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TRUE HUMAN   作者: 森野熊参
夏休み編
56/133

第56話 夏休み?

 優気(ゆうき)の通う船堀(ふなぼり)高校の鐘が鳴り響く。床と椅子とが擦り合い、引きずるように嫌な音が教室を包む。誰もそれを気にする様子はなく、ただ立ち上がり号令を待つ。


「気を付け、礼」


「はい、さようなら~ちゃんと勉強するk」


「っしゃぁ!!夏休みじゃぁあぁあぁぁあああぁぁあああ!!!!」


「フォォォォォォぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」


「きたぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああぁぁあっ!!!!!!」


「バモォォォォォォォォォォォォォぉおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおぉおスゥぅぅう!!!!!!!


「ぎゃぶぅうぅぅぅううううううううんっ!!!!!!!!!」


別れの挨拶を終えた瞬間、担任の言葉を差し置いて優気、璃久瑛(りくあ)怜真(れいま)健勇(けんゆう)炎示(えんじ)はその場で声を上げた。傍から見ると唐突に発狂しだした異端児にしか見えず、SNSなどで稀に投稿される危険人物と似たような恐怖を感じる者も中には居た。


 帰る者や最後の大会に向けて部活へ行く者がいる中、五人は優気の机に集まった。


「おいおい、夏休みやぞ!!」

「あぁ!待ちわびたな!」

「花火やろうぜ!」

「怜真!それ、いいな!」

「俺は遂に最後の大会だ!」

「甲子園目指して最後の追い込み頑張れよ!」

「れーまは去年チキった心霊スポット行かねぇとな」

「炎示…それ言うなよ…一気に夏休み気分萎えたわ」

「確かに怜真去年の罰ゲームまだじゃん!!」

「まさに『恐怖は風来坊にして非ず』だな」


怜真の造語が放たれると、もはや当然のように沈黙が生まれる。しかし、その凍った空気に解凍するかのような大きなため息が教室の入り口から聞こえてくる。


「夏休み最後学校で顔覗きに来てみたが、ったく、お前らはいつも騒がしいな」


「これはこれは凪行(なぎゆき)殿。いやなら出て行ってもいいんでっせ?」


黒羽(くろばね)。なんだその気持ち悪い言い回しは。侍ならば、首を落としてやろうか?」


「望むところじゃぁあ!」


炎示は出入口に向かい凪行とじゃれ合い始める。普段言い争いばかりする仲であったが、今の姿を見ると本来ならば仲がいいのではないかとこの場にいる全員が感じざるを得ない。


「この後みんな何がある?」


「『『『部活』』』」


「だ、だよね…」

正直なところ察してはいたが怜真、璃久瑛、健勇は今学期最後の部活ということで何としても顔を出さなければならないため、この後アジトへ向かうのは優気だけとなる。


「じゃあ1人修行してくるわ。みんな!1学期おつな」


「あぁ。とは言えど明日から夏期講習で会うけどな」


「確かにな」


二人は手提げバッグを腕に掛けはじめる。


「俺もこれからほぼ毎日射撃練習だ。夏休みもよろしくな」


「うん!よろな」


璃久瑛は大きなリュックサックを背負うと、部活で必要な物が中で大きく揺れる。


「俺は当分会えないが、予選見に来てくれよ!!」


「おう!絶対観に行っから負けんじゃねぇぞ」

それぞれが荷物を持ち教室を出ると、まだじゃれ合い続ける炎示と凪行に声をかけ、それぞれが目的をもって別れた。


 「オレら時間勿体無くね?」


「やはり、お前と関わると効率が損なわれること間違いないな」


再び凪行の言い放った言葉に炎示はブチ切れ、またもや小競り合いが幕を開けた。終業式にて一学期の幕は下ろされたというのに。




___________________________________


 「こんにちは~」


アジトに入り、力の抜けた声で部屋全体へ挨拶をする。師匠となるスサノオは見たところいないため、いつも腰を掛けるソファーに向かう。数歩進むとソファーに腰を掛ける一名が目に映る。肩辺りまで伸びた後ろ姿から女性だと確認でき、恐る恐る近づいてみると、見たことのある姿がそこにはあった。


「えっ」

「え」

「何でアンタここにいるのよ!?」

「いや!こっちのセリフ!!」


驚いているのか、慌てた声で受け答えをする者は同じ高校の制服を着用しており、数週間前には優気と戦闘になった青龍を宿す者、つまり本辺美奈(もとべみな)がそこには居たのだ。


「でもってここはどこなの??」

「ここは維持派の隠れ家だよ」

「維持派?隠れ家?そういうごっこ遊びまだ卒業してないの?」

「いーやこちとら大真面目だわ」

「はぁ!?アンタ頭おかしいんじゃないの??」

「俺が呼んだんだよ」


割って入るその男は優気にとって見慣れた存在の師匠スサノオだ。刀を左腰に装備し、多毛から成る暴れ狂う髪型。背に変わった紋様が入った法被を着用した見た目なことから、本辺は少し怪訝そうな顔つきに変容していく。


「あんたがメールくれた人??」

「正確に言えば違うが、まぁそんなとこだ」


メールということを聞いて、優気が最初にこの部屋に来た時のことを思い出す。こちらのアジトとリンクする空き教室に入室し、ここへ辿り着いたことを察する。


「それじゃ、私のその『青龍』?について教えてください」

「わかった。ゆうき!教えてやれ」


唐突に渡されたキラーパスに動揺を隠せず拒否するとスサノオは面倒くさい顔で返答する。


「だって僕の口から言ったって説得力ないですもん。大体、スサノオさんは面倒くさいだけでしょ?」


「そうだけどよぉ…ダリィんだよなぁ」


「じゃあ何で私呼ばれたのよ!!?」


ダラダラと時間だけが過ぎていくことにリビングの出入口から溜息が零れた。小さな背丈が和服に包まれた童女がこちらに向かい、ソファーにちょこんと座る。


「だーれ?この子。この男の人の()?」

「違うよ奥さんだよ」

「はぁあ!??児童ポルノじゃん!!帰ります」

「いや10億歳くらいだよ多分」

「ちょっと!あんた年齢当てようとするんじゃないわよ」


優気による大雑把な推測にクシナダは睨み口調で注意する。鋭い目線から事実であることを美奈は悟った。


「えぇ、マジなの?」


「かんわいいいいぃぃなぁぁぁあヒメりん!わぁ~」


「5歳児のホスト通いが古臭いホストに抱き着かれてるようにしか見えないんだけど…」


「だからクシナダさんは54億歳以上でスサノオさんの奥さんなんだって」


「優気くん!!さっきより詮索しようとするんじゃないの!!」

ポイントがあると多くの人に読んでもらえるとのことらしいので、面白いと思った方や少しでも続きが気になる方は是非評価をよろしくお願いいたします!m(__)m

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