっと音を立てて、ヴィーリオの胸元から緑色の宝石が落ちた。

 

「これはどんな宝石?」

「跡取りに毒殺された男だ」

「ふーん」


 ヴィーリオは苦虫を潰したような顔をする。


「お前は、それを聞いてなんとも思わないのか?」

 恐る恐る聞いてみた。彼の、父親であろうということは口が裂けても言えない。

「死は平等に訪れる。原因を探っても、死ぬときは死ぬんだ」

「ああ、そうだな」


 彼は以外と達観している。どちらかというとその価値観は死神側に近いのかもしれない。


「お前は死んだら、死神になるかもな」

「あー、死神って人間でもなれるんだっけ?」

「そうだ、死んだやつはなる」


 セラはふむふむと顎を撫でる。何を想像しているのだろうか。


「じゃあ、あんたって生きてる頃はどんな人だったの?」

「さぁ?覚えてない」

 腕を組んで考えても、思い浮かばない。浮かばないものは仕方ないのだ。


「……僕も忘れるのかな?」

「俺が覚えといてやる」

 頭を撫でてみる。彼の瞳を見つめた。いつもと変わらない透明な瞳。そこに映るのはヴィーリオだけ。


 (ずっと、俺だけ写してればいい)

 

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