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一章:魔法使い、付与剣修復の見学と。

「とは言ってもー、そこまで色々回路を描くじゃあないんだよねー。」


万年筆のような道具のペン先を、付与剣の核の、中心部より少し離れた、少し上めのところにつける。ペン先からじわりと、液体状のトロパ鉱が滲み出る。


「文言通りに持ち手のところに丸描いてー、その丸と付与剣の核を回路で繋げてー、付与剣の核と剣身も回路で繋げるぐらいだねー。

まずはー、持ち手の方に回路を繋げてー、丸を書くよー。」


すっ、と。ヘルロットは迷うことなく、回路の線を描いていく。線はぶれることなく穏やかに、同じ太さで描かれていく。

付与剣の核の上の方から、持ち手の方へ一つの線が伸び。持ち手の中程で、ぐるりと、曲面に綺麗な円が描かれる。

慣れないと、曲がっている場所に線を描くだけでも、線がぶれたりがたがたになったりするだろう。下手をすると、線が途切れることだってあるかもしれない。しかし、ヘルロットが描く線は、曲面でも平坦な面でも同じ太さで、揺れること無く描かれていた。

綺麗な円を描くと、円の下から今度は付与剣の核の方に向かって線を伸ばす。さらりと、線は同じリズムで描かれて。付与剣の核の上まで、液体状のトロパ鉱の線は描かれて。万年筆のような道具のペン先が一度付与剣から離れる。


「これでー、付与剣にマナを込める部分の回路は描けたねー。

今度は下側の付与剣の核と剣身を繋ぐ回路を描いていくよー。」


一度付与剣から離れた万年筆のような道具のペン先は、付与剣の核の中心から下めの方に触れて。するり、と先ほどと同じような線の太さで剣身の方へと向かっていく。

そして液体状のトロパ鉱で描かれた線が剣身へと達した時。半円を描いてから、再び付与剣の核の方へと線は向かう。


「剣身全体に付与効果のある核の場合ー、回路が剣身に触れてれば問題なく効果を得られるかなー。

剣身全体に書かなくてもいいからー、全体に書くよりも回路が壊れにくくなっている側面もあるねー。」


淀みなく、万年筆のような道具を滑るように動かして。ヘルロットは語る。

剣身の全体に回路を描いてしまうと、魔獣を斬ったりするだけで回路破損のリスクが増えてしまうだろう。不要な回路をこそぎ落とすことができるくらいには衝撃に強くなさそうであるし。短くできるならそれに越したことはない。

さらりと書かれた線が、再び付与剣の核に触れて。万年筆のような道具のペン先から、ふわり、ヘルロットが作業最後のマナを回路に込める。

みるみるうちに、液体状だったトロパ鉱が、固形へと変わっていく。


「これで付与剣の修復は完了だねー。短剣の方は研ぎがいるしー、新しく拵えてる長剣はあつあつだからすぐに核をはめれないねー。」


これで《切れ味上昇》の長剣の修復は完了、と。見学もさせてもらえたし、ヘルロットに感謝を伝えていると。

よし、とキュウヤが声を上げた。手のひらの中には小さくなった魔石。さっきまで書き込んでいた付与剣の核だろう。


「ほんとに作りましたね…?」

「つくったよ?」


トゥエラのツッコミに小首を傾げて、キュウヤが微笑みながら答える。

文言全文があると、あの見学だけでできるもんなんだねー、とヘルロットは感心している。やっぱり文言全文あるのって大きいんだねー、と自身で納得していた。


「とりあえず、これで《貫通力増強》の付与剣の核が二つになったから、短剣でも長剣でもできるね。」


にこにこと、穏やかな微笑みを浮かべながら。キュウヤが告げる。


「ただ、まだ《貫通力増強》の付与剣を修復したり作成したりはできないからね。

…それじゃ、魔剣修復してみようか。素材、道具準備するよー!」

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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