6話目~歩いていたら、ヤバそうな町についてしまった
荒れ地がどこまでも続いていると思っていたが、町はあった。
そしていくつもの町を通り過ぎた頃、僕はふと思った。
「僕たち何で旅してるんだっけ」
「もちろん、ライバードラゴンを倒す旅だよ」
いともあっさりナナオが答える。
それはわかってるんだけど、ライバードラゴンは僕らが落ちた池に住んでいて、僕たちは池からどんどん遠ざかっている。
「ライバードラゴンを倒すなら、池に戻らなくちゃ」
って僕がいうと、
「バカね!」
アリカがぐさりと言い放つ。
「装備を整えて、技も磨いて、少しくらい魔法も使えなきゃ倒せるわけないじゃない? ザコモンスターとたたかって、腕をみがいて。それからよ。それまでは旅を続けなきゃ」
「それはそうだろうけど……」
僕は口をつぐんだ。
言わなくたってアリカもナナオもわかってると思ったんだ。
モンスターを倒してレベルアップしようにも、僕が食べられそうになったモンスター以来、トカゲ程度のモンスターと言えないやつにしか出会えない。
僕だって、足で踏みつぶせるくらいの、ザコもいいとこってのばかり。
アリカはそれなのに、タルプンテばかりつかって、マジックパワーのむだづかいもいいとこだ。
そのたびに死を覚悟しなきゃならない。
ナナオだって、例の鏡は一度も使ってくれない。
今のところは、あてもなく歩き続けるしかないらしい。
そのうち、もっとすごいモンスターが現れる。
って、こんな装備もないのに現れられても困るんだけど……。
そうして3日ほど歩き続けていると、また新しい街を発見した。
町の入り口に立っただけで、とんでもない町だということがわかる。
「ヤバそうな町ね」
アリカが眉をひそめる。
ナナオの表情もかたい。
「引き返す?」
僕が聞くと、アリカが「バカね!」という。
アリカはいつもそうだ。
僕の質問、僕の意見をバカにする。
バカバカ言われると、本当に僕はバカになってしまったような気がしてしまう。
「そうだね、引き返すとなると、今来た道を戻ることになるし、3日かけて前の村にまた戻るのも――」
「ムダね!」
ナナオの言葉をアリカが引き継ぐ。
「そう、ムダだよね」
同意するのかよ、ナナオまで。
しかも、ふたりして僕のこと、じっと見たりしてさ。
「うん……ムダだね」
って、言うしかないじゃんかよー!
3人の意見が一致したということで、僕たちは先に進むことになった。
町全体がお化け屋敷みたい。
「町全体が廃墟と化しているわね」
アリカが難しいことを言った。
『はいきょとかして』
よく意味がわからないけど、それってなに? と聞けばまた「バカね」と返されるに決まってる。
覚えといて帰ったら国語辞典をひいてみよう。
「人は住んでないのかな」
「モンスターなら出てきそうね」
アリカが僕を見て、にやって笑う。
その目には『こわい?』って書いてあるようだ。
モンスター、来るなら出てこい! 怖くなんかないぞ!
と心の中で言ってみた。
「あ! なんかいる!」
アリカが叫んだ。
「うわ!」
バタバタと鳥が飛んできた。
「なに?」
「鳥?」
「違う! 熊だよ!」
「熊は飛ばないわよー!!」
アリカが『キャーっ』て叫んだ。




