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一章:魔法使い、魔剣修復の後に。1

木の桶の中に入っている液体に、魔剣をつけて。魔剣の熱をとって。静かに液体からマナ操作でフォードが魔剣を抜き取って。

〈収納〉から取り出した綿でできた布で、ミルキィが魔剣を包む。木の桶に入っている液体は中に入れた物体につかないとはわかっているのだが。なんでその液体がそんな特性を持っているのだと聞かれても説明が難しいので、カモフラージュも含めてあえて魔剣を包むのだ。

他の〈収納〉開示組が、炉や液体入り木製の桶などのこの後使わないものをさくさくと片付けていく。大きいからね、いつまでも置いておくわけにもいかない。


「これで回路周りと本体は完成かな。

後は、持ち手や鍔の部分に別の部品をつけたり、刃を作るために研がないとね。」


ことり、と、布を巻いたまま作業台に置かれた魔剣を見て、キュウヤがこの後の作業予定を告げる。恐らく、スキル使用して今の魔剣の状態も確認しているのだろう。そんなマナの揺らぎがあった。

旅人達の他の面々もまた、スキルで状態を確認しつつ。スノゥが口を開いた。


「その前にちゃんと作動するか試さないと。

ロヴェル、軽くマナ流してみてくれる?」

「あ、はい、わかりました。」

「その前に。テオラルテ、魔剣の動作確認の為にちょっと火を出しても大丈夫かな?」


まぁ、実際に動かしてしまった方が、見た目にもわかりやすいからね。

ただ、火を放出するので責任者のテオラルテに確認を取らねばならない。なんかあったとしても全力で対処するし、そもそもなんか起こらないようにきっちり対策は取るのだけれども、それとこれとは話が別だからね。

周りが燃えんかったら大丈夫だ、とテオラルテからの返答。そういや、そもそも炉があるからある程度は防火対策はされているはずである。とりあえず、別の木製のバケツに水がたぷたぷに入っているやつを〈収納〉から取り出しておこう。一応、念の為。


「それじゃあ、マナ込めますよ。」


そっとロヴェルは、魔剣を包んでいる布を開き、魔剣の部品の取り付けられる前の持ち手を手に取って。布を置き、作業台から軽々と持ち上げた。

周囲に燃えやすいものがないかを、ロヴェルは辺りを見回しながら、再度確認して。大丈夫なことを確認し、魔剣を構えて。

そっと、マナを流す。

ぼっ、と、剣身から火が出た。まるで、火を纏ったかのように。火は赤く、揺らめいた。

ヘルロットは、その火を食い入るように見つめ。テオラルテは本当に修復したぞ…?と目を丸くしていた。


「流すマナの量はこれで少なめ?」

「恐らく。反応的に、まだマナを込める事が可能っぽい感じかと。」


キュウヤの問いかけに、ロヴェルは一つ頷いて返す。

まだ、マナを込めれると。それなら、これ以上のマナを込めた場合、どれだけ剣身から火が溢れるのだろうか。どこか、延焼の可能性のない場所で検証する必要がある。どの程度まで火が大きくなるかを知っておかないと、いざ最大の火力を出そうとした時にどれほどの火力が出るか、安全マージンはどこかがわからないからだ。

つまり、怪我をしない為にも情報収集は大事なのである。


「よし、これで魔剣の動作確認は出来たね。

ロヴェル、ありがとう。動作確認できたよ。」

「いえいえ。」


キュウヤの言葉を受けて、ロヴェルは魔剣へのマナ供給を止める。

瞬間、魔剣の剣身から出ていた火は、たちどころにかき消えた。その状態で、ロヴェルは魔剣を作業台の上にある布の上に置いた。

ことり、と魔剣を置いた際の小さな音が大きく響いたような印象を与えるほどに、静寂が横たわる。

その静寂は、すぐに破られることになるのだが。


「わぁー。ほんとにほんとにー、魔剣修復しちゃったの出来るんだー!」

「夢のようだが、これは、夢じゃないんか。紛う事なき現実なのか。…ほんとに修復…というかほぼ新造で出来るもんなんだな…。」

「師匠、この場に助手として呼んで頂けて感謝しております。まさか、魔剣修復を見ることが出来るとは…。

手法は全く再現できそうにないですが、それでも学びはあるかと。」

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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