一章:魔法使い、魔剣修復の後に。3
お昼ご飯を食べた後、全員でまた、むわりとした熱気がややこもっている鍛治の作業室へと戻る。炉の火が落ちているからだろうか。お昼ご飯を食べにいく前よりは少し熱気が和らいだような気もする。
部屋に戻ってくるとすぐに、エデュライナが表情は変えず、ただきらきらとした瞳をキュウヤに向けていた。魔剣触りたそうにしてたからなぁ。はやく触らせて欲しいんだろうなぁ。
「先に持ち手の装丁だなー。生身だと、持ちにくいからなっ。」
「加工は完成させておいた。キュウヤ、はやく出すといい。」
そんなエデュライナの心情を知ってか知らずか、ノートが作業台の上に置いていた、両面から被せるタイプの持ち手から鍔にかけての部品を持って、告げる。視線が若干エデュライナの方を向いていた気がする。
他方、セイカはキュウヤに作業の続きをする為に魔剣本体を出すように告げていた。
わかってるわかってる、と苦笑しながら、キュウヤは〈収納〉から魔剣本体を取り出して作業台に置き。続いて、付与剣だった刃がボロボロの短剣も取り出す。
取り付けようぜ!とうっきうきで作業に取り掛かり始めるノートとセイカ。その作業をきらきらした瞳のままエデュライナが見つめている。ヘルロットもまた、わたしも、わたしも!と手を上げて自己主張中である。
そして、キュウヤは。そういえば、と〈森の輪〉に…主にアトラとルビナに問う。
「武器の切れ味が落ちてきた時に、自分で研げる?」
その問いに、うっ、と言葉が詰まる二人。
そうだなぁ、と、トゥエラがいい笑顔でそんな二人に告げる。
「今は日帰りで魔獣を狩ったり、採取しているから、武器の手入れはテオさん達に頼めるな。
けど、例えばダンジョンに潜ったり、泊まりがけで魔獣を狩らないといけない場合、武器の手入れをするのは自分になる、っていうのは理解しておいた方がいいな。」
「下手をすると、武器の手入れができなかったから、魔獣討伐に影響が出ました、という事になりかねませんね。
最悪、命を落とす事象にも繋がりかねません。」
トゥエラの言葉に、ディオラルトが一つ頷いて言葉を紡ぐ。頷いた時に、もっしゃもしゃのお髭も揺れた。
「武器の手入れを頼める先がないような状況は、駆け出しの頃はほぼないにしても、ランクが上がればいくらでも出てくるだろうからな。
武器の全体的な手入れは武器屋に頼むのが一番だが、ある程度の手入れ方を学ぶのは良いと思うぞ。」
「手入れに必要な物品も教えてもらえるとありがたいですね。この後実際に買いに行こうかと。」
テオラルテの言葉に、学びます…とルビナとアトラが小さな声で呟いていた。実際、すぐに町に戻れない時とかに、割と重要な知識であると思うのだ。
じゃあこれ教材になるかな、と、近くの作業台の上にキュウヤは短剣を置いた。ありがたく使わさせてもらうな、とテオラルテが短剣を手に取り、ルビナとアトラに研ぎ方を指導する構えである。
ディオラルトが必要な道具を持ってきて、早速研ぎの方法の指導が始まっている。
「ちなみに、キュウヤさん達は…?」
「全員研げるし、自分達で手入れ出来るね。このあたり、旅するならある程度必須技能なところがあるからなぁ。」
トゥエラがキュウヤに問いかけると、けろりとキュウヤが答える。まぁ、旅人達は全員何かしらの冒険はしてきたからねぇ…。
魔剣の研ぎも考えなきゃいけないけど…エデュライナとヘルロットが触ってからかなー。今、刃を作っていないから、手から滑り落ちたとて、当たって痛いになるだけで切れるわけじゃない。安全確保大事。特に剣に慣れていなさそうな人に対しては特に。
取り付けたぜー、と、ノートの声が上がった。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




