15話目~僕はマザコンじゃないから町の奥の洋館にだって行ってやる
「ミナト、帰りたいの?」
ナナオは僕の反応を確かめるように聞いた。
「ホームシックなの? ボクたちといるより、お母さんのほうがいいの?」
「そんなの……」
比べられないと思う。
そりゃ、こんなとんでもない世界に来てしまって、少しずつレベルアップもしているけれど、ライバードラゴンを倒すまでは、想像もつかないくらい遠い気がする。
帰れるものなら、帰りたい。
でもそれは、ナナオやアリカ、ユリアとの別れを意味するんじゃないか。
お母さんも大事だけど、みんなとも別れたくない。
「マザコン!」
アリカが言った。
言い訳させてもらうけど、僕は決してマザコンじゃないと思う。
お母さんはいつもリオばかり甘やかしてかわいがる。
僕はいつも、怒られてばかりだ。
マザコンって言われるほど、お母さんが好きじゃない!
「僕は帰らない!」
アリカに言われてムカっときて、僕はつい、大みえを切ってしまった。
「ナナオ、最初に言ったよね。僕たち、選ばれたんだろ? ライバードラゴンを倒さなきゃいけないんだから、帰れないよ!」
そしてみんなの顔を見てきっぱり言った。
「ナナオやアリカ、ユリアと一緒にここにいる!」
そう。そう言うしかないじゃん。
マザコン扱いされるよりましだ。
アリカにバカにされるのは、悔しかった。
そして僕たちは敵と戦いながら、武器や装備、アイテムをゲットしながら進んだ。
少しずつだけれど、確実に経験値はアップしてきた。
町の奥の洋館にたどり着くころには、アリカも新しい呪文をいくつか覚えた。
ユリアは敵を眠らせる薬みたいなものを、手に入れていた。
ナナオは鏡を使いまくりで、武器そっちのけ。
僕は相変わらず、竹やりで戦っていた。
「どこから入るのかな……」
洋館のまわりには、薄い霧みたいなものが漂っていた。
洋館だけが、すっぽり霧に包まれている感じだ。
「入口は、ここ……なんだろうけど」
目の前に、正面玄関というか大きな扉がある。
まともに入れるかどうかはわからないが、とりあえずここから入るしかなさそう。
なんだけど――。
「この中にお姉さんがいるのね?」
アリカがユリアに聞いている。
見上げると、本物のお城みたいで、でっかい!
何階建てとか、そういうレベルじゃない。
そうだ、塔みたいにずーっと高くまでそびえ立っていた。
眠り姫のお話だと、塔の一番上にお姫様が眠らされていたんだっけ。
お母さんが寝るとき、読んでくれた本にはそう書いてあった。
あんなの、女の子が好きな話だろってバカにしてたけど……。
覚えてるもんなんだな。
あれ、でも確か途中でモンスターが次々に現れて……魔物だっけ?
誰も塔の上までたどり着けないんだよな?
あれ? ほかの話とごちゃごちゃになってる?
髪の毛で眠り姫が降りてくるんだっけ?
けど、とにかくお姉さんをすんなり助け出せない気がした。




