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第33話 結果発表

タワーの中は人で溢れかえっていた。ここでたった16人に絞られる。予選会のスコアが良かった順に16人取られていくそうだ。俺たちは緊張しながら、その発表を待った。心臓が胸から飛び出しそうだった。プレイ中はなんともないが、こういうのは本当に緊張する。


『第1位 くろのす』


1位が発表される。その男は鎧を身に纏い、かなり重厚な姿をしていた。騎士団の一員か何かだろうか。そんなことを思いながら、次々と順位が発表される。


『第2位 てすらん』


ふむ。結構いい点数が取れたと思っていたが、2位も取れていないのか。これもしかして予選落ちもあるか?


『第3位 マルス』


ええっ! まだ出てこないのか。マジでこれはやばい気がするな。しかも1位2位3位とやばそうな奴らばかりだったし。もう3位とのマルスに至っては、顔に包帯を巻いてる危ない奴だったからな。


『第4位 るな!?』


お! ここか。4位か。これはパレスルパラソルでの3missが響いたかなぁ。そんなことを思いながら、前に出る。しかし元の世界じゃ日本一だったのに、予選ですら4位ってこの世界以外にキツイな。


『第5位 がいあら』


するとローブを身にまとった少女が現れる。ガイアだ。どうやらガイアもやはりこれに参加していたらしい。軽くお辞儀をすると、ゆっくりと前に出た。隣に来たのだが、なんだか息苦しそうだった。

その後もどんどんと順位が発表されていく。

テュケーは8位、プシケが13位、イリスが16位と、イリスに至ってはギリギリながらも、なんとか俺たちのパーティは全員予選会を突破することができた。


参加者たちはほとんどが肩を落としながら帰路につく。しかし、その落ち込みを上回るほどに明日の大会は盛り上がるそうだ。その熱気を想像すると体が火照って来た。俺はそのことを軽くテュケーたちに告げると、外で風でも当たってこようかと思い、タワーから出ていった。


外は心地よい風が吹いていた。俺は近くのベンチに座ると、少し、過去のことを思い出した。

あの最後の大会。あれは素晴らしいものであった。課題曲はall perfectが当たり前のようになっていたし、毎回アップデートと聞くと、もっと難易度が高い曲が増えるかどうか期待していたりしたのだが。

まさか、4位とはなぁ。もっと気を引き締めてやらなければ。俺はそう思いながらタワーを眺める。辺りも暗くなりかけており、タワーと夜の空が一致し始めている。なんだかその様子はひどく不気味で、気持ちが悪く思えた。

と、突然誰かが肩を叩く。振り返ると、あの占い師が立っていた。


「ふふふふ。どう? 大会。参加して良かったでしょう」


そういってその占い師は軽く笑った。


「ああ。すごく楽しいし、ワクワクしている。これからの課題も見つかったしな」


「それは良かったわ。優勝目指して頑張ってちょうだい」


それだけ伝えると、その占い師はどこかへいってしまった。偶然声をかけられだけだと思うのだが、夜ということもあったか、なんだかその占い師を見ると鳥肌が立っていた。

しばらく休んでいると、テュケーたちもやって来た。どうやら、全員が予選を突破できたことでの打ち上げみたいなものをやるらしい。まあ、明日本戦があるからあまり大きいのはできないが。


「ん? そういえば、ガイアもいたな。誘うか?」


そう思って口に出した時、タワーからガイアが出てくるのが見えた。ゆっくりと自宅であろうあの建物に戻ろうとしている。


「おーい! ガイア! これから何か食べにいくが、行くか?」


ガイアはその声に気づくと、ゆっくりとこちらに近づいてくる。すると、イリスが首を傾げて尋ねてくる。


「ガイアって誰ですか?」


「ああ。そういえば会ったことないのか。テュケーの知り合いみたいな感じのやつだよ」


するとガイアは耳元で、


「疲れてるので……パス」


そう言ってそのまま帰っていった。確かに今日は二曲プレイしたが、そんなに疲れるほどだったか?

