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第23話 魔王軍幹部ラムス 2

「死ね」


一言だけラムスは言い放つと、消えた。そして次の瞬間、ほんの一瞬の間にイリスが吹き飛んでいた。

まずい。俺は切り返しに警戒した。蹴りが当たる直前、何故か身体がかなり軽く動いた。ギリギリでかわす。


「てめぇ……」


ラムスは拳を握った。武器は持っていないが軽く敵を吹き飛ばすほどの能力は持っている。

高速で飛んでくるラムスの胴体を見切ろうと、目を見開く。するとなんだか、ラムスの動きがゆっくりに見えていた。俺はラムスの攻撃を軽くいなすと、そのまま、ラムスの顔面を殴った。

ラムスはすぐにこちらを向きかえす。ラムスの鼻からは血が流れ始めていた。


「がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ラムスは雄叫びをあげた。その声によって周りの木々からは鳥達が飛び立っていった。


「くくく……。あまりにもお前らを舐めていたようだな」


そう言うとラムスは何かを呟いた。すると、ラムスの目が怪しく光った。

次の瞬間、ラムスが遠くに離れていった。否、俺が吹き飛ばされていた。木々をなぎ倒しながら飛んでいく。数十メートル飛んだところで、大木にあたり、背中に大きな衝撃を受ける。


「くそ……。何が起きた……」


俺はゆっくりと痛む背中を我慢しながら、よろよろ立ち上がる。飛んできた方向では、何なら激しくぶつかり合う音が聞こえる。

多分、プシケがラムスの攻撃を盾で防ごうとしているのだろう。


しかし、こうなってくると予想以上に厳しいな……。魔王軍幹部というだけはある。一体何か方法がないかと考えていると、未だに、激しくぶつかり合う音がする。


……プシケが耐えてる?


そう思い、急いでなんとか元の場所に戻ろうとする。しかし受けたダメージが思いの外大きく中々体がうまく動かない。

ずるずると、プシケの元に向かうと、プシケがラムスの攻撃を正面から受け止めていた。

プシケの顔はかなり苦しそうだったが、ラムスの攻撃が通ることはない。完全にシャットアウトしているのだ。


「なあ、テュケーは後、どれくらいいける?」


「私はほとんどダメージを受けてないわ。なんでもできるわよ」


そうか、と俺はテュケーに呟くと、イリスを探した。イリスは近くの木の根元で倒れ込んでいた。もともとHPがあまり高いわけではないので、さっきの攻撃でごっそりと体力を持っていかれたのだろう。俺はイリスをそのまま休ませておくと、プシケの方を向く。


プシケは未だに、ラムスの攻撃を通していない。テュケーもいつでも攻撃ができるように、ラムスとの間合いを測っている。


何か、ラムスに弱点があれば……。そう思いながらヒントを探す。そうしていると、プシケに限界がきたのか、何やら魔法の詠唱を始めた。


『自己の燃焼欲』


プシケの周りから炎が出始まる。一旦、ラムスを引かせようとする作戦だ。

正面から炎を浴びたラムスは驚いて、一歩後ろに下がるーーと思いきや、ただ笑った。次の瞬間、ラムスからバカみたいな振動を感じた。と、そのすぐ後、プシケが消えていた。そのまま遠くまで飛ばされていたのだ。飛んでいった方向で大きな水音がする。どうやら湖まで飛ばされたようだ。


「テュケー!」


俺は大声でテュケーを呼ぶ。すぐにテュケーはこちらの意図がわかったように、プシケの元に向かう。水の中で気絶していたら大変だ。

俺は再び、ラムスと対峙することになった。


「くそっ……。こんなはずじゃあなかったのにな……」


「てめぇがバカなのは十分わかった。これ以上、俺を怒らせないことだな。今、謝れば命だけは助けてやらあ」


「何をいっているんだ? 俺はお前にこの折れた腕について、治す方法を聞くまで謝る気は無いぞ」


すると、ラムスは軽く舌打ちをする。そして、拳を構えると地面を力強く蹴った。しかし、やはりその速度を見きれないことはない。俺は、先ほどと同じように、軽く攻撃をいなす。勢い余ったラムスは地面を手で引っ掻き、自分の速度を無くした。


「速さには慣れているってか……。ならば」


そう言うと、ラムスは両手を広げた。


「あまりこれはしたくねぇんだがな」


『魔炎の舞踏会』


すると、ラムスの両手から十数個の火の玉が現れた。そして、その火の玉はそれぞれランダムの動きをしながら俺の元へ飛んできた。

幸いあまり早くない。しっかりと見極めていれば、炎に当たることなど……。

俺が炎をしっかり避けていると、

目の前に奴が現れた。


「炎に気を取られすぎだぜ」


そう言うと一発、力強いパンチが腹に飛んでくる。

もちろんそれを避ける暇もなく、後ろに、さらに運の悪いことにいくつかの火の玉にぶつかりながら飛んでいく。


幸い飛んでいった先はあの湖だった。


「ぐっ……。あっつ!! 」


腹パンのせいか立ち上がることができない。

水の中にただ仰向きで浮かぶことしかできない。

見るとテュケーがプシケを背負って岸を目指している。ラムスはこちらをただ眺めているだけだった。

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