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TRUE HUMAN   作者: 森野熊参
来訪者編
25/133

第25話 何か1つ日本の文化を教えてくれ

 「だから、映画は英語でフィルムだっつってんの」「いやムービーだから。何遍も同じこと言わせるな」

「どっちも正解じゃダメなノ??」

「『ダーメッ!!』」


修行に取り組む前に優気(ゆうき)怜真(れいま)はリュウの作ったチャーハンを食べながらウォックとフィルセルの喧嘩を眺めていた。最初こそ英単語の違いを楽しんでいたが、次第に相違が多くなり、完全に言い争いに発展していたのだ。優気と怜真はこの習慣にもう慣れたからか、言い争いに発展してもいつものことのようにあしらう。


今日はスサノオとジャンジャンがそれぞれ出かけており、他の外国人三人と何気ない会話をしていた。


 チャーハンを食べ終え、優気は皆の食器を洗おうとリュウと一緒に食器洗いを行う。優気は毎度跡片付けに積極的に勤しんでいた。というのも、自身で料理を作ることが普段の生活となっており、跡片付けの厄介さを知っていたため、少しでも負担軽くさせようと動いていたのだ。


「イヤー、ユウキ本当にありがとネ~。毎回お手伝い助かるヨ」


「いえいえ、ほんの少しものの恩返しですよ。こちらこそ毎度美味しい手料理ありがとうございます」お互いがぺこりと礼をして食器洗いを済ませた。


 片付けも終わり、各々のすべきことに移動し始めたところでインターホンが家に響く。敵の使者にいつアジトを突き止められ、攻撃を仕掛けてくるかがわからないため宅配便や新聞などを頼むことはなく、勧誘などもお断りシールを玄関に貼ってあることもあり、インターホンが鳴ることは基本あり得なかった。


ウォックが玄関先をモニター越しに確認すると、縦横四センチメートルほどの木の棒を使って何らかの機械やオブジェのようなものが建てられていた。不信感を抱くと後ろに居た怜真が大きく驚声を発したため、視線を移動させながら外国人三人は一気に戦闘体制を取り身を固めた。


「よぉ。人間たち。今日スサは留守か?」


声が聞こえた方向は窓側近くのソファーで、不気味なカラーのヘアバンドを装着し、よくわからない物体が繋がれた怪しいネックレスを首掛けているその男は腰を下ろしている。明らかに怪しい風貌だが、外国人三人は肩の力を抜いた。


「なんだよヘラクレスか。今は居ないよ。本当に来る時毎回変なことするのやめてくれよ。久しぶりにヒヤッとしちまったぜ」


「そんなこと言われたら余計やめられないな。今日は昨日教育テレビってので視た『エビデゴラスイッチ』の一部を利用してピンポンさせた。モニターじゃわからないようにしたが、今玄関には凄い装着がいっぱいあるからドア開けるときはそっとしてくれな」


「そっとしてくれなじゃない。こっちは本当に冷や冷やしたんだから」


「本当ネ。ヤバい使者だと思ったネ」「はっはは。そりゃわりぃな」


警戒を解き始めた三人に驚きを隠せない優気は怜真と一緒に目を合わせつつも言葉が出なかった。


ヘラクレスと呼ばれていた大男は、威圧さを感じるというよりかは、関わったら大変なことになるという憶測が簡単に想起できた。金色(こんじき)に太く長く伸びたパーマ風の髪束は蛇が何匹も絡んでいるかのようであり、派手な刺青と何層にも別れた腹筋、ボディビルダーのような体のラインは多くの人間の『関わってはならない者リスト』に該当するだろう。


特に目を引いたのは右半身をコーティングしたような剛強な装備で、どんな攻撃も寄せ付けない強さを兼ね備えている様子を察せれる。あまり関わりたくないと思う二人とは裏腹に、現実はそう甘くなかった。


「スサは居ないのか。で、この2人は誰だ。一度も見たことない顔だが」


「あ、えっと、朱雀の継承者です!!特技はピアノを弾けることです。ああっと」


「バカ!!なんで継承者のこと言うんだよ。相手が敵かも知れないんだぞ!!落ち着け、テンパりすぎだ」


「じゃ、じゃあ、3年1組の神崎優気です!!好きな食べ物はお好み焼きです!!」


「アホ!!もう手遅れだ!!」


二人のやり取りにヘラクレスは腹を抑えて大きく笑い出した。小声で指摘したはずだったが、相手への脅威からか、少し強まった声量となったため相手の耳に届いてしまったのだ。豪快な笑い方にも恐ろしさを感じてしまい、再び優気と怜真は顔を見合わせると互いに困惑した表情を浮かべており安堵した。


