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世界最強の観察者  作者: 十卡一
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第24話

「…ん……はっ!? ぼ、 僕は一体…」

「やっと目が覚めたようだな」

モノの猛攻のせいで気を失っていたアランは、 ようやく目を覚ますことが出来た。 既に日は落ち、 訓練を続けることが出来る状況にも無かったので、 俺はアランを抱えて寮に戻っていた。

同室のイグニスはクエスト任務に出ており、 部屋には俺とアランだけだ。

「すまないね、 ここまで運んで来てくれたのかい?」

「浮遊スキルで軽くしたけどな…それより、 大体理解しているけど、 何があった?」

アランは俺の問いに対して、 少しバツが悪そうに頬を掻きながら答えてくれた。

「お察しの通り、 手加減無しでスキルを連発してもらったってとこかな。 試験の時から強いとは思っていたけど…まさかあれ程研鑽していたとは考えていなかったよ。 流石にモノ君が『神槍ゲイ・ボルグ』を使ってきた時には驚きを隠せなかったね」

「…っ!? モノが…『神槍ゲイ・ボルグ』を顕現させた…っ!?」

それはつまり、 俺の『観察者』では不可能だった『覇王道ロードマスター』を研究完了したということだろう…。 普段のぼーっとしている様な少女だが、 あれでもこの国随一の頭脳を持っている少女だ。

「俺とアランが特訓している中、 隅でなにかやってるとは思っていたけど…まさか『覇王道』を研究していたとはな…流石『研究者』だな」

「そうだね、 流石の僕も同じ『もの』としては…君にも、 モノ君にも嫉妬を抱えざるを得ないよ」

俺は、 アランの洒落を込めた何気ない台詞に突っかかりを覚えた。

俺の『観察者』や、 モノの『研究者』は言わずもがな特殊職業(ジョブ)であり、 アランの『勇者』も他の職業と比べたら特別良でている。

…そして、 それら全ての職業には全て『者』という名が付いている…。

「ど、 どうしたんだい…ゼン君。 あ、 あまり僕も黙られると恥ずかしいというか……」

自分の洒落で黙り込んでしまったと思ったのか、 少し気恥しそうにしながら横目で見てくるアラン。

「……すまん、 ちょっとモノの所に行ってくる」

「あ、 あぁ…イグニスには伝えておくよ」

この突っかかりについて調べるなら、 モノの頭脳にも協力してもらった方がいいだろう。何か言いたそうなアランは放っておいて、 俺は直ぐに寮を出る。 もし、 この俺の疑念が正しいのであれば…あの魔族の言っていた『選ばれた』という発言とも繋がるかもしれない。

こんな時に『思念伝達』のようなスキルが使用出来ればいいのだろうが、 全貌を見れずに中断されたスキルや、 視界外で使用されたスキル、 そもそも視界には映らないスキル等は、 『観察者』の判定には入らないらしく、 それらの判定外のスキルは覚えられないのが悔やまれるところだ。



寮からバエル家まではそう遠くはなく、 徒歩でも10分程で到着する。 走って移動していた俺はそれよりも遥かに短い時間で到着することが出来た。

辺りの家よりも煌びやかな装飾が成されており、 部屋数も階数もそこらの屋敷ともレベルが違い、 警備員として雇われている聖騎士達もゴロゴロといる。 俺は全く怪しい者ではないが、 ここまで警備されていると入りづらいものがある…。

時間もそろそろ日付が変わる頃だろう。

「今日は一先ひとまず帰るとするか…」

俺が踵を返して帰宅路に向かおうとしたその時、 屋敷の3階の一室で、 太陽の光を阻害する効果を付与されているカーテンの隙間から灯りが漏れていることに気が付いた。 もしかすると、 モノが何かを研究しているのかもしれない…。

正々堂々正面から行けばいいものの、 俺はスキルを駆使して3階の一室に侵入してみることにした。

「聖騎士位欺けないと、 あいつらに勝てないだろうなぁ…」


戦闘はせず、 隠密で侵入する。

…これ、 もし捕まったら殺されないよな?

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