表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TRUE HUMAN   作者: 森野熊参
蔵前高校編
36/133

第36話 神の使者という者たち

 「すまなかったな。私はアレスという者だ。知り合いの神崎優気(かみさきゆうき)はどのような人物か教えてくれないか」


「若干フザケ気味なところはあるが、素直な性格で常に他人思いで…全力を注ぐことに臆さない奴だよ。ってかなんでそんなに優気(ゆうき)のことが知りたいんだ」


やはり、彼らのような怪しい者らに優気とどんな関係があるのかがわからない。中学を卒業してから一度も会っておらず、高校三年間で何が起こったのか心配となる。もっとも、この者らが厨二病を拗らせていた璃久瑛(りくあ)と関係があるならわかるのだが。


「ソイツが『朱雀の力』を継承した『神の使者』だからだよ」


「出たよ神の使者。そんで今度は朱雀の力?何を言っているんだアンタは。マジで現実見た方がいいぞ」


真顔で語る彼は二次元と三次元が混ざってしまい、完全に区別にがつかなくなってしまった頭のおかしな人物であることがわかったため、脳内の要注意人物リストに叩き込んだ。要注意人物予備軍の璃久瑛と比にもならない異常者は何をやらかすかわからない未知性を放つため、この場を離れたいと切に願う。


「喋りすぎだギル。君はここ最近変わったことはないか?例えば怪しい武装をしている姿をした者や明らかに違和感のある者を見ただとか」


オメェのことだよ、と答えられる訳が無い解答を全てぶつけたいところである。


「何も変わってません。何なら今あなたが言ったことに該当する人物はあなたたちだけですけど」


「はっ!確かに、言われてみればそうだな」


あまりの自覚のなさにたじろいでしまう。一見真面目な印象を持っていたが、ギルという人物の仲間ということを考慮すると納得がいく。どうやらこの人物も頭がおかしいのだろう。


しかし、何故何もないところから光が発生して武器のような物が出てきたのかが疑問に残る。手品やマジックなどの芸当ではなく、そこに意図を持って在らしめさせた行動には全くタネがわからず解決に至ることは難しかった。


また、本当に何人も殺害しているような特殊な殺気が引っかかる。冗談ではない線が頭に過るが、考えれば考える程危険な方向へ進むだけのため、取り敢えずこの場を去るように立ち振る舞うことにする。


「何でそんな厨二病ごっこしてるのかわからないけど、俺はこれからこのノート提出しなきゃなんないからこれで」


教卓に重ねられたノートを手に担ぎ、若干遠回りだが後ろのドアから職員室へ向かう。


ここは一旦ロキに相談だな、あぁ持ち帰るか、と話し声がしたがこの場を去ること一心の凱矢(ときや)にははっきりと聞き取ることができない。


「おい、君。えぇーと…その…澤城(さわじょう)くん」柴澤(しばさわ)だ、内心でツッコミを入れて自身を落ち着かせる。


「君は次いつ学校へ来るんだ?」

「…基本的に土日祝日以外の毎日だけどそれがどうかしたのか」

「そうか、じゃあまた今度ってわけだなぁ。アレス、ゲート開放しろい」

「了解。では澤下(さわした)くん、また会おう。さらばだ」


別れ際の挨拶を交わすと彼らの背後に大きな穴のようなものが現れて二人を飲み込んだ。彼らの姿は何も残ることなくさっぱりと無くなり理解が追い付かない。


「まさか、な」


 先程の厨二病認定から少しずつ評価が変わり、本当に現実で起こっていることなのか、尻上がりに彼らの信憑性が上がり続ける。そんなことをずっと考えていると、思わず職員室までの道中でノートを落としてしまった。それほどまでに気になっているのか、考えても意味のないことは嫌いだったが、有り得ない事象に対して信憑性が上がってくると信じたくなってしまうのは人間の好奇心という本能である。


「はい、ありがとうね柴内(しばうち)くん」


担当教員にクラス分のノート提出し、そのまま手提げバッグを肩にかけると、ある疑問が浮かんだ。人生で初めて生じた疑問である。


「そんなに俺の苗字覚えにくいんかな…?」あまり考えても仕方のない疑問に頭を悩ませるとその日は帰宅に時間がかかった。


___________________________________


 あれから二日が経った。特に変わったことはなくいつもの日常に戻っていく。クラスに響き合う生徒の声、楽観的な授業、羽目を外し指導される生徒たち。自席で静かにSNSを見ている凱矢の近くで男子生徒たちの会話が聞こえてくる。


「マジさぁ、2週間後のテストやばそうじゃね」

「それな。ワンチャン赤点ありそう。お前前回どうだった?」

「全然ダメだったわ。赤点3個。特に英語やばかったわ。文章何言ってるかわからん」

「安心しろ、俺なんか1語もわからなかったから」


男子生徒はやべぇやべぇと言いつつもその言葉からうかがい知れないほどの満面の笑みを浮かべていた。


何故危険な状態で笑い合えるのか全く共感できない。就職志望ならともかく、彼らは大学志望ということを聞いていたため尚更のことだ。自身らの立場を冷静に判断すれば崖端であることはわかるはずだが、周りに似たような安心材料があるとその判断が疎かになってしまう。すると本来発揮される力を見出せず、崖底に落ち、他者との共感の波に飲まれ、気づけば挽回が難しい立場に陥る。小さなことを努力できる人間が安全圏に入ることができることを再認識し、自身の勉強へのモチベーションを維持する。


