13話目~弟のリオに破られた、僕の持っていたカードの召喚獣
「おなかすいたわね~」
しばらく歩くとアリカが、お腹をおさえて前かがみになった。
この町に入って、まる1日が過ぎた。
その間、なにも食べてなかったから、アリカだけじゃなく僕もナナオもお腹がすいていた。
ユリアはいつから食べてないんだろう?
「そうだね。でも、これしかないよ」
ナナオがポケットからパンを1個とりだした。
それは前の町で手にいれた残り。
僕もポケットを探る。
でも、ピーナッツの1個さえ入ってない。
「アリカ、なにか持ってる?
ナナオが聞いているけど、アリカは黙って首を横にふるだけ。
「わたし、持ってるよ」
ユリアが、担いでいた袋を下におろし、中から木の実や薬草などを取り出す。
ナナオが「さすがだね」なんてユリアをほめるから、またアリカがふくれた。
「この町に入って、崩れた家や店を調べてるうちに、いろいろ手に入ったの」
ユリアの言葉にナナオがうなずく。
「そうか。人はいなくても人の残したものがあるんだね」
「この先にも家や店があるから、調べながら行きましょう」
ユリアが仕切っているのが、アリカは気に入らないらしい。
「ちょっとミナト! なにか持ってないの?」
「ないよー」
さっきも探したじゃん。
「そこのポケットに入ってないの!」
無理やりアリカが、僕の胸ポケットに手をつっこんできた。
「わ! ダメだよそこは――」
「なによ、これ」
アリカがポイっと捨てたそれは、弟のリオに破られた『デュエルカード』だ。
セロテープでくっつけてみたが、元通りになるはずがなかった。
それでも捨てられず、大事に持ってたんだけど、今となってはなんの役にもたたないものだ。
ふと、リオやお母さんはどうしてるだろうと思った。
僕が急にいなくなって、心配してるかな……。
そもそも、この世界に来てから、どれくらいたつだろう。
会いたいな、帰りたいな……。
もしもこれが夢なら、早く目を覚ましたい。
だけど――。
夢じゃないことは、なんとなくもうわかっていた。
だって、痛みがあるんだ。
それに、ナナオやアリカに触れると、温かい。
「ミナト、これ、大事なものなんだろ?」
カードをナナオが拾って、僕の手に渡してくれた。
ハッと我に変えて僕は「うん……」とうなずいて、それをポケットにしまった。
戻りたくても戻れないなら、早くライバードラゴンを倒したい。
そうするしかなかった。
みんなで食事をすませると、ナナオに聞かれた。
「ミナト、さっきのカードのことなんだけど、あれと同じようなもの、ほかにも持ってる?」
「うん。でも家にしかない。いま持ってるのはさっきの1枚だけなんだ」
やっぱりカードは、男の子にはみりょく的なのかな。
ナナオも欲しいの?
「そっか。家のどこにある?」
「え……机の引き出しの中、だけど」
「ふうん、そっか……」
ナナオはつぶやくように言った。
そしてポケットを探り、いつか見せてくれた鏡を取り出した。
「あのさ、そのカード。使えるかもしれない」
「使えるの?」
僕はナナオの目をのぞきこんだ。
「この鏡に、さっきのカード――なにか召喚獣みたいなのが描かれてただろ? それ写してみよう」
「そしたら、どうなるの?」
鏡の秘密が、解き明かされる時が来たのかと思うと、胸がどきどきした。




