一章:魔法使い、魔剣修復の後に。2
ヘルロットのテンションが上がっている。テオラルテはこれは現実か…?と言いたそうな表情を浮かべ、ディオラルトは感動した声を上げる。
〈森の輪〉は、本当につくっちゃったよ…?となっている人一人、驚愕している人二人、無表情のまま瞳がきらりと輝いている一人。
「…楽しそうだね、エデュライナ?」
「行動指針に沿ったものを見れたから。」
ルビナの声に、エデュライナは小さく頷いた。
触ってみても…?と期待感を込めた瞳で旅人達の方を見るエデュライナは、確かに楽しそうに見える。表情筋は仕事をしてないけれど、彼女の纏う雰囲気も、なんだか楽しそうだ。
肯定の意を返そうと、キュウヤが口を開きかけた時、部屋の扉を叩く音が部屋に響く。どうした、と、テオラルテが扉を開けると、そこには店番をしていたはずのレディトラスがいた。
「作業に熱中するのもいいけれど、そろそろお昼には遅い時間になってくるわよ?
作業を中断して、お昼ご飯にいってらっしゃいな。」
「通りでお腹が空くわけだねー、急いでお昼ご飯買いに行かなきゃー。」
レディトラスの言葉に、ヘルロットが自身のお腹を抑えながら、てへへと笑う。
確かに、作業に熱中しすぎたかもしれない。新しい技術を学ぶのって、楽しいからね。
さくっと魔剣と付与剣を〈収納〉して、キュウヤが声をかける。それ以外の鞘や、テオラルテが打った長剣はそのままにしておく様子。まだ代金払ってないからねぇ…。
「それじゃあ、みんなでご飯食べに行こうか。」
「はよ行かねば、屋台が閉まるかもしれん。」
テオラルテは更に情報を重ねる。
それはいけない。旅人達は一食ぐらいご飯を抜いたところで体調が小揺るぎもしないけれど、他の面々は話が違う。しっかりと食べてもらわねば。
急いで部屋の中にいた全員で、屋台にご飯を求めに行く事に。屋台のご飯が売り切れてたら、最終手段キュウヤにご飯を作ってもらおうそうしよう。
テオラルテとディオラルトは特にしっかり汗をかいているのだから、水分だけじゃなくミネラル補給もしっかりと行ってもらわねば。脱水症や熱中症になったら大変だからねっ。他の面々もまた、熱気のこもっていた部屋にいたから、じわりと汗をかいているだろう。
…あれこれ、先にある程度水分とミネラル補給しといた方がいいか?それと〈浄化〉で汗をサッパリさせてしまった方がいいのでは。
キュウヤの〈収納〉に塩分控えめのスポーツドリンクもどきの水があったはずなので、〈念話〉で出して欲しい要求を伝えると、それもそうだとの事。
炉は見ておくわね、というレディトラスに、実は長剣を打った段階で炉の火を落としていたので、見てなくても問題はないぞ、と、テオラルテが告げる。わかったわ、と店番をしに戻るレディトラス。
そしてミルキィ達も、やや熱気のこもった部屋を出る。
「屋台に行く前に、汗をかいたから水分補給しないとね?」
素早く〈収納〉から取り出した木製のコップに、スポーツドリンクもどきを注いで一人一人に渡していくキュウヤである。
ひっそりと、こそこそと。他の面々に誰がしたかバレないように、ミルキィは皆がスポーツドリンクもどきを飲んだ後に、しれっと〈浄化〉のスキルを発動させておく。その爽快感はスポドリもどきのおかげです、という事にしたいからね!
「ありがとうございます。鍛冶場って結構汗かくんですね…。」
「どうしても、火が燃えとる炉があるからな。その分熱気がこもる。まぁ、今日はいつもほどでもなかったんだがな?」
「普段どれだけ熱いのか、怖いんですが?」
「あ、これ美味しい。単なる果実水じゃなさそう?」
「…いい。」
水分とって、ほっと一息ついてから。
みんなでお昼ご飯を買いに行った一行である。なお、今日のお昼はコッペパンのような形のパンに、具材を挟んだ惣菜系のパンでした。
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