二章:事前準備は指差し確認してでも、万全に。6
「とりあえず、ルビナリオに行く前に準備しとかないといけないものとか、確認しとかないといけないものはそんなところかな?」
一つ頷いて、スノゥが告げる。若干やり切った感が醸し出される表情をしているが、周りを見て欲しい。
ドレグがどうやって交渉しようか悩んでいるし、トラおじじも悩み顔を浮かべ。トゥエラが再び机に突っ伏せ。エデュライナは顔色を変えていないが、キラキラとした輝きを瞳に浮かべてスノゥの方を見ている。キュウヤも苦笑いを浮かべていた。役割が増えたからね…。
…エデュライナは、旅人達の無茶振りとか、今まで知らなかった世界に触れるのが楽しいのだろうか。
と、とりあえずこの後色々動いてもらう事になってしまったアルヴェーノ男爵へ贈り物をしようそうしようと。キュウヤとミルキィはアイコンタクトを交わし。ドレグに話しかける。
「ドレグ。男爵に何か贈り物をしても大丈夫かな…?」
「あー…美味しいお肉がありましたら、この後の交渉を頑張ってもらうための動機にしてもらいます。」
「巨大な〈魔猪豚〉、〈巨岩山鳥〉、〈巨鎧牛〉の魔獣肉三点の詰め合わせはどうかなぁ…?」
「全部Aランクの魔獣の肉じゃないですか…!?」
「ちょっと多めに包んでおくから、一緒にドレグも食べてくるといいと思うよ。」
「いいんですか…!?」
ドレグも、父親となるアルヴェーノ男爵に色々交渉しに行ってもらうので。ご褒美的な扱いになるだろうが美味しいものを食べてもらいましょうそうしましょう。魔獣の名前を一つ一つ挙げていくと目をきらっきらとさせて、それらの魔獣肉を食べれることが確定した瞬間に、笑みが溢れていた。
男爵に贈り物をするのが、袖の下になりやしないかと疑問点があったにはあったのだが。ドレグからリクエストがあった、という事は慣習的にも問題はないのだろう。元貴族の文官系である、そういう事はきっと詳しいだろう。…どっかで法律系も学んだほうがいいかなぁ。
ちなみに、〈巨鎧牛〉…〈鎧牛〉系統の魔獣は皮が肥厚し硬く鎧の様に変化しているのが特徴的な牛の魔獣である。角の先がやや剣の様に変形しているので、突進からの角の突き刺しが危険である。最近、エルグラン大森林郡の奥地で群れを丸っと狩ったのだ。
〈鎧牛〉、〈大鎧牛〉、〈巨鎧牛〉をそれぞれ一頭ずつ解体してもらい、革鎧用の素材となる皮を売ったらそれなりにいい値段になった。無論、お肉は全回収である。〈森の宿〉に差し入れもしたが、ある程度はこの後ルビナリオで消費する予定である。
スノゥ達が考えた背景なら、今までの対スタンピートのやり方に染まっていないEランクの冒険者をルビナリオで雇用する、という手も取れるだろう。雇用期間中食事は旅人達側で用意する、という話にすれば。冒険者ギルドから受け取れる金額が減っているから、ある程度の人数も集まるだろう。
食器とか諸々足りるだろうか、食材はなんとかするけれも、とミルキィが考えていると。
そうじゃそうじゃ、と、微笑みを取り戻したトラおじじが何かを思い出したかの様に、手を叩く。
「魔法使いの皆様方に、もう一つお願いしたいことがあるんじゃがのぅ。」
さっきのお願いは、オートラナの派遣だったけど。なんかあるんじゃないだろうか、今回のお願い事。あの、第六感がお仕事してるんですが。
「え、どゆことどゆこと。」
「我々オートラナの派遣以外にも、頼み事があったという事でございますか?」
スノゥとウィルフェアが疑問符が頭に浮かんでいる様な表情を見せながら、トラおじじに問う。
そうじゃのー、と、トラおじじは肯定しながら、告げる。
「他の冒険者ギルド支部よりの依頼なんじゃがの。
その支部のある領地の領主の息子がルビナリオに向かって現状把握の為に動かれるそうなんじゃが。その際に一緒にルビナリオで行動してくれる、実力のある冒険者を探しておるそうな。冒険者としての指導もしてもらえるとありがたいという話じゃな。なお、領主の息子のパーティーは、従者や護衛とで組まれた全員冒険者初心者のEランクであるの。
…この一件、お願いしてもよろしいですかの?」
「ちょ、まっ…籍は!?」
「貴族籍のままですな。依頼を受けた相手が平民だとて、多少の事では不敬は問わぬ、と補足がついておりますの。」
そのままルビナリオに行ったら、別の問題が起こりそうなパーティーですね!?
あれか、貴族籍にいる冒険者だから、下手に今の冒険者ギルドルビナリオ支部のルールを押し付けると問題が起こるから、それ狙いの部分もあるのか!?
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




