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「おそいよ!ヴィーリオ!!」
扉を開けるとすぐに、セラが駆け寄ってきた。こんなに暗いなか、待っているとはなんと健気なことだろうか。ヴィーリオは彼のことを見直した。
「夕飯作るから待っとけ」
ぶっきらぼうに言って、一緒にキッチンまで歩く。セラはなんだかそわそわしている。気づいてもヴィーリオは知らないふりをした。きっと、何かいけないことでもしたのだろう。子供とはそういうものである。
「何作るの?」
「……シチュー?」
ヴィーリオは料理なんてしたことがなかったが、見よう見まねでやってみる。野菜と肉を刻み、牛乳で煮込む。その後、味見をしつつ塩を足していき、ヴィーリオの料理第一号は完成した。
「わぁ、意外と様になってるじゃん!」
「食べてみろ」
進めつつ、ヴィーリオも口に運ぶ。
「あ!美味しい!!」
「うん……」
ヴィーリオにとってはまずまずだったが、セラは好みみたいだ。彼は嬉しそうにばくばく食べる。
「お前、ここにきてから元気になったよな」
「うーん?そうかも」
ヴィーリオはセラのことを鋭い目つきで見つめた。このことで彼の考えがだんだんと真実に変わって行く感じがする。それは仕方のないことだ、ありふれたことだとはわかっていても胸が痛んでしまう。きっと自分はこの少年に深入りしすぎたのだ。
「明日も明後日も、ずっとこれが食べたい!」
「……うん」
「お前は俺に殺されるんだぞ」とは言えなかった。セラに同情してしまったのだ。もうすぐ死ぬ少年、家族仲のよくなかった少年、それでつながることはあるだろう。
「死神」は死を司ると言っても、神は神で人に同情するとは愚かなことだ。
ヴィーリオはセラの手を握った。もちろん、ローブは羽織ったままで。それでもセラは死なない。
「……急に何?」
「今日の最後の仕事だ」
「本当に、いつになったら殺せるんだろうね?」
彼はどうでもいいことみたいに言う。ヴィーリオはそれに苛立ってしまった。どうしても、彼が彼自身を軽んじることが許せないのだ。
「お前は俺の一番の宝石だ。もっと自信持て」
「そうだね。もう飾る場所決めてるくらいにはね」
セラは悪びれることもなくウインクした。
「見たのか?」
「うん、綺麗だった」
「そうか、それならいいんだ」
できるだけ穏やかに答えた。ヴィーリオは宝石を褒められることだけは嬉しかったのだ。苛立ちも、伝わらないようにした。これはヴィーリオのエゴだが、彼の前ではできるだけ優しい自分でいたいのだ。




