5話目~やたら究極の魔法使うの、やめてほしいんだけど
歩いても歩いても、続くのは荒れ果てた土地。
いったいどれくらい、歩いたんだろう。
ナナオは空を飛べるんだから、ぴゅーっと飛んでいけば、町くらいすぐ見つかるんじゃないかって思うんだけどな。
ハアハア息をきらしながら、ふたりから少し遅れて着いていく。
いい加減キツイ。もうヤダ。家に帰りたい。
夢なんだろ?
早く覚めてくれよー。
そのとき、ふいにゴーッという風が吹いて、慌てて踏ん張った。
「ミナト、後ろ!」
ナナオが叫ぶ。
僕はハッとして後ろを振り返る。
「な、な、な、……なんだあぁぁぁぁ!!!」
僕の5倍はありそうなそれは、モンスター?
僕と目が合うと、口をガーッって開いて、こっちに向かって来た!
「うわあ! 食べられる!」
怖くてぎゅっと目をつぶる。
そのときアリカの声が聞こえた。
「タルプンテッ!!」
もうダメかと思ったのに、モンスターは、こつぜんと消えた。
何が起こったのかわからないまま、ぼーぜんとしていると、アリカとナナオが駆け寄ってきた。
「もう大丈夫」
「行こう、ミナト」
なにごともなかったように歩き出すふたり。
慌てて追いかけながら、アリカに「さっきの何」って聞いた。
「さっきの? ああ呪文よ。とっさに出ちゃったけど、運がよかったわ。当たりが出たから」
よくよく話を聞くと、さっきの呪文は、いちかばちかの呪文らしい。
吉と出ればいいが、凶と出ることも、全滅することもある、こわい呪文なんだって。
「だから、やたらと使えないの。究極な場面でしかね」
ケロっとしてアリカは言うが、さっきのが究極なのか?
旅しているうちにだんだんわかってきたが、アリカはどうも、あまり優秀な魔法使いとはいえないようだ。
やたら使えないはずの『タルプンテ』をやたら使いまくる。
幸い、死にはしないが、危うかったことはそれからもかなりあった。
それに、アリカはせっかく貯めたお金を、あまり役にたちそうもない買い物に使ってしまうのだ。
ほとんど自分のアクセサリーだ。
「女の子だからね」
ナナオはアリカの買い物を、大目に見ているようだ。
僕としては強い武器や薬草なんかを、たくさん手に入れたいのに、買えなかったりするんだ。
たまんないよ、まったく。
アリカに一度、注意したんだけど……。
「薬草くらい、そのへんに生えてる!」とか「ミナトの服を売って武器を買えば?」とか、逆に言い返されて、ちっとも聞いてくれない。
だいたい僕の服なんか、いくらで売れるんだよ。
きっとはした金程度だろ?
僕に裸で旅をしろってのかよ。
――だけど、なんだかんだで、まだ生きてる。
きっとそれはナナオのおかげだ。
ナナオのポケットは、やっぱり不思議なポケットで、このまえなんかテントが出てきたんだ。
そのポケットがどうなってるのか、ナナオに聞くが「ヒミツ」と言って教えてくれない。
いつかきっと、ヒミツを暴いてやると思っていた。




