第26話
「なにそれーーっ!? 凄すぎないっ!? え、 ていう事は見たらなんでも使えちゃうって事っ?!」
「い、 いや…なんでもって訳ではなくて…」
「じゃあじゃあ、 モノ姉様に近いけど、 職業としては全く別なんだーっ!」
侵入した方法を教えるには俺の職業『観察者』の説明も必要だったので、 後に前回モノが使用した、 秘密を喋ると発動する魔道具を使用してくれるという条件で説明したのだが…その途端これだ。 俺の職業について興奮しているようで、 自分が下着姿をしているかなど忘れてしまっている。 おかげで飛んだり跳ねたりするもので…まぁ、 目のやり場に困るというか…ご馳走様というか…。
「じゃあ今は他の人からは、 その『重瞳』ってやつは見えないようになってるんだ! 」
大魔道士のお姉さんから教えてもらったお陰で、 今のところ誰にも見られないで済んでいるものの、 俺はあまりあの状態が好きではない。
「…そういえば、 モノはスキルを使う時、 俺みたいに変化する所があるのか?」
同じ特殊職業で、 お互いに何かの関連性があるのなら、 アランの『勇者』もそうだが、 モノの『研究者』もスキルを使用した際に変化しているところがあるかも知れない。
俺の問いに、 腕を組んで少しばかり悩むウルスラだが、 これがまた目のやり場に困る…。
「と、 とりあえず服を着てくれないか…? 」
「む? わたしは別に平気だけど?」
俺が平気じゃない。
「ほら、 俺だって男だからさ…流石にそのまんまって訳にはいかないだろ?」
「むぅ〜…仕方ないなぁ…」
何故か納得していないような口ぶりで、 クローゼットから1枚のネグリジェを取り出し、 それを頭から被る。
「お、 おい…それじゃあさっきまでとあんまり変わらないじゃねぇか…」
俺が少し戸惑いながら言うと、 俺の反応を試していたかのように、 ウルスラはクスリと笑う。
薄いシースルーのようなネグリジェからは、 先程まで丸見えだった下着姿はうっすらとし、 余計にエロさが増してしまっている…。
…恐るべし。
「とりあえず、 さっきまでの話に戻るけど…モノ姉様にもスキルを使った時、 何らかの変化が起きるかどうかだけど…起きるよ」
「っ!? 本当か!?」
そうと分かれば、 俺の見立ては正しかったのかもしれない。 他の職業にはない『者』というワードは、 特殊職業に限定されており、 それら全てが魔族の言っていた『選ばれた』という事になるのかもしれない。
「なら、 モノとも話をしたいんだが…この部屋に呼べたりするか?」
ここから先はモノの領分だ。 俺の持っている情報をモノに提供し、 その情報から様々な知識から結び付けていく。 そうすればこの職業の謎に近付けるに違いない。
「あのぉ〜…その事なんだけど……モノ姉様、 もう居る」
「…え?」
ウルスラの発言を聞いて、 わけもわからず間抜けな返答をしてしまったが、 直ぐに理解した。
部屋の扉が開いており、 そこには殺気とも取れる気迫を漂わせたモノがそこにはいた。
「モ、 モノ…丁度話したいことが…」
「…言いたい事は、 それ…だけ…?」
そう言うと、 右手をゆっくりと上げるモノ。 その仕草に反応し、 モノの後方から金色に輝く7つの剣が浮遊していた。
「『顕現 七星剣グランシャリオ』」
顕現、 つまりはアランの職業固有のスキル『覇王道』によって顕現された武器。 『神槍ゲイ・ボルグ』の次は『七星剣グランシャリオ』までも取得に成功したということだろう。
仲間としては誇らしい事だが、 今その刃が俺に向けられているという事が問題だ。
「ちょっ!? ま、 まてまてまて! ────って、 おい、 ウルスラ! お前だけ逃げようとしてんじゃねぇ!」
恐る恐ると部屋の隅に逃げようとしていたウルスラを呼び止めるが、 どうにかモノを落ち着かせるしかこの現状の打開策はないだろう…。
しかし、 何にモノがあそこまで怒っているのかが皆目検討もつかないのであれば、 方法が思いつかない。
「俺は、 俺達の職業について分かったことがあったら、 それについてお前(の知識)が必要だったんだ!」
すると、 俺の台詞を聞いた途端、 ゆらゆらと近付いて来ていた足がピタリと止まった。
…いける。
「俺だけじゃどうしても分からなかったんだ…だから、 お前に会いに来たんだ!」
「…モノ、 に…会いに…?」
何か誤解を生むような言い方になってしまっているが、 ここで殺される訳にはいかない。
「あ、 あぁ…そうだ!」
「…わかった…」
そう言うと、 モノは顕現させていた『七星剣グランシャリオ』を解除し、 少し頬を赤らめていた。
「ご、 ごめんなさいモノ姉様…少しからかっていただけなの…」
剣を収めたモノに謝罪するウルスラだったが、 部屋の隅に逃げ仰せていたウルスラの方をギロリと睨みつける。
「…ウルは、 後で…部屋でね…」
『部屋』という単語を耳にした途端、 ウルスラは肩をビクつかせ、 顔はすっかり青ざめており、 表情はまさに絶望と言わんばかりの表情をしていた。
…部屋に何があるんだよ。
「…ゼン、 部屋を変えよ…モノの、 研究室に…ウルは…そこで待っていて…」
「はいっ!! いつまででも待っておりますっ!!」
ウルスラは一瞬にして正座をし、 今までで1番大きな声で返事をしていた…。
「…じゃあ…いこ…?」
「お、 おう…」
女の子って…怖い。