「まぁ何?『過去のことを火へ燃やす』ってやつだからとやかく言っても変わんないっしょ。勉強すればいけるっしょ」

「そうだね今回ガチれば大丈夫だな」


『過去のことを水に流す』ということわざを間違えているあたり、国語も不得意なことが分かる。日本語も英語も不十分、こいつは一体何語を話して生活しているのか気になってしまった。


 四時間目の授業が始まり少し時間が経過すると空腹が襲ってくる。窓の外を見ながら今日は購買で何を買うか、誰も聞いていない教師の自慢話を他所に考える。


すると、どこか見たことのあるシルエットが窓に反射し、疑いながら振り返る。そこにあった姿は二日前に見た頭のおかしな二人組だった。


ホラーのように静かに立ち尽くしていたため思わず「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!?」と大きな驚声を上げてしまった。


教室は案の定静まり返り、教師は普段冷静な凱矢を心配し、周りの生徒には急な言動に嘲笑される。前の席の生徒が心配をしてくれたが、凱矢としてはこちらが周りの心配をしていた。というのも、不審な人物が授業中に入ってきたのにも関わらず周りがノーリアクションなことに理解できないのだ。


「オメェしか俺らの見えてねぇんだよ。んなこともわかんねぇのかよぉ」


「それはそうだろ。この澤北(さわきた)君は使者じゃないんだからな!無理もないんだ」


「これは使者じゃなくても使えんだろうがよ。やっぱりお前頭わりぃなぁ」


狂暴な性格のギルという人物と一見真面目そうだが抜けているアレスという人物の会話が、凱矢を除いた教室の者らに気にしていないことから本当に自身以外に見えも聞こえもしていないとわかる。声を出すと再び目立ってしまうことからノートの空白部分に「何の用ですか?」と問いを書きだした。


「そうか、授業中だから話せないのか!面白い発想だな!」笑いながら凱矢の肩を叩くと貫通する。凱矢にとっては触れられた感覚がなく、再び謎めいた現象が起こる。


「のぉわぁ!またまたなんだこれは」びくりと反応し、周囲の視線を再び集めるも、先程ほど大きな声を上げぬよう少し意識をしたため声量を控えることに成功する。


「あぁ…手が、我が手が、貫通したぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!?!?!?」

「なんでオメェが驚いてんだよ」


鼓膜が破れそうなほど大きな声で発狂するアレスは暗闇からいきなり人が出現したぐらい驚いている様子だった。対照にギルは再び呆れかえっており、連携が取れていないことを把握する。


「姿写してるだけだから地面以外に触れる場合はすり抜けるって研究員が言ってただろうがよ。耳の穴に虫でも詰まってんのかよ」

「あぁ。少々蛆がこびりついていてな。若干聞き取りにくい時が稀にあるんだ」

「本当に詰まってんのかよ…不衛生すぎるな」


どのようにしたらそうなるのか、受け入れ難く汚らしいもうこれ以上は考えることを辞めた。彼らは何らかの機械で彼らの姿を投影しており、今この場にはおらず、また別の場所へいることがわかった。


「話を戻そう」アレスが真面目な顔で切り出すも、元々あなたのせいで話が逸れたんだと内心感じるも顔に出さないでおく。


「君は今日授業が終わったら時間があるか??」


あったらなんですか?


「是非会ってほしい人がいるんだよ。だからちょっと話せる機会くれないか」


何だか長くなりそうだし、怖そうなことが起こりそうですね


「大丈夫だ!我らのリーダーだから安心したまえ!」


余計不安になりました、行きません


「何でだ!?頼む!お兄さん5分だけでもいいからっ!!」


ナンパかよ。


それにしても、何度もノートに自身の言葉を書き表す動作は喋ることができないマスコットキャラクターのようで、凱矢はこの状況を若干楽しんでいた。


なら駅近くのワクドおごってくれたらいいですよ


「よし、奢ろう!じゃあ決まりだな!」


「奢るって誰が払うんだよ。お前金持ってねぇだろうが」


「ロキなら持ってるんじゃないか?」


「ロキが払うこと前提かよ。ま、オレは関係ねぇからいいけんどなぁ」


 会話を聞いていると、どうやらロキという人物と会わせたい様子だった。またしても日本人離れしている名前はスルーするが、目的である優気と会わずに何故自分と会いたいのかが分からなかった。


「ってことでまた後でなぁ」


「さらばだ!!」


約束が決まると彼らの姿はきっぱりと消え、代わりに小型の機械がその場に落ちる。あまり跳ねずに近くを転がった機械を拾うと四時間目終了のチャイムが鳴った。ワッドという名前が出たからか、チャイムと同時に腹がなり、ハンバーガーが無性に食べたくなった。

ポイントがあると多くの人に読んでもらえるとのことらしいので、面白いと思った方や少しでも続きが気になる方は是非評価をよろしくお願いいたします!m(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