↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Brides of Destiny - 運命の花嫁たち  作者: Telda Caladlimion
第一部 第一篇 A Long Journey Home - 遥か彼方なる故郷
4/26

新たなる故郷

 セフィアンたちはさらに西へと向かう。

馬車がないため、リュカとエドワードを馬に乗せて、大人は歩いた。

しかし子供たちはすぐに疲れてしまうので、頻繁に休憩が必要となる。

それで思うようには前に進めなかった。

北にそびえる山岳を迂回するように、南から周る。

そしてようやく西端の海岸線が見えてきた。


そこから北西へ歩いて一日、海峡にかかる大きな橋が正面に見えてくる。

対岸には、さらにルノリスの旧領からも外れる土地が広がる。

リヒトハルトの追手がここまで来るとは流石に考えにくい。

しかしそれでも一行は緊張しつつ、閑散とした橋を渡る。


橋の先にある小さな宿場で物資を補給し、宿も取って休息することができた。

そこからさらに時間をかけながら四日ほど南下すると、

大都市ナヴィスベリーが見えてくる。

セルジオ曰く、世界有数の発展した街の一つだという。

街には隣接した港もあるので、ここで祖国へと向かう船を探そう。

そういった算段だった。



 翌日から船探しが始まった。定期便は元々行き来していないため、

商会ギルドなどに立ち寄り私有船の持ち主たちとの貸切交渉を行う。


「最近の海は荒れ気味で、魔物に沈められたって船は数え切れない。悪いけど、危険水域を通るかもしれない場所に、船なんて出せないよ」


「はぁ? そんなもん、いくら金積まれたって無理だね。おたくらの目的地には、”航路”がねえんだよ」


どの商会でも取り付く島もない。

しかし――


「結構ですよ。出しましょう、私どもの船を」

とある海運商会にて、そう答える船主が現れた、のだが。


「まことか! それはかたじけない!」

「ただし! 船団を組んでもらいますがね」

「船団、とな……?」

船主は商売人の笑みを浮かべ、そして続ける。


「ええ、船団です。最低でも護衛を二隻、随行させます。当然その二隻には、戦闘員を配置せねばなりません。航路のない目的地ともなれば、どんな危険があるかも分からないのでね。それくらいの用心、するのが当たり前なんですよ?そんな航海に単独一隻で挑むなんて、ただの自殺行為だ。ここに来る前にも、他の船主たちに頼んだのなら、似たような理由で断られたのではないですか?」


一隻分の貸切代金なら用立てられる。しかし流石に三隻、

それも護衛まで雇う。そんな資金は持ち合わせていなかった。

焦りの表情を浮かべながら、セルジオは船主に訴える。

「後払いにはできませぬか? 目的地に着いた暁には必ず、言い値でお支払い致します!」


しかし、船主はため息混じりに答えた。

「あなた、”なり”は行商のようだが、商売人じゃあないですね。後払いなんてものは、お互いに信頼がなければ成立しませんよ。先に払える金が無いなら、この話はこれで終わりだね」

