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世界最強の観察者  作者: 十卡一
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第22話


アランの魔力切れのタイミングで昼食を摂ることにしたが、 時間が惜しい気持ちでいっぱいの俺は、 簡易的に昼食を摂ることが出来るアイテムで昼食を済ませながら、 アランの体術訓練の相手として『キアラ』をスカウトする事に決めた。

「さて…と、 ガイルからの許可も得たことだし、

声かけてみるか」

チューブ型にまとめられたゼリー状の昼食を吸いながら、 キアラの居るAクラスを目指す。

Aクラスは人数が多い分、 Aクラスの中だけでも3つのクラスに分けられており、 一つ一つ見ていく必要がある。 もし、 クラス分けが実力順であればA-1クラスだとは思うが…。

そう思い、 A-1クラスを恐る恐る覗き込むと、 予想が的中したのか、 たまたまなのかはさておき、 見事A-1クラスにはキアラは居た。

……しかし、 同じくカインも居る。

う〜ん…どうしたものか。

この距離でキアラを呼ぶことはできるものの、 目立つと必ずカインの目にも留まるだろう。 事情を話せない今、 どうにかしてキアラだけを呼び出したい…。

教室の入口の前で頭を抱えていると、 ちょうど教室に入ろうとする女子生徒が目に留まる。

「あっ! き、 君…A-1クラスの生徒?」

「え、 あ、 はい…そうですけど」

急に声をかけられた事に少し戸惑いつつも、 同じ生徒である事を理解してくれたおかげで、 変に叫び声を上げられる様なことにはならなくて済んだ。

「同じクラスのキアラを呼んで貰いたいんだけど、 いかな?」

「ちなみに…キアラちゃんとはどういう関係ですか?」

「か、 関係? 俺は…友達だと思ってるよ」

流石に同じ制服であろうと、 多少警戒はされているのだろう…。

「名前はゼン・アルファ、 ゼンって言ってくれれば分かるはずだよ」

俺が自分の名前を言った瞬間、 女子生徒の眉がピクリと反応し、 一瞬だけ口角が上がった。

「…悪いけど、 キアラちゃんは渡さないよ?」

「っ!? な、 なんでだよ…」

それでは今後の計画…ひいてはアランの訓練相手をまた探さなくてはならない。 格闘家でありながらもAクラスにまで登りつめているキアラは、 間違いなくアランの訓練相手に相応しいと思っている。

ここは、 何としてでも…たとえ、 カインに見つかってしまったとしても仲間に引き入れなければならないっ!

「キ、 キアラーーツ!」

覚悟を決め、 俺は大声でキアラの名を叫ぶ…も、 その声はキアラには届いていないようで、 変わらず友人との会話を楽しんでいる。

…どころか、 クラス中の誰も俺の声に反応していない。

『精霊術師スキル: エア を獲得しました』

その時、 俺の『観察者』がスキルに反応し、 新たなスキルを習得した。

「成程な、 精霊術師か」

「おやおやぁ〜、 もう気付いちゃうんだ。 さっすがぁ〜」

『精霊術師』は、 スキルを発動させる際の魔力を必要とせず、 契約した精霊とリンクする事で、 その精霊から直接スキルを使用することが出来る。 しかし、 契約した精霊には常に魔力供給を要する為、 莫大な魔力を要する事には変わりなく、 他の職業ジョブとは異質な職業といえよう。

そして、 精霊術師スキル『エア』は、 ある一定の空気を操作することが出来る。 それにより、 俺の周囲にのみ真空の壁を作り出し、 音を遮断しているのだろう。

「邪魔が目的なら、 今回はやめてくれ…急ぎなんだ」

何故そこまでして俺の邪魔をするのかが分からない…。

俺とこの女子生徒は初対面…という事は、 キアラの方と何か繋がりがあるのだろう。

しかし、 そんな個人感情に付き合っている程俺は暇じゃない。

「急ぎ…なら、 どうするの?」

くい、 と少し屈みながら俺の表情を下から覗き込む。 女子生徒の表情は、 まるで『やってみろ』と言わんばかりの挑発じみた面持ちだ。

「悪いがそうさせてもらう。 『アンチスキル』」

パチンと指を鳴らし、 それを要に微弱な衝撃波を発生させる。 真空を作り出していた壁はその衝撃波によって破壊され、 いつもの状態へと強制的に戻させる。

大魔道士スキル『アンチスキル』によって、 『エア』を破壊された事に驚きつつも次なる一手を打つ為に動き出す。

「──のぅわっ!?」

しかしその一手は幻影師スキル『幻影捕縛陣』により、 自身の影から伸びる手により完全に身動きを封じられてしまう。

俺はこの瞬間を逃すまいと、 A-1クラスに飛び込むと、 ざわざわと教室中が騒ぎ始める中、 カインとキアラだけは驚いた表情をしていた。

そりゃそうだ。 急に知り合いが教室に凄まじい勢いで転がり込んで来たら俺だって同じ表情になる。

「ゼ、 ゼン君っ!?」

俺はすぐさまキアラを見据え、 腹の奥から渾身の大声で叫ぶ。


「キアラーーーツ! 俺と来い!」


誤解された。

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