二章:事前準備は指差し確認してでも、万全に。1
冒険者ギルドルビナリオ支部の動きの裏側に何が蠢いているのか。それを考えるのは、ルビナリオの街の皆様を思うと頭痛いところであるが。
まぁ、罠に引っ掛けてとっ捕まえるのはやるにはやるのだが。そこからは現地の人たちに任せるつもりではある。魔法使いの保護法に引っ掛けて捕まえるなら、そうほいほい逃げれるものではないだろう。
ミルキィ達は、魔法使いである前に旅人である。永住者ではない。故に、分岐点となりそうな形の決定については、決定権を持たないように立ち回るほうがいいだろう。それはそれとして、怒る時は怒るけど。
ルビナリオに行った際の、〈笑顔の行進〉の設定やら背景やらを決めるのに悩んでいたスノゥが口を開く。
「ちょーっと、〈笑顔の行進〉の方針の大枠を確認しようか。
ルビナリオに行く前にする事として。
ドレグ経由で、領主さんに今回のスタンピートの根本的な原因の調査と、スタンピートが街の防壁に近づく前に各個撃破する方針が有効か否かの調査についての是非を確認してもらうのが第一。
ここで許可降りるかどうかで準備しないといけないものがかなり変わってくるのよねー。」
「オートラナの冒険者証の発行も明日必ず、お願いいたします。
私、皆様方と共に大手を振りまして冒険者活動ができます事を、今から楽しみにしております。」
「それも必要だわねー。」
にっこにこの笑顔を浮かべて、ウィルフェアが明日の用事を念押しするつもりで告げる。
…何人分必要なんだろうねぇ…。
「トラおじじ、ドレグ。二人だけで対応するのは大変だろうから、冒険者ギルド側の対応する人員を増やすのを、おすすめするかも…。」
「待って下さい、ミルキィさん。何人分頼む予定なんですか?」
うっきうきのウィルフェアを見て、他のオートラナも同じかもしれないと思って、トラおじじとドレグに声を掛けたのだが。
その二人が反応するよりも早く、トゥエラが何かを感じ取ったらしく。人員補強の声掛けをしたミルキィに質問をしていた。
「んー…そこのウィルフェアと、ウィルフェアと同じ様な立場の女性が一人。冒険者ギルドノルキスタ支部と〈森の輪〉に派遣するのがそれぞれ一人。
ルビナリオの街で密偵として働く忍者五兄弟に、街中の情報収集担当の目立たない三人衆でしょ。
ルビナリオの街に移動する際に馬車を担当してもらう三人に。スタンピートの際の休憩所を運営してもらう予定のオートラナが…たくさん…?」
「少なくとも、五十名は想定していただけますと。我々オートラナ一同はとても助かります。」
指を折りつつ、ミルキィはこの面々のものが必要かな、と脳内で数えていったのだが。途中から人数を上げるのを諦めてしまった。
明確に人数を答えれないのは、小屋を建てられるか否かで人数が変わってくるのもそうなのだが。どんな設備が必要なのか、誰をどこに配置するか、でまた人数が変わってくるのだ。オートラナのまとめ役であるウィルフェアも、人員配置に関しては色々考えがあるだろうし。
…何がヤバいって、ウィルフェアの言った人数が、旅人達配下のオートラナ全員ではないと言う現実である。五十人、とウィルフェアが告げた人数で驚いた表情を浮かべるトラおじじとドレグには、ちょっと内緒にしておいた方が良さそうな話であるが。
優雅に一礼してみせたウィルフェアであるが、トラおじじとドレグはそれどころではなかったかもしれない。
「…さて、〈森の輪〉にはこの後、オートラナの方々の冒険者証発行に関しての手伝いについての指名依頼を出させてもらおうかのぅ…。」
「え、あ、はい!?」
「〈森の輪〉の皆さん、ご協力ありがとうございます。後で依頼書をお渡ししますね。
それと、魔法使いの皆様方。冒険者ギルドノルキスタ支部に派遣してもらえるオートラナの方をなるべく早く呼び出して、なおかつ今日から派遣していただけると、とっても助かります。」
「かしこまりました。早々に人員が見つかります様に手配いたします。」
あ、〈森の輪〉がご指名された上に、派遣する予定のオートラナまで駆り出される事が確定したっぽいな。
ウィルフェアが今急いで、オートラナのネットワークに人員募集かけてるんだろうね、きっと。うっきうきの笑顔のままで。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




