11話目~バトルエックスとモンスター図鑑
それから僕たちは、町の奥の洋館を目指して歩いた。
途中、クマドリや巨大ニワトリ、それから変なネズミみたいなモンスターたちが現れた。
ナナオとユリアが武器で攻撃し、アリカが『ピオ』を唱えて戦った。
僕も偶然だけど、ネズミのしっぽをつかんで、投げ飛ばした。
ユリアの武器は『バトルエックス』というらしい。
てっきり、モンスターの名前かと勘違いしていたのが恥ずかしい。
そのバトルエックスはナナオも知っているようで、かなり攻撃力の高い武器らしい。
それにユリアは、『モンスター図鑑』を持っていて、さっき出会ったモンスターもそこに載っていた。
クマドリと勝手に名付けたモンスターは『フライベア』というらしい。
巨大ニワトリは『大ニワトリ』って、あんまり変わらないじゃんか。
ネズミみたいなのは『ベビーラット』。
ナナオは図鑑に興味津々で、ユリアにつきっきりだった。
僕も興味はあるんだけど、アリカが怒るので、そうもいかない。
「ナナオったら! 『アリカのほうが、ユリアよりかわいいよ』って言ったくせに、お世辞だったのかしらね! いやね、ユリアにべったりしちゃって、いやらしいわ」
僕のとなりで、アリカはそうやって、ずっとぷんぷん怒っていた。
ナナオったら、そんなことをアリカに言ったんだ?
でも、ナナオは図鑑に興味があるだけで、ユリアに興味があるわけじゃないんだろ?
べったりとか、いやらしいとか、考えるアリカの方が変だよ。
とは言えないので、僕は言葉を選んで口にする。
「お世辞じゃなくて、僕もアリカはかわいいと思う」
思い切り照れくさかった。
これでも、必死だったのに、アリカは僕の顔を、目をまんまるにして見るだけで、なにも言ってくれない。
やっぱり、心にもないことを言ったから、引かれちゃったのかも。
「あの……アリカ」
「それ、ほんとなの?」
「え?」
アリカが急に、僕のえりくびをつかんだ。
「わたしのこと、ほんとにかわいいと思ってるの?!」
えりくびをつかまれたまま、がくがくと揺さぶられる。
アリカの顔が怖い。
「か、かわいいです!」
そう言わなきゃ、殴られそうだったんだもん。
けれどアリカは、納得してくれたみたいで、僕のえりくびから手を離してくれた。
僕たちより、少し前を歩いていたナナオとユリアが立ち止まってこっちを振り返った。
見てないで、助けてくれよ……。
ナナオたちはニコニコ笑ってる。
「ミナトまでナナオみたいなこと、お世辞言わないでよね」
アリカにふんっとされた。
「アンタにそういうセリフは、10年早いのよ!」
そう言いつつアリカは、急に僕の手をつないで引っ張り――
「行こう」と駆け出したから、僕は転んでしまった……。




