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幻想終末の欠落者  作者: あした
【第四章】告白
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第四十五話 告白

 夕暮れの街並みの中、並んで歩いていたのは少年と少女の二人だった。


「ハテナさんとエルザさん、喫茶店に残って何を話しているのでしょう……」


「その中にミライもいるしな……謎だな」


 佐伯レンと朽葉くちはアオイである。


 喫茶店で現地解散となったのだが、ハテナとエルザは残ると言って一緒に帰らなかったのだ。


 なんのために残るのか疑問に思ったが、四人で帰ることになった。


 が、帰ろうとするミライをエルザが「ミライっちは、まだ帰っちゃダメだよっ★」と呼び止めた。


 結局、レン、アオイ、サクラの三人で帰ることになった。


 ……しかし今、サクラの姿はここにはなかった。


 それは、


「―――ですが一番謎なのは、サクラさんがスイーツを食べに行くって言ったことですよね……」


 スイーツを食べるために別れたからだ。


 アオイの言葉に、「だな」とレンは頷いた。


「オレたちの残したステーキまで食って、それでまだ胃袋に余裕があるなんて……アイツ、人間じゃねぇぞ」


「別腹、とまでおっしゃってましたからね……」


 アオイは苦笑いを浮かべる。


 アオイが「まだ、食べるのですか?」と尋ねた時、サクラが「スイーツ、別腹」と答えた時のことを思い出して。


 そう。


 レンとアオイが残した17枚のステーキを、サクラは一人でペロリと平らげてしまったのだ。


 なので自分の分の10枚を足すと、サクラは27枚もの巨大ステーキを胃の中に収めたということになる。


 レンの言うように、あの小柄な体よりも大きいステーキを平然と食べ、そして妊婦のようにお腹を膨らませていないサクラは―――最早、人間には見えなかった。


 インフェルノを約三回も乗り越えたのだから、よりその真実味が帯びてしまっていた。


 不意に、レンは足を止める。


(そういえば、今オレたち……二人っきりだな)


 ふと、そんなことを自覚した。


 色々ありすぎて気づかなかったが、お腹にあった物がある程度消化できた今、そのことに気づけるくらいには回復していた。


「レンさん、どうかしたのですか?」


 振り向いて、不思議そうにアオイが見つめる。


 その純粋で何色にも染まらない、キレイな漆黒の瞳をレンは見つめ返す。


 そして、


『もしかしたらレンっちの中には―――『迷い』とか、心を縛る『ナニカ』があるから上手くできないのかもねっ★』


 エルザの言葉を思い出していた。


(もしかしたら、その原因は―――)


朽葉くちは


「はい?」


「―――一緒に来てほしい場所があるんだ……いいか?」


 レンの表情から並々ならぬ決意を感じ取る。


 だが、レンが一体何を考えているか、なぜ決意をしているのか……わからなかった。


 それでも、


「……はい」


 受け入れなければならないと直感し、真剣な顔でアオイは小さく首を縦に振った。


 それに喜びも、悲しみもなく、自然とレンは強く拳を握って、


(……こうやって朽葉くちはから逃げないようにすんの―――二回目、だな)


 己の後悔を、回想していた。



「ここは……校舎裏ですか?」


 第一区から変わって、レンとアオイは第七区の第七中学校の校舎裏に来ていた。


 区から区への移動には時間を要し、茜色だった空には夜の闇が広がっていた。


 レン、アオイ、そしてミライの三人は、ここ第七中学校の卒業生だ。


 懐かしい景色を前に、アオイは全体を見回す。


朽葉くちは……これ、返すよ」


 俯いていたレンが差し出したのは、白いハンカチ。


 それはレンがウツロに取り憑かれていた時、頭から流れた血を拭くためにと、アオイが渡してくれたハンカチだ。


 そのハンカチには血痕どころか、血の滲みさえなく純白に戻っていた。


 丁寧に洗ってくれたのだろう、とレンの優しさを感じながらアオイは受け取る。


 アオイはそのハンカチを抱きしめて、


「キレイに返してくれて、ありがとうございます。でも、これを返すのでしたら他の場所でも……」


「―――『東京災禍とうきょうさいか』の時、朽葉くちは校舎裏ここに呼ばれてたよな……」


 唐突なレンの言葉に、アオイは狼狽える。


「どうして、レンさんがそのことを……!」


「オレなんだ……」


 そっと、レンは顔を上げる。


 アオイを見つめるその瞳は……苦しみに、抗っているように見えた。


「オレが、朽葉くちはをここに呼んだんだ。―――今から、告白するよ。オレの罪と……朽葉くちはへの気持ちを」


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