一章:魔法使い、魔剣修復する。1
素材は〈収納〉の中に色々入っている。大体全員、色々と素材は抱えているのだ。ちなみに、道具も作業系の施設も同様だ。
ちなみに、ロヴェルとルディの素材が少ないけれど、まぁ、今回は彼らの素材には手をつけないでおこう。他の旅人達の抱えている素材で問題なく修復…というか、魔剣の土台ぐらい作製できる。
各自、〈収納〉に入っているものの一覧を脳内に浮かべて使えそうなリソースを検索しているのだろうが。〈収納〉開示してない面々は、そのあたりは今回強制的に不参加です。
その代わりに使用素材の案を出す。
「土台の元となる金属はミスリルがいいと思うのだ。」
早速いいお値段のする魔法銀…ミスリルの名前をあげてくるシルトである。ミスリルの名前が出た瞬間、テオラルテとディオラルトの師弟コンビの意識が一瞬シルトの方を向いたが、長剣作成の作業に集中する為にすぐに作業台に向きなおる。
その代わりにルビナとアトラが驚いた表情をシルトの方へ向け、ヘルロットは今なんてー…?と困惑した表情を浮かべていた。まぁ、そもそもが冒険者が気軽に持ち出すような金属ではないからね。
「元々持っていたものなんです…?」
「そゆことだなー。こっちで盗掘したもんではないのだ。」
恐る恐る尋ねられたトゥエラの言葉に、シルトが腕を組みながら頷いて返す。
ミスリルの扱いは世界によって異なるだろうし、この領域での扱いもわかってないので。元々の世界からの持ち込み分だと判明すれば…多分大丈夫だろう。そもそも、勇者も魔法使いも、〈収納〉系のスキルがなければ、そんなに素材を持ち込むことがないか。
「ちなみに、ミスリルとか何かしらの希少鉱石を取り扱う際の決まり事とか何かあるのだ?」
「ミスリルの流通にがっつり国が介入してる、ぐらいですかね。」
トゥエラよ、それはぐらいで済ませていいものなのか?トゥエラの説明に、エデュライナが一つ深く頷いて、口を開いた。
「国が介入しているのは、取り扱いが偏らないようにする為と、大量購入されてあらぬ事に利用されない為。
貴族のみならず、高ランクの冒険者もミスリル製の武器を持てる。取り扱う方も、買う方も、素性さえはっきりしていれば、特段免状がいるわけではない。」
「付与師や魔道具師もミスリルを取扱うことあるけどー、購入する時に何か言われたことはないなー。」
「なるほどなのだー。」
更にヘルロットから追加の情報が。
特にミスリルの取り扱いに免状がいる、ということもなさそうである。ただ、そのミスリルどこから出した?という事になったら面倒な事になりそうなので、魔剣を売却するのは却下かな。
で、素性がはっきりしているとは。魔法使いで、後見冒険者ギルドは大丈夫だと信じたい。まぁ、本来の性質は、闇の深いとこに流入しないようにする一手だとは思うが。
そんな感じでミスリルの取り扱いについて学び。それでは、被せる金属は何にしましょう?とアヤナが微笑みを浮かべながら告げる。
なお、〈収納〉開示組は、誰が出すのか話し合いながら、部屋の隅の空間があるところで道具を出したり、作業台を出したり、ミスリルのインゴットを出したりしている。
「頑丈な方がいいから基本鋼でいいと思うのだ。」
「問題は混ぜ物をどうするかですね。」
「入れるなら、更に頑丈になる効果狙いぐらいで、こっちに流通してなさそうな鉱物はやめとこうぜ。」
「そうだな。…骨の粉末あたりか?」
「魔獣の骨はあったけど、粉末にはしてなかったはず…?」
「砕くか。」
こちら、〈収納〉未開示組の会話である。
見た事ない素材ー?とヘルロットが若干期待した目でノートを見ていたが、恐らく出すことは無いだろう。
今すぐに出てくる魔獣の骨で効果高そうなの…〈巨岩山鳥〉の骨はあまり期待できなさそうである。何故ならば鳥の骨だからである。骨の中身がある程度空洞になっているからね…。
〈闘魂熊〉の骨は、間違いなくクロムから使用許可が降りないだろうし、〈王狂騒牛〉の骨もセイカから使用許可が出るかどうか。
あ、それならあれはどうだろうか、と、ミルキィは未開示組に声をかける。
「いっそのこと〈砂丸亀〉の甲羅を粉にする?」
「あれは、綺麗な甲羅のまま盾に加工する方がいいだろう。」
ミルキィの提案は、さっくりとセイカに否決された。
まぁ、加工して素材にするより、加工して盾にした方がいいのはわかるけども。
「とりあえず、今回は混ぜ物なし、ただの鋼で作ろう。
混ぜ物考えるのはまた次回以降かな。」
キュウヤが軽く手を叩いて注目を惹きつけて、結論を告げた。その方が無難かもしれない。
こだわりはじめたら手持ちの魔獣素材だけでなく、別の世界の素材が飛び出していた気配がする。どの魔獣、あるいは魔物の骨を使うか、とかね。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




