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世界最強の観察者  作者: 十卡一
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第11話


本日の授業…といっても今後の説明がほとんどで、 今日1日はまともな授業を受けていないが、 とりあえず1日のカリキュラムを終え、 説明を受けた寮へと足を運ぶ。

寮は本校舎から徒歩で15分程歩いた場所にあり、 『コ』の字型の造りになっていて、 左が『男子寮』で、 右が『女子寮』というように分けられている。

そして、 真ん中と左右の先端に入口が設けられており、 男子は左側か中央からの入寮のみ、 女子は右側か中央からの入寮のみと定められている。

部屋割りは3人1部屋のランダムで決められるようで、 予め指定されていた部屋に入るも誰もおらず、 どうやら俺が一番乗りのようだった。

3段ベッドが左端にあり、 向かいの壁には個々の小さめの机が3つ並んでいる。 奥の壁は引き戸のクローゼットとなっており、 3人分の衣類は余裕で収納出来るであろうスペースが設けられていた。

10分程経つと、 外の廊下から話し声が聞こえ、 俺が待っている部屋の扉が『ガチャ』と音を立ててドアノブが回転する。

扉の向こうから現れたのは、 よく見知った顔と、 会話はしたことない男子生徒だった。

「やぁ、 僕達のもう1人のルームメイトは君だったのか」

そういって俺に向かって声をかけるのは、 言わずもがな『勇者』アランだった。

そして、 その横に立っていたのは俺が模擬戦で倒した相手のうちの1人だった。

「よっ! 模擬戦のときゃあびっくりしたぜ…マジで剣士なのにあれだけ強ぇなんてな……俺は『イグニス・イーテリオン』だ、 よろしくな」

イグニスと名乗るこの少年は筋骨隆々とは言わないまでも、 そこそこ鍛えてきていたつもりだったゼンより遥かに巨躰で、 模擬戦の時も携えていた、 人の身長を軽々と超える程の大剣を背に抱えていた。

「模擬戦の時は、 奇襲みたいな手を使って悪かったな…俺は『ゼン・アルファ』だ、 よろしく」



この寮での食事は各自好きな時間に食堂で摂る事が出来るようになっており、 寮費や食事代等は今後授業に導入される『クエスト任務』の達成によって賄われていくシステムだ。

つまりは『クエスト任務』を達成していかなければ、 ここを追い出される事もあるという事なのだ。

俺たちは、 今後行われていく『任務クエスト』の話をしながら食事を済ませ、 きたる入浴の時間を確認しながら部屋に帰るのだが…。

「おやおやぁ〜あ? のんびり飯食ってる場合だったのかなぁ? 」

俺たちの部屋の前には6人程の生徒がたむろしており、 鍵を閉めていたハズの扉も破壊されており、 生徒達の間から見える部屋は、 見るも無惨にボロボロに荒らされていた。

「これは一体何の真似ですか…先輩方?」

顔色を変えずに淡々と問うアランだが、 その目は笑っていなかった。

「俺達ぁ後輩に世の中の厳しさを教えてやろうとおもってだなぁ…? ちょっと裏まで来てもらおうか…クソガキ共」

廊下を歩き、 俺たちとすれ違う間際に暴言を吐く。

先輩の目線は、 恐らくアランにのみ向けられたものだと推測される。

それは『妬み』。

それほどまでに『勇者』は待遇されることも多く、 この先学校を卒業してからの職業も引く手数多、 そして人望も獲得でき、 注目の的になれる。

別にこれでアランにお灸を据えた所で『勇者』職業ジョブが貰える訳でもない。 単なる憂さ晴らしだ。

『勇者』は成長速度が高く、 より強いスキルを覚えていけるので、 1年の今のうちにお灸を据える必要があると考えてきていたのだろうが…。


────あまい。


俺はアランと知り合って間もないが、 それでも分かる。

初めて聖協会で見かけた時よりも格段に鍛え抜かれている身体。 『勇者』になってから、 毎日厳しい訓練をしてきていた筈だ…。

そんな奴が、 高々(たかだか)1、 2年先ねんさきに生まれただけで図に乗るような人間に負けるとは思っていない。

そしてアランの戦闘能力の高さは、 模擬戦で把握している…。 無慈悲な状態異常無効『強者の意思』なんてぶっ壊れオートスキルまで持っているくらいだ。 本人は全力だと言っていたが、 恐らくまだまだ使っていないスキルもある筈だ。 今回の喧嘩(?)でそれも獲得したいところだ。

ただ……これは『禁忌違反』にはならないのだろうか…。 先輩達の表情、 口調、 行動から感じるのは完全なる悪意そのものだが…。

そんな事を考えながら、 先に進む先輩達の後を追って歩いていくと…。

「…ここだ」

そういって立ち止まる先輩。 そこは寮の裏側にある広々とした何も無い広場のような場所に到着した。

そして、 到着してすぐにアランを中心に囲うように先輩達が移動する。

「なんだァ? 先輩方よ…1対6ってのは卑怯じゃねぇか…?」

「よすんだ、 イグニス」

アランを逃がすまいとした行動が許せなかったようで、 イグニスが怒りの声を上げながら背中の大太刀に手を翳すも、 それを制止させるアラン。

「それで、 こんな所まで連れて来て、 一体何の用でしょうか?」

その答えと言わんばかりに、 アランに向かって指を指す。


「…今から勇者おまえに、 正式な決闘を申し込む」



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