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第34話 大会一回戦 1

俺たちは大会が始まる少し前に会場に着いた。参加者だと名乗ると、スコアネームを聞かれ、それに応じると、控え室に通された。早く来すぎたかと思っていたが、ほとんどのプレイヤーが揃っていた。

すると、1人の男が俺に近づいて来た。


「凄いな。4位だろ?」


そう告げた男。アドニスは気軽に肩に手をかける。


「アドニスも来ていたのか?」


俺が素っ気なく答えると、驚いたように声を上げる。


「おいおいおい、俺が7位通過で通ったの見てたろ?」


「すまん。仲間がどうなるか必死だったから気づかなかった」


「まじかよ!」


実際に本当に気づかなかった。ってか7位通過って、テュケーよりも上かよ。ああ。そういえば騎士団はエリートって言ってた気がするな。まあ確かに騎士団くらいなら簡単に7位くらいとれるのか。


「ってか他に騎士団はいないのか? 正直、こんな大会を開くと騎士団で上位が埋め尽くされる気がするんだが」


「まあ、大体のやつは大会に興味がないからな。優勝したところで旨みがないからな。ただ、予選1位で通過した、くろのすは騎士団だぞ」


騎士団か。まあ、あの鎧や体つきを見ているとそうかなとは思っていたが。


「あいつは王都から来た騎士で、かなりの実力者だぞ」


「王都? わざわざ大会のためだけにこんなところまで来たのか?」


すると、アドニスは首を振る。そして俺を指差した。なんだかデジャブ。昨日もこんなことがあったような。


「本当はラムス討伐のために来たんだよ。近くまで要請があった時には近くまで他の用件で来ていたらしく、他の騎士団より先にこの街についていたんだ。そうしたら、討伐とまではいかないが追い詰めたという話を聞いたんだ。そうしたらお前に興味が湧いたんだってさ。ついでだから大会にも出てやろうって」


うわ。なんだそれ。絶対にあいつの方が実力上だろうし、なるべく当たりたくないなぁ。


「他に上手いやつとかわからないか? 予選の得意不得意がある曲じゃ、本当の実力なんてわからないんだが」


俺がアドニスに伝えると、アドニスは少し考えながら、辺りを見渡す。すると、めぼしい人を見つけたのか、その人の方を指差しながら俺に伝える。俺はその指の示す先を見る。すると二位通過していた女の人が立っていた。


「二位通過のてすらんはこの街の住人だな。ただ、あの子はパラスルパラソルが得意曲だったみたいだな。ただ護るための障壁も普段からかなりプレイしていた曲みたいで、実際の実力はもう少し下かもしれん」


そう言いながらアドニスは別の人を探す。しかし、特に見つからなかったのか、そのままこちらを振り返る。


「うーむ。後は特に警戒するような奴はいないかな。お前くらいの実力なら、自分の順位より下位の奴らならなんとかなるだろう」


ふむ。ってことは1位を見据えていろということかな。だったらしっかり1位のやつに焦点を当ててプレイしていきたいな。そんなことを思っていると、アドニスかただ、と付け加えて。


「お前を挟むように位置している3位と、5位には気をつけたほうがいいかもしれん。今まで見たことがない」


「ああ。5位なら大丈夫。知り合いだから。プレイしているのは見たことないから不安もあるけど、なんとかなると思うな」


「なるほどな。だが、3位とは知らないのだろう? あいつはランク121だぞ」


一瞬時が止まる。低ランクにもほどがある。ラムスとの戦いで下がってしまったプシケが最下位かと思っていたが、まさかそれ以下がいたとは。


「まあ、そんなところだな。俺は少し1人になって気を休める。ただ、誰かと話していなかったら緊張でしんどくなるところだったからな。いい感じにほぐれたから、助かったぞ」


そう言ってアドニスは遠くのベンチの方に離れていった。いい感じに利用された感が否めないが、有用な情報を落としてくれたことを考えると、ありがたいことだろう。


しばらくすると、大会開始のアナウンスが流れた。それに合わせて、俺たちも一旦、会場へ向かう。会場はタワーの中なのだが、一角の音ゲーが全て取り払われており、そこに見やすいように段差などがつけられたステージが広がっていた。

俺たちはそのステージに上る。総勢16名。観客が湧き上がる。多分観客の中にはこの中の誰かへのファンも多くいるのだろう。


「今回も応援してくれよー!」


観客に向かって手を振るのは前回大会の優勝者だ。嫌な感じのやつだが、しっかり本戦に出て来ている辺り実力は確かなものだろう。だが、そんな奴よりも注意したいのは1位のくろのす。そいつだけをしっかりと見ておかなければ。


『それでは! 一回戦の組み合わせを抽選と思います!』


司会が声を張り上げる。目の前には1つのくじの箱が運ばれてきた。これを順番に引いて組み合わせを決めるらしい。こういうところは古典的なのか。まあ、確かにこの音ゲーたち以外に文化的なものは見当たらなかったが。


次々と参加者が、くじを引いていく。くじは同時に開けて、同じ数字が書かれていた相手が対戦相手になるようだ。


『さあ! 同時に開けましょう! 皆さんカウントダウンをお願いします!』


全員にくじが渡ると、司会は観客に向かって叫ぶ。

それと同時にカウントダウンが始まる。

3! 2! 1! オープン!


観客の声を聞きながらくじを開ける。そこには3と書かれていた。司会がそれを集めて、対戦相手となった人同士を組み合わせていく。

テュケーやプシケもすぐに対戦相手が決まったようだ。

俺の一回戦の対戦相手は。

そんなことを思いながら司会が組み合わせるのを待つ。そして、対戦相手が決まった。


イリスだ。



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