俺はそれを疑問に思ったが、他の人たちはほとんど興味がなさそうにしていたので、その事は話題に上げずに、店に向かうことにした。


今回はタワーの地下の店ではなく、街の中で軽く食べることにした。その定食屋みたいなところはプシケがオススメしてくれたところだ。

俺たちは夕食を注文して、今日のことについての報告

会を開く。


「なあ。どうだった? 今日の予選会」


「ギリギリ突破できたので良かったです」


イリスは本当に嬉しそうに語る。何点差かまではわからないが、かなり混戦していたようで、ほんのわずかな差でイリスが上回ったと聞いている。


「僕はまあまあかな。まあ実際こんな低ランクがいるのも珍しいんだけどね。ただ、得意曲が課題曲だったからもう少し上を狙いたかったかな」


そういってプシケは目の前に出された冷えた水を飲む。そうか。確かにあのランクで大会に出るっていうのはおかしいことって言えばそうだな。まあ、俺の所為ですが。


「私はギリギリ8位に入れたから良かったわ」


「ん? 8位以内に入ると何かあるのか?」


「ええ。一回戦は1〜8位までの人たちと、9〜16位までの人とが戦うのよ。9位になると、上位の人と当たることになるから避けたかったのよね」


ああ、なるほど。既に一回戦がどの程度の相手と当たるかは決まってるのか。確かに出来れば一回戦はレベルの低い相手と当たりたいもんな。


「だけど、テュケーってガイアに負けてなかったか?」


するとテュケーは水を飲む手を止めた。そして一呼吸置くと、


「こ、今回は私の苦手な暗記譜面があったから……」


そういってボソボソと話す。まあ、テュケーとガイアのどっちがうまいかなんてそこまで興味がないのだが。


「ん? てかそうなると暗記譜面があったのによくあの順位取れたな? かなり苦手じゃなかったか?」


するとテュケーは誇らしげに。


「まあ、あの曲は譜面の速度が速くないから完全暗記譜面じゃないしね。正直目視である程度いけるわ!」


おおっと。あの複合を記憶せずに目視で突破したか。そういう細かいセンスなんか時々感じられて不思議な気分にさせられるんだよな。


「まあ、俺もある程度目視に頼った部分もあったが……」


しばらく今回の譜面について語っていると、頼んでいた食事が届いた。俺たちはそれに手をつけながら話を続ける。


「そういえばさ。プレイ可能な曲って個人で変わってくるんだろ? 大会とかはどうやって選曲してるんだ?」


「そうね。大抵は全員が初めから、もしくは大体入っている曲が選ばれるわね。それは本戦の一回戦も同じね」


「本戦か。そういえば本戦のルールを聞いていなかったな。どんな感じだ?」


テュケーは食べる手を止めて、説明モードに入る。俺もそれに習って、スプーンを置いて、冷たいコップに手を当てた。


「本戦は一回戦に向こうが提示する課題曲を一曲プレイ。対戦相手よりスコアがよければ二回戦に上がれるわ」


「二回戦は、それぞれ自分が好きな曲を一曲ずつ出し合って、合計スコアが大きい方が勝ち。ただ、ここの曲選択だと結構使えない曲があるから、手間取ったりするのよね」


「準決勝、決勝も向こうが提示する課題曲を一曲プレイしてスコアが大きい方が勝ちよ。わかった?」


「ああ。大体」


まあ、ここらのルールは現実の世界ともほとんど変わらないな。強いていうならば、二回戦と一回戦の仕様が逆といったとこらか。まあ、そんなに変わらないだろう。


「ていうか、これくらいのことは書いてあったと思うけど……」


うん。見てないな。正直練習することに必死だったし。金が尽きてはクエスト行って、それ以外の時はずっと音ゲーしてたもんな。


俺たちは残った食べ物を食べると、店を出た。そして各々明日のために早めに休むことにした。



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