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2-17. 二人同時に魔法少女

 放課後。


 森千奈と小林真帆は、たまたま一緒になって帰っていた。


 特別な理由はない。


 ただ、方向が同じだっただけ。


 その途中だった。


「ねぇ〜!君たち!」


 間の抜けた声。


 振り返ると――


 ぬいぐるみみたいな、ヘンテコ生物が浮いていた。


 丸い。


 小さい。


 どう見ても怪しい。


「僕はね、ラブアンドピースの源になる適性がある人間を探してるんだ!


 君たちには秘められた可能性がある!」


 胸を張る。


「だから、魔法少女にならないかい!」


 軽い。


 軽すぎる。


 千奈が即答した。


「胡散臭い。アニメで見た。こんなやつ」


 真帆も小声で。


「……本物? 本当に?」


 妖精は、まったく気にせず続ける。


「契約したからって願いは叶えないよ!


 ただ、守りたいものを守る力にはなると思う!」


 余計に怪しい。


 千奈が腕を組む。


「契約したらさ、エッチな格好になるんでしょ?」


 妖精は即否定。


「ならないよ!」


「ほんと?」


「ほんと!」


 真帆はまだ迷っていた。


「……でも」


 妖精が少しだけ真面目な声になる。


「守りたいもの、無いの?」


 一拍。


「ラブの波長と、“守りたい”って波長を感じたから出てきたんだけど」


 真帆は黙る。


 ある。


 あるけど。


 ……怪しい。


 しばらく悩んで。


 小さく息を吸った。


「……なる」


 その一言で、決まった。


 千奈がため息をつく。


「はぁ……真帆が行くなら、私も付き合うしかないじゃん」


 でも、最後にもう一度。


「本当に大丈夫? エッチな格好にならない?」


 妖精は胸を張る。


「大丈夫!」


「じゃあさ」


 千奈が指をさす。


「真帆、先に変身して見せて」


「え」


「他人だけ変身させて逃げるの無し」


 真帆はしぶしぶ頷いた。


 妖精が、小さな光るコアを差し出す。


「名前を決めて。


 名前+セットアップで変身できるよ」


 真帆は目を閉じて。


 すぐ決めた。


「……ホワイト・アイギス」


 息を吸う。


「ホワイト・アイギス、セットアップ」


 光が弾けた。


 制服が光にほどける。


 白い線が身体をなぞる。


 粒子が集まり、衣装を形作る。


 数秒後。


 そこには、白を基調とした魔法少女が立っていた。


 千奈が叫ぶ。


「服は普通だけど変身がエッチじゃん!!」


 でも。


 もう逃げられない。


「……はぁ」


 諦めた顔でコアを受け取る。


「アメジスト・ヴェイル、セットアップ」


 紫の光。


 同じように変身完了。


 妖精は満足そうに頷いた。


「はい、武器も一応」


 雑に渡す。


 本当に雑だった。


「質問は魔法少女協会に行ってね!」


 それだけ言って。


 消えた。


 沈黙。


 二人は顔を見合わせる。


「……行く?」


「……行くしかないでしょ」


 この日。


 二人は、守る側になることを決めた。


 そして当然のように――


 魔法少女協会へ向かうことになる。

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