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第42話 大会準決勝 1

「ねえ。何かあの人、変な感じがしない?」


準決勝の一試合目が始まる直前、テュケーがそんなことを言ってくる。テュケーが指をさした先にはマルスが座っていた。


「変な感じ? どういうこと?」


「いや、何かの魔法が入っているような気がして」


俺はテュケーがそんなことを読み取れるのか、と感心しながらマルスの方を向く。それに気づいたマルスはこちらの方を向くと、軽く会釈をした。


「まあ、全身に包帯を巻いているってだけで変なやつだとは思うけどな」


その言葉に確かにそれはそうね。とテュケーは軽く返事をした。けどそれとともに、ランクの低さも気になる。

実際あのランクだとmasterどころかprofessionalにすら挑戦できない。プシケはランクが下がっているだけだから、全く問題はないのだが。いったいどこでprofessionalやmasterをプレイしたのかも気になる。一体何者なんだ?


と、そんな考え事をしていると、アナウンスが流れた。どうやら準決勝が始まるようだ。

準決勝は向こうが指定した一曲の一発勝負。大体準決勝で選ばれる曲は一試合目と二試合目は関係が強い曲が多い。つまりこの曲によって俺たちの課題曲もある程度予想できるのだ。


選ばれた曲は『ライトニングアンペジオ』。最近発表された曲らしい。どうやらライトニングボルテッシモと対になる曲のようで、ちょっとずつ人気を獲得し出している。

だが、これは俺たちの課題曲がわかりにくくなってしまった。ライトニング・ボルテッシモは一回戦で既に出ている。俺たちの課題曲で選ばれることはないだろう。

今回は全く関係ない曲を選んできたか?


モニターにはガイアとくろのすが握手をしている画面が映る。そして、2人は定位置に着くと、演奏の準備に入る。


ライトニング・アンペジオはボルテッシモと違い、ゆったりとした曲調が特徴だ。その為、視覚的には音符がギチギチに詰まっているように見える。だが、単純な複合となっていることも多いので、ある程度覚えている、もしくはすぐに判断できる人はそんなに難しく感じないだろう。


曲が始まる。序盤から詰まった譜面が流れてくる。が、二人とも難なく突破。というか完璧に突破した。

そして中盤、終盤と譜面が続いていく。ここまでは二人ともperfectで突破している。一つのミスが命取りとなるこの状況で、どちらが先にミスをするのかが、かなり分かれ目となるだろう。


と、ここで観客が溜息のような、がっかりした声を漏らす。どうやらくろのすの方でgreatが一回出たようだ。これはかなりガイアに有利になった。

ガイアは後はall perfectさえ取れば勝ち確定だ。そうでなくてもgreat一回までは出しても問題な……い?


と、ここでガイアもperfectを逃す。しかしただのミスならば問題ない。が、ここで流したのはgreatを飛んでgoodを出したことだ。そして、そのまま曲が終わる。この曲は連打がない完全精度曲なので、perfectの数がもろに重要となってくる。

途中からくろのすは見ていなかったが、あれ以上にgreatを出したりしたかな?


くろのす


perfect 764

great 1

good 0

miss 0


がいあら


perfect 764

great 0

good 1

miss 0


観客からは歓声があがる。と、同時に選手控え室ではいくらかの溜息が溢れる。その一つを出した俺はスコアを眺める。perfectの数は同じ、点数のこれだけの結果を分けたのはgreatかgoodかの違いだけだ。


ステージでは、くろのすが司会にインタビューを受けている。どうやら決勝への意気込みなどを聞かれているようだ。と、その後ろに立っているガイアの様子がおかしい。すると次の瞬間そのまま崩れ落ちた。


『ちょっ! 大丈夫ですか!?』


司会が慌ててガイアの元に駆け寄る。それと同時に、警備をしていた騎士団の人たちも飛び出す。騎士団の人たちは、ガイアの様子を見ているようだった。そして、そのまま担架に乗せられる。このまま病院に運ばれるのだろうか。

その様子を見たテュケーは顔色を変えて、ガイアの元へ走っていく。テュケーが無理矢理誘ったところもありかなり責任を感じているのだろう。モニターを見るとテュケーもガイアの近くに寄り添って、運ばれていくのが見えた。

それと同時に司会が口を開く。


『えー。予想外の事故より、ここで休憩を20分ほど挟みます』


どうやら、体勢を整えたり、観客の動揺を落ち着かせるために、休憩を挟むようだ。

俺は少し外の空気を吸ってこようと思い、建物から出る。

しかし、ガイアはどうしてあんなに体調が悪かったんだ? 昨日からだよな? それにあの様子だとかなり悪そうだ。後でお見舞いか何かに行かなければ。そう思いながら、タワーの外に出ると、あの怪しげな占い師が物陰に座っていた。


「あれ? どうしたんですか?」


俺が後ろから不意に声をかけると、タルポは驚いたように肩を浮かせる。


「な、なんでもないわよ。 ところで準決勝に進出したらしいわね。おめでとう」


そんな風にとってつけたように祝福の言葉を残すと、すぐさま何処かへ行ってしまった。一体なんなのだろうか?


と、外でぶらぶらしていると、向こうからテュケーが帰ってくるのが見えた。テュケーはホッとした表情で歩いている。


「どうだったんだ?」


テュケーは安堵の表情を浮かべ、ガイアはなんともなかったと伝えた。

どうやらあの後騎士団長までも来たらしく、騎士団長によって運ばれていった。容体も安定していたのでテュケーはそれを見て安心して引き返したらしい。

しかし、すぐに病院に行くという。どうやら自分の荷物を取りに帰っただけらしい。


テュケーとともに会場に戻ると、すぐに二戦目のアナウンスが流れた。どうやらギリギリだったらしい。

俺はテュケーに別れを告げるとステージに向かう。テュケーは絶対に勝つのよ。と一言残して荷物を握って走って行った。


テュケーは居なくなったが、応援してくれる人は多くいる。絶対に決勝に行くんだ。




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