一章:魔法使い、魔剣修復する。2
一つ問題がある事にはあるのだが。果たして、魔獣素材でエンチャントができるのか否か、である。
魔獣素材に関しては、流石にまだ試していないので全くわからないのだが。魔物素材だと、特殊な手順を踏む事で、その特性を武器に付与する事ができた。それがエンチャントである。巨体の魔物や頑丈な魔物の骨や鱗、あるいは亀の甲羅など頑丈さの特性を持つ素材を、砕いて粉にし、特殊な手間を加える事でエンチャント素材にする事ができた。
使い方としては、金属を鍛える時に練り込むのは割と一般的である。
で、今回未開示組が骨を砕いて混ぜる、と言っていたのは頑丈さの特性をエンチャントする為である。頑丈さがエンチャントされれば、多少の攻撃で剣が折れる事がないので、割と便利なのである。しかも、付与剣みたいにマナを消費することも無い。
完全なる異世界の技術だよねこれ、とミルキィは思う。この領域のマナありきの付与とは全く別系統の技術である。まぁ、見てても何やってるかは分からないだろうが、その後質問されたら説明しづらいので、いっそ人前でやらないのは無難ではある。キュウヤの判断に感謝。
芯の部分にミスリルを使用するのは、鋼に比べて柔軟性があるので、ある程度の衝撃を逃がしやすくなり折れにくくなる効果を期待しているのと。鋼だとマナの伝導率が悪いので、ミスリルを芯材に用いているとその問題が多少なりとも解消されるからである。トロパ鉱がマナが通りやすいとはいえ、鋼と圧着してしまうと外側へ出てくる属性が弱まってしまう可能性がある。その為、ミスリルでブーストを狙うのだ。
長剣を一本作成できるくらい以上の、ミスリルと鋼のインゴットと様々な鍛治の道具とが作業台の上に置かれ。作業台の横に小型の炉が置かれ。導線を邪魔しないように置かれた木製の桶の中には、液体が7分ほど入っている。
さて、これから魔剣の修復…というかいっそ新造するのだが。テオラルテとディオラルトの長剣作製中の作業を見るに、一般的な鍛治の工程を踏んでいる。であるのならば、この修復作業も一般的な鍛治の工程で進めてしまうのは、魔剣修復の作業の技術をなるべく秘匿したい現状的には控えておいた方がいいかもしれない。まぁ、トロパ鉱の保護の問題や、マナの属性変化の問題があるのだが。
そんなわけで、〈念話〉で開示した結果。何やってんだ技術満載で修復作業を進めていく事になりました。マナ操作大活躍します。
「ま、役割分担しようか。
俺は回路担当。ミルキィが回路保護担当。シルトは鋼の操作。」
元々回路保護はシルトの予定だったのだが、見て分からない技術をふんだんに使うのであれば、刃の部分に相当する鋼部分の担当へとコンバートになりました。
「回路書き込んだり鋼被せたりする時に剣を持ち上げておくのはフォード担当。
アヤナは冷却作業と冷却水担当で。」
直接持ったら火傷以上のやばい事になるので、フォードはマナ操作で浮かす担当です。アヤナの担当になる冷却水はちょっと特殊な加工しており、熱々の剣身を冷却水につけても金属へのダメージが入らないように工夫されているものである。
「ルディは記録担当。ロヴェルは…今回は計測係かな。」
旅人達の中でも年少組であるルディとロヴェルは、ファンタジーまみれの鍛治作業にまだ馴染みがないので、今回は記録等の作業担当をしてもらう事に。それに、ファンタジーまみれの作業より先に、一般的な鍛治の工程の習熟が大事だからね。
「芯になる部分の作製はクロムとスノゥが担当。
柄や鞘の作成はノートとセイカが担当。
鞘作成に足りない素材があったら、悪いけどセイカかスノゥの〈収納〉から出して欲しい。」
キュウヤの指示出しに、旅人達から賛同の声が上がり。
ヘルロットがこれから修復が始まるのだと目を輝かせ。
テオラルテとディオラルトはひと作業終え、旅人達の作業台の方に来て。
〈森の輪〉はどんな事になるのだろうと、作業台の方を見た。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




