二章:根回し中の、想定外と。1
ルビナリオに向かうのは、まぁ、色々な事情を鑑みて、それでもメリットがあるという想定で、親である領主と冒険者ギルド支部のギルドマスターからゴーサインが出たのだろう。
依頼を受ける分にはまぁいいとして。問題は、そのいろいろな事情の中にスタンピートの予兆が含まれているか否である。自ら志願してきたとはいえ、情報外のスタンピートに巻き込まれて万が一のことがあった場合。貴族籍持ちだととんっでもなくややこしい事態になりそうなのだが。
別のところで貴族と冒険者ギルドとの睨み合い起きない?大丈夫?
「トラおじじ、その依頼回ってきたのって、ルビナリオのダンジョンにスタンピートの予兆が観測された前?後?
そもそも、トラおじじがルビナリオ周囲の冒険者ギルド支部にスタンピートの予兆が見られるって伝達してたと思うんだけど。その貴族籍のある冒険者が所属している支部にも伝えてて、それでもルビナリオでの同行及び指導依頼は継続して募集されているって認識でいい?」
ひとまず確認したい事を若干早口になりながら、ミルキィがトラおじじに問う。
情報を見落として、トラブルの元に育ててしまうのは今避けなければならない。ただでさえ、ルビナリオの領主が冒険者ギルドに対しておこなのである。
これ以上トラブルが増えると、トラおじじ達がトラブル解消のための立ち回りで、大変な事になってしまうだろう。
トラおじじは豊かな髭をなでつけつつ、ふむ、と呟いた。
「スタンピートの予兆が確認された、という情報がこの冒険者ギルドノルキスタ支部にもたらされた時点から、まだそれほど時間が経っておらんからの。冒険者ギルドの各支部での話し合いが進んでおるかどうかはまだわからぬ。
ただ、冒険者ギルドエルヴァリオ支部にルビナリオのダンジョンにスタンピートの予兆が確認された事を伝えた際。依頼の募集の停止を伝えられなかった故に、恐らくある程度の危険性はすでに想定されて、それでもルビナリオに行くという意思があった可能性があるのぅ。」
「スタンピートはある程度の危険性に含めてもいいものなの…?」
「恐らく、その辺りを含めての依頼だった可能性すらあるのぅ…。」
それって、よっぽどの戦う力がないと依頼受けたらまずいやつでは…?気を抜いたり、立ち回りをミスっただけでもとんでもない危機に陥る可能性があるのがスタンピートである。その状態で護衛も兼ねるのは、護衛側にしてもなっかなかに危険だぞ…?
思わず遠い目をしてしまったのだが。うーん、うちでその依頼受けたほうがいいよね、とキュウヤからの〈念話〉が。
少なくとも護衛もできるオートラナをつけたり、戦闘や採取に関しては色々教えれる旅人達がいるし、何より単独でAランクの魔獣を討伐できる面々がいるので…。ついでに立場的に魔法使いである。貴族籍持ち相手でも何かあったらカウンター決めれる可能性が高い立場である。公表してないけど。
…ああ、うん。ミルキィ自身がいうのもなんではあるが。〈笑顔の行進〉に依頼を振るのは、最適解だったのではなかろうか。
ただ、すんなり依頼を受けるわけにはいかない。
何故ならば。スタンピート中、旅人達とオートラナは街の中に籠るのではなく、ダンジョン近くで魔獣をしばき倒す予定なのだから。
悩んでいるのを表情に出しながら、キュウヤがトラおじじに告げる。
「うーん、いくつか条件を付け足したいんだけど。それでもいいなら依頼を受けれるかな。」
「ふむ。条件とは、どんなことかの?」
キュウヤの依頼に対して若干前向きな姿勢に、トラおじじがにこにこと微笑みながら先を促す。先程までの話で条件がある程度想定できるから、穏やかでいるのかもしれない。
まぁ、安全を確保しないといけない相手の安全圏確保できそうだもんねぇ…。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




