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2-11.受付装備改良

 魔法少女協会・受付裏。


 昼。


 雫が小声で言った。


「……あの」


 梓が端末を閉じる。


 凛が顔を上げる。


 すずは既に嫌な予感で笑っている。


「昨日の“うさぎ魔王装備”なんだけど」


 沈黙。


 すず。


「うん」


 雫。


「綾芽君に相談したら、もっと実用的になるかなって」


 さらに沈黙。


 梓が冷静に言う。


「技術的には最適解ね」


 凛。


「……嫌な予感しかしない」


 すず。


「でも面白そう」


 結論。


 ――呼ばれた。


 数十分後。


 受付裏。


 綾芽が、机の上の白タイツを見ている。


「なるほど」


 真顔。


「伸縮率は悪くないです」


「ただ」


 布を軽く引っ張る。


「魔力循環が弱いですね」


 受付四人、固まる。


 綾芽、研究者モード。


「視認性も低い」


「防御補助もゼロ」


「関節負荷も分散できてない」


 メモを取り始める。


 そして、ふと思い出したように顔を上げる。


「そういえば最近、裁縫の練習もしてるので」


 一拍。


「衣装系もある程度なら作れますよ」


 嫌な予感が加速する。


「なので」


 にこっと笑う。


「作り直します」


 四人、同時に。


「え」


 翌日。


 綾芽、紙袋を持って現れる。


 やたら機嫌がいい。


「出来ました!」


 机の上に並べられる装備。


 赤。


 青。


 黄。


 黒。


 そして――


 バニーガール衣装。


 完全に。


 受付四人、沈黙。


 すず。


「……え?」


 綾芽は真顔で説明を始める。


「高機動・魔力循環・防御補助付きです」


「耳はアンテナ」


「リボンは魔力制御」


「タイツは衝撃吸収」


「背面は推進補助」


 一拍。


「合理的に考えると、これが最適でした」


 凛。


「……合理的?」


「はい」


 真顔。


 一切ブレない。


 試着。


 なぜか全員着る。


 数分後。


 カーテンが開く。


 青(梓)


 赤(凛)


 すず


 黒(雫)


 完全戦闘仕様。


 でも見た目バニー。


 沈黙。


 すずが鏡を見る。


「……」


 一拍。


「これ」


 真顔。


「強いね」


 梓。


「強い」


 雫。


「強いですね…」


 凛。


「悔しいけど機能的」


 綾芽の顔がぱっと明るくなる。


「やっぱり!」


 拳を握る。


「僕、大人の女性大好きなんです!」


 受付四人、固まる。


 綾芽、止まらない。


「強くて!」


「優しくて!」


「ちゃんとしてて!」


 満面の笑み。


「最高じゃないですか!」


 一拍。


「ラブアンドピースです!」


 沈黙。


 すず、小声。


「……なんか」


 雫。


「変な意味じゃないのが」


 梓。


「逆に強い」


 凛。


「純度100%だ…」


 その時。


 扉が開く。


 主任。


 視線。


 バニー四人。


 綾芽。


 机の設計図。


 三秒。


 主任、無言で胃薬を飲む。


 ゴク。


「……確認します」


 静かな声。


「これは」


 一拍。


「何の作戦ですか」


 すず、小さく手を挙げる。


「ラブアンドピースです」


 主任。


 天井を見る。


「協会は」


「本当に」


「どこへ向かってるんですか」


 その日。


 内部記録に追加された。


『受付装備は主任承認制(バニー含む)』


 なお。


 綾芽は最後に笑顔で言った。


「また改良しますね!」


 主任は三錠目の胃薬を飲んだ。

 

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