そう言われると、一行は建物から追い出されてしまった。



 結局ただの一隻として借りることも叶わず、

さすがのセフィアンも途方に暮れて俯いた。

しかし暫しの沈黙を経て、セルジオは口を開いた。

「私の妻の親族がルノリス……」

一瞬言い淀むも、すぐに言葉を続けた。

「ルノリスのサント・フロールの街に住んでおります。私も見知った信頼のおける者ゆえ、頼ってはいかがでしょう」

草地に置かれた荷にもたれ、うつらうつらと微睡むリュカ。

彼に目をやり、一瞬考えた末に目を伏せる。

そしてセフィアンは答えた。


「そなたが申すとあらば、異存はない。そういたそう」

こうして彼らの次の目的地は、ここからずっと北にある街、

サント・フロールに決まった。



 今度も長距離の旅となるため、再び馬車を調達する必要がある。

その資金として、しっかりと時間をかけてセルジオが交渉し、

いくつかの宝石を売り払った。

最上級ではなくとも、入手できる最も良い馬車を購入し、

一緒にそれを引くための若い馬も二頭購入。

これまで乗ってきた二頭の馬は売却した。

物資も余裕を見込んで買い込んで、立派な新しい馬車へと載せる。

これまでになく準備万端。セフィアンたちはナヴィスベリーを後にし、

サント・フロールに向けて出発した。



 ルノリス国境の橋を渡ると、今度は平野を北上する。

リヒトハルト領からまだそう遠く離れていないため、

万が一を考えて街道を避けた。

大きく長く北へと伸びる山脈を右手に、草原を駆け抜けるように進んだ。

やがてリヒトハルトの国境へと伸びる街道が見えてくる。

幸い旅人の往来もなく、その隙にこれを急ぎ横切った。


「これより先は、さらに人の気配も減るでしょう。そろそろ道に戻っては?」

セルジオは笑顔で進言した。しかしセフィアンは尚も表情険しい。

「万に一つとて、危険は避けたほうがよい。今暫くは森の縁を征く」

一行は西側に広がる森を隠れ蓑に、その縁に沿って回り込むように進んだ。



 その日は森の端から少し中ほどに進んだ所に、適度に開けた場所があった。

日も暮れかけていたので、セフィアンたちはそこを今夜の野営地に定めた。

手際よく枝木を集めて、焚き火に火を付ける大人たち。

リュカはエドワードと、馬車の中からそれを眺める。

やがて間もなく、夜の帳が下りる。虫の声が木々の葉を揺らした。

池でもあるのか、遠くからは蛙の声も聞こえる。

ゆらめく炎を囲み、リュカは皆と一緒に夕餉を楽しんだ。

乾パンと干し肉、いつも通りの旅の食事だったが、とても美味しかった。

食事を終えると、子供たちは馬車へと戻り、ゆっくりと眠りについた。


 夜半、リュカは不快感を感じて目を覚ます。

何か落ち着かない、言い表せない不安を感じた。

幌の外を見ると、月明かりに照らされた空き地が目に入る。

まるでそれは昼間であるかのように、寝起きのリュカに錯覚させた。

火の傍にはセフィアンがいる。まだ起きていた。

青白く淡い光の中で、その顔が赤く照らされている。

焚き火を挟んで反対側には、セルジオが外套に包まり眠っていた。

リュカは一生懸命に馬車を降りて、父の元へと向かう。


「どうした、眠れぬか? 用でも催したか?」

セフィアンが静かに声をかけた。

しかし父の背の向こう、暗闇の中に何かいる様な気がしてならなかった。

そして怯えるようにリュカは答えた。

「ちちうえ、あっちに、なにかいる? こわい……」

リュカが森の闇を指差したその刹那、セフィアンは剣を抜いた。



「セルジオ、起きよ!!」

左手に松明を持ち、焚き火で急ぎそれに火を付ける。

リュカと焚き火を背に、二歩、三歩と歩み出て、闇を睨みつけた。

「へ、陛下? 何事で……」

「リュカを、子供らを頼んだぞ!!」

はっとしてリュカを抱き上げて馬車へと押し込むセルジオ。

そして長い棒を馬車から取り出す。


