9話目~強そうな武器を持った女の人と出会ったけど味方?
僕たちは結局、話し合って、透明の薬を使わないことに決めた。
とにかく逃げるよりも戦って、経験値をアップさせなければ、いつまでたっても強くなれない。
何もない場所じゃない。
ボロボロだけど、ところどころに家や店などの跡が残っている。
使えそうな道具や着るものがあるかもしれない。
もしかしたら、誰かいるかもしれないのだ。
僕たちは、穴から出て、町の中をゆっくり進んだ。
いつ、クマドリ(と呼ぶことにする)が現れるかわからない。油断はできない。
ところが、どれだけ行っても、クマドリどころか、アリの一匹さえ出会わないのだ。
「……変だな」
ナナオがあたりを見回す。
アリカもうなずき、さっきまでと様子が違うことに戸惑っている。
「嵐の前の静けさっていうんだよね」
僕が言うと、アリカに「やめてよ!」と怒られた。
「そういうこと言うと、すぐにでも何か出てきそうじゃないのー」
まさかそんな、すぐに……なんて思ったとたん。
急にかみなりがゴロゴロ鳴り出した。そして――。
「ギャーッ!!」
モンスターのものらしき泣き声が聞こえた。
そして、人の声?
僕たちは慌てて声のするほうへ、駆けだした。
すると、古びた倉庫のような建物の入り口ちかくに、今まさにモンスターに飛びかかられそうな女の人がひとり、武器を構えて立っていた。
「あ……バトルエックス……」
ナナオがつぶやく。
「バトル……エックス?」
あのモンスターの名前だろうか、と思って見る。
でも、どう見てもそんな名前は似合いそうもない。
見たところ、ただのニワトリだ。
いや『ただの』って言うのは違うか、
でっかいニワトリ。
巨大ニワトリは、コケコッコーなんてかわいく鳴かない。
グワーッゴゲーッと汚い声をあげ、女の人に向かって、するどいクチバシを突き立てようとしていた。
「キャー!来ないでっ!」
女の人は、持っている武器を振り回す。
「助けなきゃ!」
アリカが突然、僕の体をそっちに向かって、ドンッと突き出した。
「うわあっ!」
よろけた僕は、女の人とニワトリの間に……。
「キャーキャー!!」
倒れこんでしまった僕を、モンスターと思ったのか、僕をめがけて女の人が武器を振り上げた。
――し、死ぬーーーーー???
「ミナト!」
ナナオが飛び出してきた。
一瞬のうちにナナオは、持っていた剣でニワトリを切りつけ、女の人の武器を持つ手をかわした。
「ボクはナナオ。ケガはない?」
しかも爽やかな笑顔で、女の人に自己紹介なんかしてる。
「……仲間なの?」
「そうだと思う。キミの名前は?」
「わたしはユリア」
「よろしく、ユリア」




