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TRUE HUMAN   作者: 森野熊参
来訪者編
33/133

第33話 集合率9割。維持派、揃い始める

 やってきた仲間たちと戻ってきた優気ゆうきたちが広いリビングに集結していた。前者はダイニングテーブル、後者はソファーに座りスサノオとジャンジャン、三人の外国人衆はその間を取り持つように立っている。


「めんどいから俺から説明させてもらうと、こっちは四神(ししん)の朱雀を宿したゆうきとその取り巻き。詳しくは後でな。で、そっちは元々俺らの仲間で仕事のために海外行ってた奴らって感じかな」


「大体はジャンジャンから聞いてたから多分こっち側はみんな知ってるんじゃないかな??」


それに対してもっと仲間がいることを何も知らせてもらってなかったことに対して優気はスサノオに言及するも、「あんまし言っても言わなくても変わんねぇと思ったんだよ」と頭を掻きながら説明される。先程のようにいつ敵が襲ってくるかわからない状況であり、修行第一に事を進めたのだろうと怜真れいまは判断した。申し遅れた、と向こうの女性が一言挟み自己紹介を始める。


「あたしはヘラ。こっちが旦那のゼウスね。若僧共みなよろしくー!!」


「妻の紹介の通りゼウスだ。よろしく頼む」


「ぜぇ、ゼヘラきたぁぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁぁあ!!!!?????」


二名の使者が自己紹介をすると、優気は若干の驚きを見せたがその横には途轍もない驚き様で璃久瑛(りくあ)は大声を上げた。今にも飛び出しそうな目玉を輝かせるもあまりの声の大きさに怜真は呆れた顔を浮かべた。


「りっくん、初対面の方にきったねぇ唾飛ばすんじゃないよ」


「だって、最高神ゼウスとメンヘラで有名なその奥さんだよ!?超有名でこんなん驚かずにはいられないだろ!まぁこの表現は事実とは異なるんだけどね」


当人を目の前にしてデリカシーの無い発言をする璃久瑛に危険性を感じ、怜真は璃久瑛の肩に手をやって体ぶんぶんと振る。


「なんだ?我々夫婦は有名なのか?」

「そうですよ。アニメやゲームでも度々名前が使われたりしてますよ」


璃久瑛の熱心な説明と日本でも認知されていることからゼウスとヘラは少し喜んだ。しかし、案の定『メンヘラ』という言葉に疑問を持ったヘラは首を傾げた。


「そのメンヘラって何なの?」

「あぁ~っと」

流石に初対面の人間が現実を突きつけるのは少しナンセンスだと感じるのは間違いない。優気ならば口走っていたところを何とか踏みとどまり、大きく呼吸をして時間を稼ぐ。


「メンタルがヘラさん並みの強さがあるという褒め言葉です」

「有名な証拠ですよ。うんうん」「えっ、違くn」怜真は空気を読めない優気の口をノールックで塞いだ。


「そうなんだ…まぁ有名なのは、少し困っちゃうなぁ」

照れるヘラを横に助かったと璃久瑛は胸をなでおろす。フォローに入った怜真は、無責任な発言を安易するな、と小声で激怒する。


 「そして、僕は李士純(い しじゅん)。韓国人です!日本好きな韓国人なんで仲良くしてください!」


澄んだ目で明るい声色を発する男性は明らかに優気たちよりも年上だったが、日本の社交辞令のように低い姿勢で挨拶をした。ソファーに座る優気たち高校生も全員でタイミングを合わせて「よろしくお願いします」と一礼する。ある程度決まっていた動作なのかと思われるほど揃っており、その動きに士純は感激する。

「この完璧な動き!すごい!すごいな~」「『『『いえいえ』』』」


 四名の反応に違和感を覚える。端に座っていた健勇にジャンジャンが気付き、慌てふためき始めた。


「おい!誰だそこの坊主!」

「はい!佐藤健勇です!!よろしくお願いしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっす!!」

「また勝手に連れて来て…」


呆れるジャンジャンの表情はスサノオの予想通りであり、決まりきった流れのように笑いを浮かべる。ウォックやフィルセルなどの外国人衆も笑っていたが、高校生にも似つかない身体つきに目を見張るものがあった。


「もうここに来とるんだからいいじゃろ?」

「そうよ。何かしらの役には立てそうじゃない?」

「フィジカルには期待できそうだな。なぁフィルセル?」

「あぁ。汎用性が高そうだ」

「ボクも賛成ネ!」

「僕も~!」


賛同意見の多さからジャンジャンは息を呑む。追い打ちをかけるように「お前以外認めてるがどうよ?」とスサノオが一言添えた。呑んだ息を吐きだす。


「確かに人員は増えるのは維持派にとって大きなプラスだな。わかった。よろしくな」

「本当は追加のメンバーなんて欲しいばっかりなのにいつも建前挟むの何でなんだ?」

「スサ!余計なこと言うな!」


「よろしくお願いしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっす!!!!」


立ち上がり、再び一礼。このところは流石野球部といったところだがその声量は顔をしかめる程で、声のボリュームすら考えることができない馬鹿者二人いることが早くも露呈し、怜真は恥ずかしさをも感じてしまう。