「中から出てはなりませんぞ! 王子様方!!」

大人たちの叫び声にエドワードも目を覚まし、

リュカを守る様に抱きながら息を呑み外を見つめる。



 草を踏む音が森の闇の中から聞こえる。

「一つ、二つ、三つ、多いな……」

次第に増えていく足音を数えながら、セフィアンは呟いた。

「後ろは、お任せくだされ……」

セルジオは棒を構える。

急な静寂が辺りを包んだ――そして


セフィアンの数歩先、その松明の明かりに反射して何かが光る。

セフィアンは力強く右足を前に一歩踏み出し、右腕を横薙ぎに振り払う。

足元に柄の長い手斧が落ち、豚の頭のようなものが転がった。

その時、森の中でいくつものおぞましい鳴き声が上がる。


「オークか! 数が多い! 来るぞ!!」

次の瞬間、大人よりも少し小さいくらいの背丈の魔物、

豚頭のオークが明かりの中に飛び込んできた。

セフィアンは剣を持つその右腕を斬り刎ね、体を蹴り飛ばす。

右から飛びかかろうとするオークを、セルジオが一突きして押し返す。



 戦いながら、セフィアンは三歩下がっていた。焚き火を背にして。

オークたちは空き地を半円に取り囲んでいる。月明かりがそれを顕にした。

槍を持ったオークがセフィアンに突きかかる。

それを素早く半身で躱して腹部を斬り裂いた。

のたうち回るオークを、その仲間が引きずって下がらせる。


焚き火の前に仁王立ちするセフィアン。

その髪は炎に照らされ真っ赤に燃え上がる。

右手に握る剣の柄頭で、黄金の鷲が勇壮に翼を広げていた。

威風辺りを払う、その堂々たる姿に怯むオークたち。

暫くの睨み合いが続いた。



 奥から巨体が姿を表した。他のオークの倍はある異形の姿。

太い右腕で大きな戦斧を肩に担いでいる。


「首領か! 言葉が分かるならば、手下を引かせよ!」

セフィアンが威圧する。しかし巨体のオークは全く怯まない。

そして大きな咆哮を上げ、戦斧を振り下ろした。

セフィアンは半歩下がってそれを避ける。セルジオは棒でオークの足を薙いだ。

オークが一瞬バランスを崩し、少し前かがみに首を差し出す。

その刹那、セフィアンが右足を踏み込んで大きく跳躍する。


オークの群れに向かって仰向けで倒れる巨躯。

その太い首からは頭が消え、そして血しぶきを上げていた。

頭がオークたちの足元にごとんと落ちる。


「聞け! 山賊オーク共!! うぬらの首領は討ち取った!」

森中にセフィアンの声が響き渡る。

「これよりもやるとあらば、容赦せぬ。死にたい者より、前に出よ!!」


始めの一匹が後退り、それを合図にして一斉に逃げ出すオークたち。

様々な鳴き声を上げながら四散していった。



 間もなく辺りには静寂が戻った。焚き火の薪が爆ぜる音だけが聞こえる。

セルジオは安堵してその場にへたり込んだ。

いつもは強気のエドワードも半泣きになっている。

幼いリュカは、心から怯えながらも、頼もしい父の背中に誇らしさを感じた。


「セルジオ、直ぐに発つぞ!」

剣を鞘に納め、そして振り向くと、セフィアンは指示した。

「オーク共が立て直し、再度襲撃せぬとは限らん。今すぐ出立する!」

その夜はろくに眠ることもできず、一行は移動を開始した。



 オークの襲撃を経験し、セフィアンたちは方針を変えざるをえなかった。

もっぱら夜間に平地や街道を歩き、朝になったら見通しの良い木陰で休んだ。

これまで随分と北上したはずだが、サント・フロールへの道のりはなおも遠い。

本来三日もあれば進める距離を倍以上、七日もかけて移動する事となる。

しかし幸いにも余裕をもった食料の蓄えがあり、子供たちを飢えさせずに済んだ。

こうして長い長い旅路を終えて、サント・フロールへと到着した。

リヒトハルト、ローゼンシュタットを後にして、およそ二月後のことだった。



 南から北へと蛇行して流れる、大河の支流フロリーヌ川をまたいで、

