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TRUE HUMAN   作者: 森野熊参
夏休み編
57/133

第57話 2/4

 ガヤガヤと話が纏まらなかった時間は落ち着き、それぞれの前に置かれた冷たい緑茶を嗜み一息置く。仕方なく見かねたクシナダが説明をすることとなり口を開き始めた。


「まずあなたが宿した『青龍』ってのは、普通の人間には扱えない能力がある『四神』って言う生き物のこと」


「水を操ったりしたやつのことですよね?」


「そう。けど、それは今まであなたの中にあった力っていうことではなくて、外部からの意図的な発現による物だと私は考えてるの。何か見当ある?」


本辺(もとべ)は顎に手をやり考えるも、答えがなかなか出ることは無かった。難しい顔をする美奈を対極に、スサノオはクシナダを見て顔に綻びを見せており、表情が締まることは想像できない程である。


「あっ!青のペンダント!」

「それ!誰から貰ったの?」

「知らない外国人に!」

「知らない外国人ってどういうこっちゃ」

「無理やり渡されたのよ!」


優気(ゆうき)の冷たい目に抗うように美奈は強気に返答した。


「渡さなきゃトリガーにならないから押しつけたんでしょうね」

クシナダは持論が腑に落ち、何かこりが解消されるような感覚となる。普段の結界の管理といった繊細な活動から成るストレスが少し軽減されたのだ。


「それで、まだ能力は使えるの?」

「はい、一応昨日お家のお風呂でやってみたら水浸しになりました」

「力のコントロール不足ってことか??」


修行の香りでもしたのか、スサノオがようやく口を開き話題に入る。


「はい。多分そんなところだと思います」


「なら、決まりだな」「ん?」


「修行じゃぁぁあ!!」「…は?」

そうと決まるとスサノオは駆け足でリビングを出た。大方、このような展開になることを予想していた優気もそそくさと修行部屋に移動する。


理解の追いつかない美奈はソファーに座ったままで、このような展開に慣れたのか、クシナダがゆっくりと緑茶を飲み一息つく。


「じゃあ今から力を扱えるようにする修行になるから隣の部屋行こうか」

「は、はい」


とても静かな空間に残された二人は取っ手付きのコップを置く音がよく響くことを耳にした。


___________________________________


 「四神化したってことは神力(じんりょく)の込め方がわかってるってことだ。まずはじゃあ、2人とも四神化してくれ」

「はいっ!」「嫌です」

「えぇ…」


修行を始めるというのにハッキリとした拒否をされ、他の三名は疑問を抱かずには居られなかった。


「だってダサくて恥ずかしいんだもん」


ほぼ変わらぬ表情で発言し、初めて四神化を視認した優気と打って変わった発言のため驚かざるを得ない。また、優気は自身と戦闘となった際に違和感を覚えなかったことからあまり気にならないと感じていた。


「戦った時には別に何も思わなかったけどな」

「そうだよ!そうだよ!四神化しようよ!」

「あの時はほぼ自我が暴れてたって感じだからノーカン」

「何で拒否るんだよ。早く早く進まないから!」

「そうだよ!そうだよ!四神化しようよ!」

「暑苦しいわよスサ」


周りの押しにより仕方なく四神化しようと神力を込める。優気は朱雀の力を体現させ横をふと見ると、青い装備に包まれた美奈がそこにあった。


外見を気にしていた様子の美奈だが、似合う似合わないの問題というよりかは戦闘した時の記憶が甦る。


「ど、どうよ?」

「見事に似合ってない。ダサい」

「だからいやだったのよ!!」


正直な気持ちを伝える口調が続き、本辺を不快にさせてしまう。これでは話が停滞する。そう思うと、自然と手が顔を覆い、失態を深々と反省してしまうのも無理はない。


「ま、まぁネフタリスターマンSみたいに見えるからいいんじゃない?」


「誰よそのグループ!!なんなのよ!?ネフタリスターマンS?絶対男グループでしょ?」


「それが女グループ」


「噓つけぇ!絶対男でしょ。マンってついてるもん!女ならウーマンなはずでしょ?流石にそこまでバカなわけないわよ」


「じゃあウーマンラッシュアワーはどうなんだよ。あいつら男性漫才コンビだけど」


「知らないわよ!というかその人たちの漫才見たことないんだけど本当に芸人なの?それにその芸名の由来は知ってるの?」


「確か、2人の好きな映画から取ってような気がする」


「良く知ってるわね!アンタやっぱり気持ち悪いわ。心も見た目も」


「なんてこと言うんだよ!!ウーマンラッシュアワーの由来だけでなんでそんなんわかんだよ!!」


「いつまで話とるんじゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああああ!?」

ただ四神化しただけというのに流石のスサノオもくだらない話について来れずブチ切れ御免といったところだった。


 これ以上ゆっくりと確認していても会話が再び収まらなくなることを危惧し、簡単な遊びを用いたトレーニング兼テストを行うこととなった。


題して、『神力反復横跳び』である。クシナダの神力が込められたテープをそれぞれ三本貼り付ける。そして、四神化した二人の神力をクシナダが感じ取ることができたら一点追加され、合計得点を競うというものだ。


二人の神力量とスタミナの確認と四神化により向上した身体能力を計る最善のテストであり、これを思いついたスサノオは本当に優秀な生き物だと、生物の中で自身が上に位置することを理解した。


「それじゃ時間はギブまで!目標は(むげん)!よーいぃぃぃぃ…ドンっ!!!」


 スサノオの掛け声とともに両者が動き始めた。じっくり二人の行動を分析し、長所と短所を見分けることで修行メニューの作成と攻撃パターンの構想を練る。


「お、はぇぇな」


優気からの報告を受けた通り、青龍もとい、美奈の四神化による身体能力の強化は驚くべきものだった。朱雀の力を扱う優気と比較してもスピードに明らかな差があり、ジャンジャンの本気よりも速いように感じていた。


 しかし、神力量はあまり多くないことからすぐに疲労に見舞われたことを認知する。第二形態になったことを優気の報告で聞いているため、もう少し神力強化が必要だと判断できた。高いポテンシャルを秘めていると思うと可能性の塊であることは間違いないため、これから数多くのメニューをこなす必要があると結論付ける。


 だが、スサノオが目に引くのは優気の成長だ。身体能力こそ大きな変化はないが、初期の頃より神力量は相当伸びており、おそらく修行が終わった後や休みの日にもしっかりとトレーニングをこなしていたのだろうと予測できる。


特筆すべきは神力の扱い方だ。反復横跳びをするにあたって足腰の動き重要になる。


そこで下半身だけに神力を集中させることで、俊敏さを保ちながら出来るだけ長く回数を重ねることを可能にしたのだ。結果は美奈が三百二十二回で継続時間は六分。優気が八百九十三回で継続時間は三十四分という結果に終わった。


「はいお疲れな」


優気に塾があり時間が限られているため、水分補給をさせどんどんと次にやることを進めていく。

ポイントがあると多くの人に読んでもらえるとのことらしいので、面白いと思った方や少しでも続きが気になる方は是非評価をよろしくお願いいたします!m(__)m

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