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閑話 魔法少女協会の始まり

 今では当たり前になった魔法少女協会。


 だが、その始まりはずっと小さなものだった。


 魔法少女は強い。


 人を超えた力を持ち、妖魔と戦うことができる。


 だが――


 数の暴力には勝てなかった。


 昔の魔法少女は、基本的に個人で戦っていた。


 魔力の通る武器はほとんど存在しない。


 市販のものを武器として使う者もいた。


 仲間との連携手段もない。


 離れた場所にいる仲間へ連絡する方法もない。


 誰かが妖魔と遭遇しても、それを知るのは戦いが終わった後だった。


 結果として、魔法少女の死亡率は高かった。


 生き残った者も少なくない。


 だが、魔法少女の力は十代後半を境に緩やかに衰えていく。


 前線から退く者も増えていった。


 そして、そんな元魔法少女たちが自然と集まり始める。


 後輩たちを助けたい。


 少しでも犠牲を減らしたい。


 その思いから作られた小さな集まり。


 それが、後の魔法少女協会の前身――魔法少女互助会だった。


 互助会では、経験豊富な元魔法少女たちが後輩を支えた。


 危険な妖魔の情報共有。


 戦闘技術の指導。


 装備の研究。


 それまで個人任せだったものを、少しずつ組織として整えていった。


 転機となったのは、生産系の固有魔法を持つ魔法少女たちの存在だった。


 武器を作る者。


 防具を作る者。


 道具を作る者。


 個人では難しかった開発も、組織となることで実現できるようになる。


 魔力の通る武器が行き渡り始めたことで、生存率は大きく向上した。


 やがて国もその存在を無視できなくなる。


 支援が始まり、


 拠点が増え、


 全国へ広がっていった。


 そして組織は、


 魔法少女互助会から魔法少女協会へと名前を変える。


 防衛省の下部組織として正式に認可され、


 自衛隊や警察との連携体制も整えられた。


 妖魔との戦いは、


 個人の戦いから組織の戦いへと変わったのだ。


 そして現在――


「すみません。この武器を見てもらえませんか?」


「あー! ちょっと待ってくださいね! これが終わったら対応します!」


 綾芽ラボでは、そんなやり取りが日常のように交わされている。


 武器の調整。


 装備の相談。


 戦闘記録の管理。


 新人教育。


 魔法少女協会は、今も魔法少女たちを支え続けていた。


 長い年月をかけて築かれた魔法少女協会。


 だが、その歴史の中でも。


 後に大きな転機として記録される人物が現れる。


 まだ小学生の少年。


 真咲綾芽。


 その名前が歴史に刻まれるのは、もう少し先の話である。

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