サント・フロールの街は築かれている。

南には農地が広がり、十数棟の木造家屋も見える。

東から西へと緩やかに傾斜する街道を下り、やがて川を橋で渡った。

そしてすぐに街の入口が北に見えてくる。


周囲には大人の背丈よりも少し浅いくらいの堀がめぐらされていた。

背の高い鉄格子の門が左右に解放され、門番が二人立っている。

門の両脇の石柱からは、決して高くはないが、石壁が左右へと続いていた。

一行は門に近づく。

特に止められることもなく、そのまま素通りできた。

入口を過ぎるとすぐに右へ。そしてアーチ状の橋で再び川を渡る。

そこから左へと川沿いの道を歩いた。

少し進むと、再び対岸へと渡る橋が見えてくる。大きく立派な橋だった。

その手前、対岸の船着き場には、小さな艀船が数艘泊まっていた。

人足たちは忙しそうに、船から荷を降ろしている。


橋から伸びる広い道を右へ、そして緩やかな坂を登る。

左手の小高い場所には教会があった。色鮮やかなステンドグラスの窓が見える。

振り返ると、川の遠景が見渡せた。北西遠くには大河も見える。

緩やかな流れに、その水面が優しいきらめきを織りなしていた。

いくつか建物もある岸辺近くには、少し大きな船が停泊している。

囲いの外では荷物を載せた荷車が、忙しく北へと向かっていた。



 その教会の向かいには少し立派な寄合所があった。

静かに扉を開き、そこから身なりの整った初老の男性が現れる。

「おお? これはこれは! ムッシュー・セルジオではありませんか。ご無沙汰でしたな! お元気でしたか!?」

男性が満面の笑顔でセルジオに駆け寄った。

「ピエール殿!」

少し上ずった声でセルジオが嬉しそうに驚く。


「皆様、こちらはピエール・デュボワ殿。ここの町長を務めております。また私の妻の従兄弟でもあります。

ピエール殿、こちらにおわすは……。いや、積もる話は中でいたしましょう」

一同は寄合所の中へ。

ピエールが人払いを済ませると、セルジオはセフィアンたちを紹介し、

そしてこれまでの経緯と事情を打ち明けた。



「それはそれは、ここまで大変なご苦労をなさられましたな……」

涙もろいのか、ピエールは少し目を赤くしながら労った。

「我らは帰国の算段をせねばなりませぬ。その間、どうか、我らをこの街に匿っていただきたい!」

セルジオが懇願し、そしてセフィアンもそれに続く。

「まこと勝手ながら、我らはピエール殿の情に縋る他ござらぬ。何卒……」

頭を下げようとするセフィアン。しかし―


「陛下! どうかおやめください!」

ピエールが慌てて止める。そしてすぐに、笑顔で答えた。

「喜んで、お引き受けいたしまする。お任せくだされ。陛下をお助け出来ること、これは我が誉れといたしまする」

セフィアンが右手を差し出すと、ピエールがそれを両手で握る。

そしてセフィアンもすかさず左手を添え、固い握手を交わした。



 ピエールはセフィアンたちのために住居を用意する約束をした。

しかしそれを準備する間、彼らは”街一番”の旅籠に滞在する事となった。

「これなるはテオ、この旅籠『黄金の天輪花(てんりんか)亭』の主人です」

一輪の黄金色の花が描かれた看板を掲げた、大きく立派な二階建ての宿。

その入口の前で、ピエールがその男性を紹介した。

テオは口ひげを携えた、愛想の良い優しそうな顔をしている。

その横には、見るからに元気で陽気そうな、恰幅の良い女性が。

そして女性の横には、少し気が強そうながらも可愛らしい少女がいた。


「町長より紹介頂きました、テオです。そしてこれが私の妻マドレーヌ。そして私たちの娘のラファエラです」

ラファエラがリュカの視線に気づくと、ニッコリと優しく微笑みかけた。

リュカは顔を赤らめて俯く。

エドワードはそれをからかうように、リュカの肩を優しく叩いた。


「テオ、殿……」

