第20話
オリジナルスキル。
それは、 Sランクの職業まで到達した者の中でも極稀にしか取得することが出来ないスキルの事であり、 オリジナルスキルはその特定の人物にしか使用する事が出来ないスキルなのだ。
だからこそ、 ばあちゃんは俺に『消力』を教えなかったのだろうが、 どうやら『観察者』には関係なかったようだ。 しかし、 アランのもつ『覇王道』が取得出来なかった事を考えると、 見れば必ずしも取得することが出来るという訳ではないらしい。 恐らく観察者の取得条件は『目視』以外にもある、 ということだろう。
俺のオリジナルスキル、 と言ったが、 正確に言えば俺のスキルでは無い。 観察者で得たスキルは『言語解読』だけなので、 攻撃は愚か防御にもなりはしない。
──つまり、 観察者で取得したスキルを使い、 新しいスキルとして構築すればいいという訳だ。
研究熱心の堅物には到底出来まい…。
俺にしか出来ない、 観察者だからこそ実現可能なスキル構築だ。
だからこそ──オリジナル。
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オリジナルスキルを完成させる為に必要なものは何か…何故限られた者、 そしてその人物にしか使えないのか…俺はそこから考えた。
そして、 オリジナルスキルを完成させる為に必要な根源、 それはスキルでもなく魔力量でもない…『術』なのではないかと考察した。
スキルは、 スキルそのものが一種の『術』だと仮定し、 そのスキルを使用する際にもいくつかの動作が必要となる。 主には剣を振るう動作や、 駆ける動作…跳ぶ動作など様々ある。 だが、 その動作は誰にでも可能な動作だ。
しかし、 素人の繰り出す剣撃と聖騎士の繰り出す剣撃はレベルが違う。 それが剣『術』の違いだ。
簡単に言ってみれば、 スキルを使用した際の動作に武『術』や剣『術』を取り入れることでより高度なスキルとして完成させる…という訳だ。
ばあちゃんのオリジナルスキル『消力』も、 元々は格闘家スキル『波動』に拳術を取り込んだものだ。
そして俺は、 その動作となる術の代わりに使うものが…各攻撃系、 移動系スキルの動作だ。 言ってみれば簡単な話だが、 スキルを使用した際の動作、 スキル効果を繋ぎ合わせることでひとつのスキルとして成立させるという事だ。
「さて……いくぞっ!」
俺は胸ポケットから、 『顎』戦の時の戦利品であるナイフを取り出し、 そのナイフに雷属性のスキル『スパーク』を纏わせ、 そのナイフを投擲する為に振りかぶる。
「…あれが、 ゼン君のオリジナルスキルなのか…?」
「…思っていたより、 普通…」
そりゃそうだ。
今やっている事は、 一般的な属性付与にしか見えていないだろう…。
「勇者の坊主! 早く防御を展開するんじゃっ!」
「は、はいっ! 『顕現せよ、 アイギス』!!」
じいちゃんの急な指示に慌てつつも、 雷属性に耐性の高い武具スキル『アイギス』を展開する。
「展開完了しまし──」
「────おっせぇ」
「「「…っ!?」」」
アランの防御系スキル『アイギス』の展開が完了した瞬間には、 既に俺はアランに向けてナイフを投擲しており、 すんでのところで防ぐことが出来たようだが安堵するのも束の間、 アランの視界に飛び込んで来たのは、 オリジナルスキルの効果により高速移動を可能にした俺の存在だった。
高速移動による重力負荷を無駄にせず、 その勢いのまま全力で拳を振るう。 その威力は防御系スキルの中でも最強と名高い『アイギス』すらも耐えることは叶わず、 無残にも砕け散ってしまう。
破壊した際の衝撃波は、 モノが生成してくれていた『気圧弾』のお陰で相殺されており、 どうやらアランは無事のようだ。
「──ふぅ…ぶっつけ本番にしちゃあ、 かなりいい結果じゃないかな? 」
「…ま、 まさかぶっつけ本番でこの威力だとは思わなかったよ…一体どんなオリジナルを生み出したんだい?」
みんなにも説明しようと辺りを見渡すと、 じいちゃんもばあちゃんは口をあんぐりと開けたままこちらを眺めていた。
そんな中、 モノは目をキラキラさせながら俺の袖をぐいぐいと引っ張りながら、 早く教えろと言わんばかりに目で語ってくる。
「ま、 まぁ…そう焦るな…。 オリジナルスキルと銘打ってはいるけど、 実は…このナイフが無いと使えないんだ」
そういって俺は、 貴重なナイフを拾う。
そう、 今使ったオリジナルスキルは『顎』のメンバー『アハト』が使用していたナイフがあってこその効果なのだ。
どうやらこのナイフの内部には魔石が埋め込まれており、 スキルを使用することによって発動する魔道具となっていた。 魔道具の効果は『スキル融合』で、 属性相性や系統等も関係あるようだか、 スキル同士を掛け合わせる事が出来る。
そして今回、 俺が掛け合わせたスキルは雷属性のスキル『スパーク』と『高速移動』の2つだ。 それにより、 スパークの発する電流と同じ速さで高速移動することが可能になる…という事だ。
「──でも、 さっき使った感覚的に、 ナイフが移動した時に残る電流を通る必要がありそうだから、 ナイフを投擲した後、 そのナイフの場所に移動する事しか出来なさそうだけどな」
「流石、 鬼神と武神と呼ばれた2人から育てられたとしか言えませんね…」
国王は、 冷や汗を垂らしながら俺の実力を…そして、 俺の発言を理解したようだった。
「こうなっては、 一般兵を使わない方がいいと言う君の発言に従うとしよう…部隊編成はまた明日、 ガイルから伝えさせる」
これで良かったはずだ。
でなきゃ、 騎士団員達の死体の山が幾つできるかわかったもんじゃない…。
こうして、 俺の職業『観察者』を知る人物に、 アランとガイルと国王が追加された。