「お前が朱雀の継承者か。ちゃんとしたこと言ってた方は誰だ??まさか他の四神か??」


「い、いえ。僕はただの人間です」


「名は??」


川堀(かわほり)怜真、独身です。す、好きなヤクザは山田組です」


「お前だってテンパってんじゃねぇーか!!なんで俺ら学生と無関係な婚姻関係紹介したんだよ。それも好きなヤクザってなんだよ。そもそもヤクザは好きじゃいけねえもんだよ!!」


今度は怜真のあたふたに対して優気が指摘すると再び大声でヘラクレスは笑い出した。フィルセルが「なかなか面白い奴らだろ??」と聞くと笑いながら二度頷く。


「申し遅れた。主はヘラクレス。半身半人の使者よ。それ故に人間の部分は武装をしてる。どうだ?かっこけぇだろ?」


『かっこけぇ』というあまり聞きなれない言葉を聞き一瞬たじろぐも社交辞令のように当たり障りのないように身にまとう武装を褒める。


「ま、これから絡むこともあるかもしれねぇな。よろしく頼む」


浅く顔を下げるヘラクレスとは対照的に二人は深々とお辞儀をするが、相手の頭を上げるタイミングに合わせて顔を上げる。


「一瞬、スサが来るまで暇だなぁと思ったが、お前らが居れば楽しめるな」二人は愛想笑いを浮かべながら、命だけは取らないでくれと内心で願う。それほどにも目の前にいる大男は驚嘆させるような恐ろしさがあるのだ。


「我は今たくさんの国を回っていてな。そこへ行く度独自の文化を体験している。このヘアバンドもネックレスも指輪も様々な国の文化象徴するものだ。そこでだ、主に何か日本の文化を体験させてくれ!!スサが帰ってくるまでにだ」


「えっと、スサノオさんが帰って来たらどうなりますか??」


さっさと終わらせたいがために終わることに関してのことを質問する。胡坐(あぐら)を組み頭を捻るヘラクレスは答えが出ると装備した方向の手で膝を軽く叩いた。


「スサが帰って来た瞬間にこの家をぶっ壊して、我らの陣営と()()()()でもするか!!」


唐突な衝撃的発言に耳を疑った。これにはこの場にいるヘラクレス以外の者の表情が硬直し、理解が追い付かなかった。


「お、おい…それ正気で言ってんのか??」


「勿論だが、どうしたウォック。そんな驚いた顔して?」


「この場にいるお前以外はみんな驚いてるよ…」


驚かざるを得ない発言にヘラクレス以外の人物は硬直する。「えぇっ!ちょっと、これ流石冗談ですよね…??」優気が冷や汗を浮かべながらご機嫌伺いビジネス笑顔を取り繕う。


「終わったネ~ヘラクレスは絶対有言実行するかラ、ホント、おしまいネ」


絶望的な事実を知り、早くも全人類終了のお知らせが告知させられた。


「大丈夫だって。簡単なものでもいいから何か体験させてくれよ」


この場にいる者と対照的に明るく対応するヘラクレスに恐ろしさを感じる。それは途轍もない外見が根拠付けるものであり、唐突に課せられたミッションに対応できるかという不安から起こる感覚だった。


「ちなみに何か条件とかはありますか??例えば、絶対に笑わないといけない。みたいな」


「そうだな。我が楽しめたら合格だな」


「ちょ、ちょっと時間をください」


おうよ、と気楽な返答を貰うと二人で様々な案を出し合う。優気のお料理教室、怜真の造語レクチャー、指スマ大会、割り箸トーナメント、大炎上!部屋中花火大会などたくさんのアイディアが挙がったが、楽しめなかったら終わりという条件の下であまり上手くいきそうなビジョンが見えず苦悩する。


 怜真がコスプレバトルという若干ふざけたようなアイディアを出し、ダメ出しをしたところで優気の頭に最高のアイディアが降りてきた。怜真に持ち掛けると了承したが、これを行うにはある一人の人物が必要不可欠であり、勝手に招き入れてもいいのかを疑われたが、やらなければこのアジトが壊されて元も子も無くなってしまうため、納得せざる負えなかった。


「内容は決まったのですが、もう1人呼んでもいいですかね??」


「全然いいぞ。寧ろウェルカムだ」


「勝手にここに招くことになりますが3人ともいいと思いますか??」

外国人三人衆に答えを求める。


「こればっかりは仕方ないよなぁ…??」

「楽しめなかったら全て終わりだからな。仕方ないと思う」

「責任は皆で取ろうネ!!」


そうと決まり優気は窓から教室へ戻りある人物を呼びに行った。その間に怜真がスサノオの帰る時間をフィルセルに聞くと、大体四時半には戻ると情報を得た。早めに帰ってくることを想定すると五分前には楽しませておきたいところだ。現在時刻は四時十分を経過したところだが、果たしてこの状況を乗り越えることができるのか。

ポイントがあると多くの人に読んでもらえるとのことらしいので、面白いと思った方や少しでも続きが気になる方は是非評価をよろしくお願いいたします!m(__)m

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