「いかがなされましたか、セフィアン殿?」

笑顔ながらどこか遠くを見つめるセフィアンに、ピエールが声をかけた。

「いいや、なんでもござらぬ」

その声に気を取り直して、セフィアンはテオ夫妻に家族を紹介した。

「セフィアンと申す。これなるは我が息子のエドワード、そして末息子のリュカにござる。そしてこちらは、家人(けにん)のセルジオにござる」

「セフィアン様、良い部屋をご用意しておりますので、どうぞ旅の疲れをお取りください」

そして部屋へと案内される。二階の角部屋だった。



 荷解きも終わり、少しくつろぎ始める頃合いには日も暮れた。

そしてその晩はピエールも交えて、歓迎の晩餐が催されることになった。

街一番の旅籠の名の通り、とても大きな食堂を備えている。

リュカは本当に久しぶりのご馳走を、たっぷりと味わう。


「ではセフィアンさんは、武家のお方だったのですね、道理で……」

セフィアンに関するピエールの話を聞いて、テオが敬服する。

流石に王であるとは言えないので、当然話を擬装している。

さらにピエールは続ける。

「うむ、セフィアン殿には我が街自警団の剣術指南役として、格別の縁あって私がお招きし、この度来て頂いたのだ」

セフィアンの居住まいが、まさしく武人のそれらしさもあって、

これを疑うものはいなかった。

「暫しの間、世話になり申す。何卒よしなに願いたい」

「いえいえ、セフィアンさんのような強そうな方が、若い連中を鍛えてくれるんだ。願ったりですよ!こちらこそ、よろしくお願いします」



 楽しい宴が時を忘れさせ、あっという間に宵も更け始める。

「あらあら、ラファエラも随分と眠そうねえ。さあさあ、子供たちはベッドに入る時間ですよ!」

マドレーヌは元気に立ち上がり、手を叩いて子供たちに退室を促した。

大人しく部屋に帰ろうとするエドワードたちをよそに、

しかしリュカだけは父の膝元から離れようとしなかった。


「いかがした。父も暫くしたら戻るゆえ、先に寝ていなさい」

それでもリュカは、セフィアンの傍を離れようとしない。

リュカの心細げに曇った顔を見て、セフィアンも何かを悟る。

「私めが坊ちゃんを……」

そしてセルジオが言いかけた時、セフィアンがすかさず制した。

「いや、此度は私が部屋に連れて行こう」

リュカを優しく抱きかかえると、セフィアンは静かに部屋を出た。



 部屋に戻り、セフィアンはリュカをベッドに優しく横たえる。

そしてすぐ横に腰を下ろした。

「今宵の晩餐で、あの夜を思い出してしまったか?」

父は優しく問いかける。

「こんどは、ちちうえが、いなくなってしまうのですか?」

不安そうで、消え去りそうな声でリュカが返した。


「案ずるな。そのような事にはならぬ」

セフィアンは笑顔で力強く答える。

「そなたの父は強いのじゃ! そなたも見たであろう? この父を連れ去るなど、容易くはないぞ?」

「はい」

リュカに笑顔が戻る。


「父を信じよ。母も必ず、この父が連れ戻すゆえ。そなたは要らぬ心配をせずともよい――

大船に乗ったつもりでいなさい!!」

力こぶを作って見せるセフィアン。

先程の不安さも忘れて、リュカはくすくすと笑った。

「やはり、それがよい。そなたには笑顔が似合う」


セフィアンがリュカを見つめる。

「そなたはこの父譲りの灰色の瞳だが、瞳の奥、虹彩には母の面影が宿っているのだな」

「こうさい? なんですか?」

セフィアンは微笑んだ。

「よいよい、そなたにはまだ、難しいであろう。つまるところは、そなたの中には父と母がいる。

何時如何なる時も、父と母が傍にいるという事だ、よいな?」

「はい!」


こうして、サント・フロール初日の夜は更けていった。


第一部完結まで、毎週金曜・日曜20時20分、週2話更新予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。