第17話
アランの魔道具のお陰で無事五体満足で帰還することが出来た俺とモノは、 その日は深夜だったこともあり、 各自寝床に戻ると俺はすぐに眠りについてしまった。
そして、 俺、 モノ、 アランの3人は現在他の生徒達が登校してくる時間よりもかなり早い時間に、 担任のガイルの元を訪れていた。 勿論昨晩の出来事の報告だ。 ただ、 俺を指名して『特別』だと言った内容は念の為伏せておく。
「……ふむ、 成程。 その『顎』という盗賊団の団長がイギルか…」
「先生、 この人物の事をご存知なのですか?」
アランの言う通り、 団員の名前を報告している時に、 微かながら反応していたが、 特に団長イギルの名を出した時が1番大きく反応していたように見えた。
「一応、 な。 俺は教師もやっているが、 まだまだ現役の聖騎士団に所属しているからな…本来こいつらの話をお前らにすることは禁止されている…が、 お前らの命に関わる問題だ」
そう言って念を押し、 今回俺達が襲われた盗賊団『顎』についての情報を、 ガイルが知っている限りの全てを話してくれた。
そもそも団員の人数は8人で構成されており、 団員ずつに序列が与えられる。
団員序列は戦闘能力の高さ、 職業の利便性、 団、 又は団長への貢献度で決まるらしく、 団員同士の決闘なんかも行われているらしい…。
そして、 ナイフ使いの『奇術師』アハトが団員序列最下位の8番だった。
さらに、 身の丈180を超えているであろう大男ガブラスは団員序列4番。 目にクマが出来ていた黒髪の少女、 クレアが3番のようで、 あの大男よりも少女の方が序列が上だと言うことには驚きだが、 何より実際相手をしたあの『奇術師』のレベルで1番弱いと来た…。
盗賊団『顎』、 目的が分からず、 尚且つ戦力すら把握出来ていない団体。
「…先生、 この問題は国家で動くべき案件なのではないでしょうか」
「…勇者の、 言う通り…だと、 思う…」
窮地を助けて貰った相手の名前すらまだ覚えていないモノはおいといて、 アランの発言はもっともだ。
…ぶっちゃけ言うと荷が重い。
「うぅむ…分かった、 1度国王に掛け合ってみよう」
「「「(…)ありがとう(、)ございます(…)!」」」
盗賊団の情報量といい、 案件を国王に掛け合える事といい…もしかすると、 俺達の担任は想像しているよりもとてつもない人物なのかもしれない…。
ガイルへの報告を終え、 俺達は教室へと向かおうとした時。
「…あ、 ゼン────」
「人違いだ」
「嘘つけ!!」
最悪なことにカインと出会してしまった。
どうやらカインも教員に何か用事がある様で、 同じくここを訪れたのだろう。
「…なぁ、 いっこいいか?」
いつものおちゃらけた態度から一変、 真剣な眼差しで俺を見つめるカインに気圧された俺は、 諦めて潔く質問に答える事にした。
「…はぁ、 すまんなアラン、 モノ。 聞いての通りだ」
「了解した、 僕とモノ君は先に教室に行っておくよ」
「………わかった…」
モノの方は渋々といった様子だったが、 アランのお陰もあり、 俺の心中を察してこの場を離れてくれる。
「…それで、 一体何の話なんだ?」
教室の方角へ歩きながら、 俺は未だ真剣な面持ちのカインに尋ねる。
カインは辺りをキョロキョロと見回し、 俺の他に誰も居ないことを確認すると、 重たい口を開いた。
「昨日、 近くの街の任務クエストに行ってたんだけどよ…その時に黒いローブを着た2人組がお前の事嗅ぎ回ってたぞ。 一体何やらかしたんだ?」
「そうか……いや、 俺は特に何かした覚えは無いんだけどなぁ」
どうやらイギルの奴、 俺とモノが受けた任務クエスト以外にも網を張ってたみたいだな。
一体何が目的なんだ…。
「気をつけとけよ…あいつら、 多分ヤバい奴らだぞ」
街中を堂々とローブ羽織って歩き回ってる奴がやばくない訳ないが…有難く忠告は受け取っておく。
「ありがとう、 気をつけとくよ」
その時、 校内放送を知らせるチャイムが鳴り、 その後にガイルの声が校内中に響き渡る。
『1年Sクラス、 アラン・シュートデル・ディッフィ、 モノ・バエル、 ゼン・アルファ…至急5階の訓練所まで来るように…国王がお見えだ』
仕事が早いこって…。