 「んでさ、士純が帰ってきたならさ、いるはずだよな??」


ブンブンと辺りを確認し始めるスサノオに優気は疑問符を浮かべるもその意図は明確にはわからなかった。しかし、誰かを探しているようなことだけは分かったため、優気はスサノオ同じ様にダイニングテーブルにいる者らに視線を向ける。


「久しぶりね。この空間も」


ガチャリと廊下から長い髪を下ろした少女が登場し、手を腰に当ててそう言い放った。


「ヒメリぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいぃぃぃぃぃいいぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃいいぃぃぃぃぃぃぃいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃんんんんっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


先程の二人に負けず劣らない声量でスサノオはその少女に飛びついた。何が起こっているのかが理解が追い付かない優気たちは只々啞然とすることで脳が埋め尽くされていた。


「久しぶり、スサ。元気だった?」


「元気だったけどヒメリンに会えてもっと元気になった!!無事に帰ってきてくれてありがとう!!大好きだ!!ぬぅぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」


傍から見たら長身の若きマッチョマンに女子小学生が抱きしめられる構図にしか見えず、フィクションが過ぎる絵に優気たちは驚きを隠せなかった。そのリアクションに少女は理解し、彼らに対してスサノオに説明を要した。


「あぁ、お前らにはこれまた言ってなかったな!俺の奥さんのクシナダヒメリだ」


「そうだったんですね…というか、まさかスサノオさんがロリコンだったとは…」

「さすがの僕もフォローできないですよ」

「2次元だけにしといた方がいいですよ…まぁこの空間に慣れてない僕はここが2次元だと感じてますけどね」

「流石に未成年者との恋愛交渉はスリーアウト試合終了ですよ!!」


スサノオの説明なぞ何も耳に入ってこず、あぁもう違う違うと否定すると、クシナダが説明を続けた。


「私は術法(じゅつほう)を強化するため普段から若返っているのよ。だから本来は大人びた姿だから勘違いしないことね」


クシナダの冷静な説明を受けて胸をなでおろすことができた。尊敬していた者が児童ポルノ犯罪者と同様のことをしていたら流石にショックである。特に、神の使者だからこそ、そんなことはして欲しくない所存であった。


クシナダは続けて彼らが新たな戦力補強ということを認識し、どうぞこれからもよろしくと気品のある作法で挨拶をした。その丁寧な作法から小学生女子ではないことを再確認すると共にこちらも丁寧に挨拶を交わす。


 「で、ほぼメンツ揃うのはいいけど、いつものアダムとペルセポネは居ねぇのかよ」


「確かにウォックの言う通り、長のアダムが居なくては纏まらないぞ」


「どうするのスサ!」


「アダムは仕事が入ったと私が連絡を貰った。『これからは大きな移動調査も無く、このメンバーで活動していくからよろしくってことで』だそうだ」


「じゃあジャンジャンの言う通り今日からこの家で活動できるってことだね!ひっさびさだなぁ~!」


 時刻を確認した怜真は塾があることを思い出し、大慌てでリュックを持って優気に塾のことを伝える。優気も完全に忘れており、璃久瑛もアニメ鑑賞を、健勇は帰ってからの練習があり、各々でやらなければならないことがあるため帰宅準備を進める。優気と怜真の塾開校時間まで残り三十分に差し掛かったところで荷物片手に学生たちは立ち上がった。


「じゃあみなさんこれからもよろしくお願いします!!申し訳ないんですが僕らはこれから学生の本業があるので帰ります。ありがとうございました!」


後に続けて他の者も「ありがとうございました」と一礼すると、皆から明るい表情、納得の応答などを貰うと同時に自信を貰うこともできた。行きと同様にベランダに出る扉を超えて学校の空き教室を出ると、真っ暗な学校を駆け抜けて校門で皆と別れた。


 家に帰り、出来得る限りのスピードで塾の準備を行うと、隣町の駅まで自転車で快速を飛ばす。怜真とほぼ同じタイミング、遅刻ギリギリで塾に着くものの、序盤は呼吸を整えるのに精一杯だったため授業の内容が頭に入らなかった。 


 一方、新たに招集された仲間たちはそのころリュウの作った中華料理を頬張り、楽しそうに夕食を堪能する。やはり食事はみんなで食べると美味しいのだ。

ポイントがあると多くの人に読んでもらえるとのことらしいので、面白いと思った方や少しでも続きが気になる方は是非評価をよろしくお願いいたします!m(__)m

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